AppleStoreの「新学期を始めよう」キャンペーンを利用して届いた娘のMacBook Airをセットアップ。
僕の使っているモデルと電源アダプター以外はほとんど変わっていないが、真新しいものはやっぱり美しい。
並べると、僕のMacBook Airは少々くすんで見える。
比べてみると、新しいもののほうがちょっとだけキーボードが固い。
柔らかくなった僕の方のキーボードに、それなりに年数の経過を感じる。
一瞬、新しいものと入れ替えてしまおうかと悪魔の考えがよぎったが、そこは親心が勝った。
妻も「そうすれば」と囁くけれど、せっかくの新しいスタートに相応しいのは、まっさらのマシン。
まっさらのSSDに彼女の新しいデータを、これから記録していくのだ。
多分、彼女は気づかずに自分専用のノートPCを与えられたことにウェーイ!と喜んでいたかもしれないが。
アレルギー解消のため
彼女は、以前新しいiPodを手に入れた時の初期不良から、若干ITにアレルギーがある模様。
製品の初期不良だったのだが、自分の設定が悪かったのではないかとちょっとした罪悪感を抱えていた。
もちろん、イマドキの子なので、ユーザーとしてはiPhoneもバリバリ使うし、家族共用のVAIOにもなんだかんだとフリーソフトを入れて使い込んでいた。
ただ、新しいものをこれからセットアップとなると、腰が引けていた。
だから、セットアップも全て僕がやるものと安心していた様子。
「じゃ、これからやってもらうから」
「えっ」
「わかりやすいガイドも買ってきたから」
「えっ」
経験済みの方は御存知の通り、イマドキのMacのセットアップなんて大変なことは何もない。
スクワットしながらでも終わるレベル。
しかし、やったことのない彼女には、とっても恐ろしく難しい作業と思っていた様子。
まさにここがポイントで、自分でアレコレやってみないと結局、ITのアレコレは身につかない。
社会に出て、自分では全くやらず周りに全部依存して、チンプンカンプンな質問と要望を出しては失笑を買うという「REST OF US」のさらに残り物になってしまう。
僕は、漢字トーク7.5のころにMacユーザーとなった。
当時、瀕死のApple製品など使っている知り合いは一人もおらず、まだGoogleも生まれていない頃。
わからないことをインターネットで調べるのも一苦労どころではなかった。
雑誌と書籍を頼りにアレコレ工夫して使い、失敗して徹夜で復元作業を行い、痛い目にあいながら、なんとか普通なことが普通にできるユーザーになった。
僕がそんなに苦労しているのは、マイナーなMacなんかを使うからだと妻は思っていたみたいだが。
当時は、3kg近いPowerBookに、非常時用のCD-ROMドライブとハードディスク、そしてもろもろのPCカードを持ち歩きながらウロウロしていた。
出先で急遽文書を渡す必要が生じ、「メールの環境はありますか?」と聞くと 「メールって、Eメールのこと?そんな最先端なものはないよ」 とそこそこの企業に返された。
「じゃあFAXで送信します」と答えると
「プリンターも持ち歩いてるの?」と聞かれ
「いや、パソコンから直接FAX送信します」
「そ、そんなことが出来るの?」
あとで聞けば、本当にそんなことが出来るのかと社内で話題になり、数人でFAXの前で待っていたらしい。
当然、プリントアウトしたものをFAXするより高品質な文書が吐き出された時には、感嘆の声が上がったらしい。
おかげでちょっとだけ尊敬され、クレームはその内容に触れることなく収まった。
聞かれたのは「どうやってこんなこと出来るの?」の一点だけ。
だから、FAXソフトの存在とドコモのDigital movaを繋げられるPCカードの存在を教えてあげた。
ただ、それだけで「コンピュータに精通した人」として一目置かれた。
まだITという言葉は一般的でないか生まれてもいない頃だ。
今思えば、20世紀の牧歌的な話だ。
昔話はこれくらいで。
昔はこんなに苦労したんだぞという話を強調し始めると、自分の年を思い出して暗くなる。
ともあれ、自分でやるという教育はココでしか出来ないので、このチャンスを活かすことにした。
ここでしか、彼女のアレルギーと罪悪感を解消するチャンスは存在しない。
まして、娘に何もしてあげられてない僕には、もう他にやってあげられることもない。
ただ、一人で放り出して泣かれても困るので、横についていることに。
なぜか彼女はACアダプターの延長コードを身にまといながら作業を始めた。
まずは、薄い!軽い!と大騒ぎ。
僕のMacBook Airには触れてはいけないと思っていたらしく、初めて実際に触ってモノとしてのMacBook Airに感激している。
そりゃそうだ。
PowerBook5300を最初に使っていた僕には、MacBook Airはとても同じ流れをくむプロダクトだとは思えない。
思えば、昔こうなればいいなあと思っていたことが全て叶った製品だといえる。 まあ、唯一バッテリーの持ちを除いては。。。
