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『ダメなときほど運はたまる』萩本欽一 レビュー 「失敗は運の定期預金」

『つらくても「今は運をためてる時期なんだ』と思って耐えていれば、いつか状況は変わってきます。』

この書き出しに救いを求めるように手にとって見た。
しかし、「欽ちゃん」の穏やかな人柄に期待したものは、ココにはなかった。

「僕は運だけで生きてきたんだ。だから運については一家言あるの」
「みんな、運のため方、使い方を間違ってるんだよね。」

自己啓発本、などではない。
コメント通り、運のつかみ方、見放されない方法が記されている。
実践的に、自らの経験談とともに。

「神様が見つけやすいように、普通の人が寝ている時間に努力する」
「隠れた努力は完全に隠れないように誰か一人には見てもらえるようにする」

それはある種ドライなほど徹底されていて、ふんわりとした温かさとは対極のところにある。
その風変わりで、ある種の冷たさを感じる振る舞いには、「逆に」とても正直に語られている安心感を感じる。

「家族内での運のバランス」に関しても包み隠さず書かれており、家庭内で突出した運を持つものとそうではない家族とのやりとりも、生きてるうちに運が上手く使えなかったら子どもにまわせという話も、ご自分の父親との思い出話とともにオープンになっている。

運という、常に付いて回るものに正面から向き合うことは必要だ。
そのための甘くないガイドブックとして最適。
余談ながら、欽ちゃんが視聴率のために毎日金魚を殺していたという都市伝説の解説もされていた。

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