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「鹿島ディアーズ」アメリカンフットボールチームが活動停止に 「協会という花咲か爺さん」

2ちゃんねるで「激震が走る!」という予告通り、本当に激震が走った。
しかもバスケットボール部とバドミントン部が活動停止したパナソニックならともかく鹿島は全く予想外。
これで企業チームは、富士通とパナソニック、そして毛色は違うが警視庁の機動隊の皆様だけとなってしまった。

WindowsXPのサポート終了予告と消費税増税前の駆け込み需要で活況を呈すであろう富士通は、しばらくは大丈夫だろうか。
オウム事件の際に、捜査で練習ができないながらも部を存続させた警視庁も大丈夫だろう。 ウサーマ・ビン・ラーディン もアレしちゃったから、新たなる脅威が発生しない限りは。
しかしパナソニックは、やっぱり不安が残る。 どう見てもバスケットボールよりアメリカンフットボールのほうがスポーツとしての影響力が劣るから。。。

鹿島の活動停止は、1チームの活動停止にとどまらず、TV放送にも影響が出るのではないだろうか。
TOKYO MXテレビで、鹿島建設自身がスポンサーとなり鹿島ディアーズが関わる試合を放送していた。
それもなくなるとすると、地上波でXリーグの試合は お正月のライスボウルまで一切なくなってしまう。

午前中のニュースでは、まだまだ流動的だった。

鹿島広報室は「正式なことは現段階では話せない」としている。

引用元: 朝日新聞デジタル:鹿島、アメフット部支援打ち切りへ 社員の採用減影響か – スポーツ .

だが、午後には確定したニュースとなり、ついには鹿島建設の正式なプレスリリースも発表された。

アメリカンフットボールチーム「鹿島ディアーズ」の活動停止について

鹿島建設株式会社

鹿島は、アメリカンフットボールチーム「鹿島ディアーズ」の活動を、今年度を最後に停止することといたしましたので、お知らせします。

鹿島ディアーズは1989年、鹿島創業150年の記念事業として創部されました。以来、1992年の1部昇格から今日まで、社会人リーグ(Xリーグ)に名を連ね、ライスボウル優勝2回に輝くなど、リーグのリーディングチームとして活動、日本のアメリカンフットボールの振興にも一定の役割を果たせたものと考えております。

これまでご声援を頂きました多くのファンの皆様、そしてチームの活動を支えてくださいましたアメリカンフットボール関係の皆様に対し、心より御礼申し上げます。

引用元: お知らせ | 鹿島建設株式会社.

ニュース確定後の鹿島建設広報室は、以下のようにコメント

同広報室は理由について「社員の採用数を減らす中で、選手の補強に影響が出る。これまでの活動で社の一体感に寄与するという役割を果たせた」と説明した。活動停止後も選手は正社員として、これまで通り勤務する。

引用元: 【アメフト】鹿島が今季で活動停止 Xリーグ1部 – MSN産経ニュース .

情報更新が絶えず遅いXリーグのサイトでは、いまだに何のリリースも出ていない。

Xリーグチアリーダー、「東京セヴンズ」で華麗なるラインダンスを披露

引用元: X League最新ニュース | Xリーグ 公式サイト .

これがXリーグ公式サイトの最新ニュースとなっている。 公式サイトでは、いまだに「春うらら」の穏やかな世界が続いている。。。

鹿島ディアーズは、1989年に有力プレーヤーをがっつりリクルートしていきなり強豪チームとして誕生。
当時の3部リーグから1敗しかせずに一部昇格まで一気に駆け抜けた。
余談だが、その1敗は2部リーグで清水建設がつけたもの。
強力な陣容とはいえなかった清水建設が起こした大アップセットが当時は話題になった。
当時の鹿島はプロTから始まってショットガンを持ち出すという往年の日大スタンダードな戦法。
しかし清水建設には、ショットガン退治を公言し初めて日本一となった京大OBが所属していた。
結果、ショットガンはまたも退治され、「13-7」という玄人好みのロースコアで清水建設が勝利を収めた。

