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ちきりん『「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記』レビュー「よう考えてはるなぁ…」

月間220万PVという、僕には想像もできないような数字をたたき出している社会派ブロガー「ちきりん」さんの本。
情弱ではないという自負はあったのに、僕は彼女のことを全くほとんど知らなかった。

言われてみれば、Tumblrのダッシュボードにここからの引用が時々リブログされていたなぁ…という程度の認識。
だから、書店でたまたま本書と目が合った時にも、たいして考えずに手にとった。
「月間220万PVって、どんなことしてんの?」
程度の興味で。

よう考えてはるなぁ…

ヒトコトで本書の感想を表すならコレ!
いや、僕は関西出身じゃないのでアレだけど(笑)
ただ、「よく考えられている」という表現より「よう考えてはるなぁ…」のほうがなんかしっくり来る。
ご自身の『私はかなり意識的に、そして戦略的に自分のブログを育ててきました』の言葉通り、自分のブログをメディアとしてブランディングされてきた経緯が率直に語られていて興味深い。
マーケティングのプロとしての思考と、わかりやすい論理構成でスイスイ読める。
はてなブックマークやTwitterとの幸運な出会い、そして巻き起こる炎上も呑み込んで血肉にして成長していくさまも赤裸々だ。

ブロガーでないヒトも

ブロガーやセルフブランディングを考えているヒト達には、具体的に役に立つのでもう読まれているだろうし、そうでなければぜひ読むことをオススメする。
僕も、ブログの作り方という意味では、枝葉のTipsではなく根幹という意味で、とても参考になった。
では、ソレ以外のヒト達は読むべきではないのかと言われれば、2つの理由で読むことをオススメする。

1.取捨選択の決断

ブログがブレイクした後、殺到する執筆依頼の中で、「ちきりん」さんは、自分の人生で優先すべきものを判断し、取捨選択の決断をしていく。
思考して、自分の軸を明確にすることにより、取捨選択をしていく。
これは、誰のどんな人生にも必要なこと。
そして、ここでは彼女のケースが、その思考の流れとともに語られている。

2.ネットでの振る舞い

いわゆる「ネット」というものと、僕らはもう手を切り離せない。
それは、積極的な情報の「発信」もそうだし、受動的な「検索される」という事も含めて。
実名、匿名含めて、どうネットと付き合うのか?
その振る舞い方も参考になる。
ネット、ネットというけれど、そのサーバーの向こうにぶら下がっているのは人間なのだ。

あらためて日記って面白いのかも

「日記なんかをブログにあげてもさぁ…」という固定観念があるけれど、あらためて面白いと思った。
僕がTumblrのテーマを使用させていただいてる「佐野章核 」さんも日記推進派だ。

今年の2月に ZEN 1.0 を作ってから、多くの人に使われている。何人が使ってるか把握してないんだけど、今までにダウンロードボタン 8,000 回押されてた。たまにリファラを辿ってどんな使われ方をしているかを見に行くのが楽しみで、その過程でおもしろい日記に沢山出会えた。日記、最高の文化だと思う。見ず知らずの他人が何考えてるのか無限に読めるっていうの、普通ではあり得ない体験で、こんなおもしろ文化を絶やしてはならない。もっと日記書く人増えればいいのに、という目論見で ZEN を作ったので、それに賛同してくれる人が増えて大変うれしい。日記が好きな皆様へもっと良い体験を提供したいと思って、ZEN 2.0 を作った。

引用元: なんでZEN 2.0作ったか – Syoichi’s Tumblr.

文才があれば、切り口が鋭ければ、思考が深ければ、現代に生きる読者も楽しめる。
では、そうでないヒト達は書くべきではないのかと言われれば、書いた方がいい。
今日はドコで何を食べた。
買い物をして、いくら使った。
そんなささやかなことが、時代をまたぐと貴重な情報となり得る。
昔の侍にとって、刀は自家用車買うくらいの値段だったなんて記載を見つけるだけで、数世紀をまたいだ僕らはうれしかったりする。
だから、現在は自分が読んでもたいして面白くない三行日記でも、数世紀をまたげば、博物館に展示されている可能性だってある。
そして、その可能性があるならば、「ちきりん」さんが言うようにブログという人目にさらされる可能性があるパッケージにしておくほうがなにかと心安い状態になるんじゃないだろうか。

まだ「ちきりん」のブログを知らない層に認知させるために紙の本を出版するという彼女の戦略に見事にはまり、こうして僕は、手にとってしまった。
同じような方、お待ちしてます。

 

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