ほとんどが企業チームだったあの頃は、業界競合他社へのライバリーがフィールドへ持ち込まれ、スタンドの社員を含めて代理戦争の様相を呈していたのかもしれない。
当時禁じられていたTVCMがわりに参加していた銀行チーム同士も、その戦いは激しかったのだろうか。
鹿島に大アップセットで勝利した清水建設は、ヨソに負け続けてしまい、優勝するどころではなかったが、業界競合他社との一戦に賭けた心意気を感じた。

企業スポーツの意義としてよく言われるのは「社員の一体感の醸成」だ。

バブルの残り香があった当時ならそこに予算もかけられただろう。
ところがバブルどころかアレコレが弾けまくって、失われっぱなしのロストワールドニッポンでは、「社員の一体感の醸成」は優先順位リストのブービー争いを繰り広げている。

数年前になるが、目安箱に鹿島社員のものと思われる以下の投稿があった。

鹿島建設にはアメリカンフットボールのクラブがあります。

それが、会社が普通の状態のときならば問題は無いと思います。

しかし景気が悪くなっている現状では、それこそ経費の莫大な無駄遣いでしかありません。

年間に数億円の資金を注ぎ込んでも何のメリットも無いばかりか、デメリットのほうが大きいのです。

経営者、役員の個人的な趣味に付き合っている暇はありません。

また、経費を切り詰めるばかりに、社員の給料、賞与、退職金等を大幅に少なくなるように変更されてしまいましたので社員の怒りは大きいのです。

なぜそこまでしてやるのでしょう。

引用元: 目安箱:鹿島建設のアメフトクラブは即刻廃止せよ.

上手く反論しようがない。
また、生々しい憤りもある。

3.毎回試合のたびに、社員に応援の号令がかかるが、皆嫌がっている。

入場料は取られるし、交通費、食事代も自分持ち、また試合時間が長く帰宅は深夜。

それで翌日は通常勤務で疲れるし残業手当はつかない。

引用元: 目安箱:鹿島建設のアメフトクラブは即刻廃止せよ.

「社員の一体感の醸成」は上意下達で行われるものではない。 一体感は「醸成される」ものであって「醸成させる」ものではない。

何かにつけ「生産性」と「コスト効率」と「成果」を要求される冷たい世間を、「社員の一体感の醸成」という「春うらら」では渡っていくことは当然ながらできない。
でもしかし。
しかしだ。
ビジネスとして成立しない競技は、消えてしまっていいいのだろうか。
競技年齢が大学卒業とともに途絶えてしまうという構造でいいのだろうか。
無名大学チーム出身者が社会人リーグで、その能力を開花させ、日本代表にまで登りつめる。 そんなストーリーを、僕らも楽しんできた。
そのフィールドを取り上げてしまっていいものだろうか。
我らが日本代表は、第1回、第2回のワールドカップチャンピオンでもある。
たとえアメリカ、カナダが当時参加していなかったとはいえ事実であることに間違いはない。 第3回では、アメリカとオーバータイムの死闘を繰り広げ、もう一歩まで追い詰めた。
このままでは、その日本代表もロストワールドニッポンの仲間入りを果たしてしまう。

今こそが協会の出番なんじゃなかろうか。
単独チームの事情と割りきって、スポンサー探しも任せたまんま、上納金を勘定しているだけでは済まない。
なんとなくアベノミクスで、また新しいタニマチが見つかるだろうと高をくくっている場合ではない。
明確なビジョンとともにリーグ全体の保全を図らなければ、「春うらら」はサクラとともに散ってしまい、二度と咲かない枯れ木しか残らなくなってしまう。
まして国内のトップリーグが名実ともに魅力的でない限り、競技人口の拡大など起こりうるはずもない。

満開のサクラが拝めるか、寂しい枯れ木に囲まれるかは協会という「花咲か爺さん」にかかっている。

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