あっという間のセットアップ
始めてしまえば、設定画面に従ってあっという間に終わる。
僕のTime Capsuleのパスワードを入力して、ネットにもあっという間に接続。
iCloudのアカウントも持っているおかげで、連絡先が瞬時に反映されている。
楽になったよね。
これだけで、一応使える状態になるんだから。
「これで終了」
「えっ!もう終わり」
「簡単でしょ?」
「簡単!」
どうやら彼女のアレルギーもすっかり和らいだ様子。
追加のソフトのインストールもあっけなく終了。
とりあえず追加インストールしたソフトは4種類。
iWork
Microsoft Office
Google日本語入力
Dropbox
iWork、Microsoft Officeは僕がファミリーパックを購入していたので、追加費用はゼロ。
基本的にはiWorkがあれば事足りるのだが、やっぱりファイルのやり取りする際にちょっとした工夫が必要になる。
知識のある者同士なら、お互いの一工夫で乗り越えられるんだけど、そうでないとたちまちめんどくさいことになる。
事実、僕もiWorkがあればいいと思ってやってきてたんだけど、最近そうもいかない場面に出くわして急遽Microsoft Officeを手に入れたばかり。
この先Microsoftがどうなっていくのかはアレだけど、世界中にたっぷりとあるMicrosoft Officeの遺産とも言えるドキュメントの数々とは、まだまだこの先も、彼女の時代も付き合わなきゃいけないだろうし。
それに、こと気合の入った表計算を行うにはExcelのほうが使いやすい。
これは、僕自身の慣れかも知れないが、Numbersはレイアウトには優れているけれど、本気の表計算を行うには少々使い勝手が悪い気がする。
インプットメソッドについては、どうしようか考えたが、あえてことえりで苦労させることもないかなと思った。
ことえりをまず使わせて、「そもそもインプットメソッドっていうのはな。。。」というやり方も考えたが、たかが入力に苦労することはない。
入力自体は目的ではなく手段だ。 だから僕も乗り換えて快適なGoogle日本語入力をデフォルトに設定した。
それに彼女のほうが、新しい言葉を使う機会は僕の5億倍は多いはずだ。 であれば、やっぱりGoogle日本語入力のほうがフィットするはず。
バックアップは、僕のTime Capsuleに相乗りして行うとしても、アレコレ考えるとクラウドのファイルサーバーもあったほうが便利。
Googleドライブは、プライバシーポリシーに一抹の不安が残る。
SkyDriveは、アカウント取得とともにメールアドレスがついてくるので煩わしい。
ということでDropboxに。
それに僕のアカウントから招待すれば、お互いに500MBがプラスされる。
データ移行
データ移行といっても、移行するデータは2つだけ。
iTunesの音楽データとiPhoneの画像だ。
iTunesの移行も簡単だった。
ポータブルHDに保存しておいたiTunesのファイルをコピーするだけ。
作業自体は簡単。
ただデータ量は40GBもあった。
彼女たちの世代は物心ついてからの音楽を全て保存しているので、当然といえば当然かもしれないが、 未だ若い頃からのライブラリを修復していない僕は、いったいどれくらいになるんだろう?
画像もiPhoneをつないで、後は画面に従ってiPhotoにコピーするだけ。
Dropboxも立ち上がり、「カメラアップロードを使用しますか?」との問いかけに、娘の希望により使うことにした。
後は待つだけ。
ぼんやりしているとDropboxからのメッセージが!
「データが多すぎてコピー出来ません」
そんな!と思って確認すると、こちらも10GBあった。
写真枚数にして5000枚近く。
そりゃあ、3GBのDropboxじゃあ受け止められないよな。
iPhoneを使いはじめると、画像を撮る機会が増える。
SNSでシェアするという機会も増えたしね。
ましてイマドキの娘たちなら、そりゃあバチバチ撮るだろう。
と冷やかしながら、自分のデータ量を確認してみる。
!
僕も全く同じくらいの画像を持っていた。
それにしたってiTunesと同様、昔からのいわゆる写真を全てライブラリに出来ているわけではない。 あのフィルムのまんま放置されているものをデータ化したら、いったいどれくらいのデータ量になるのか想像もできない。
こうなると、Dropboxのカメラアップロードで画像を保管するってのは現実的ではない。
まあ、それはどのクラウドサービスでもそうなんだけど。
今後の画像データの扱いに課題が見つかった所でコピー終了。
残るは、Time Capsuleに最初のバックアップ作業を残すだけ。
これは、寝てる間にやっといてもらおうってことでTime Machineの起動を確認して作業は全て終了した。
最後に娘に伝えたこと。
「自分でガンガンいじりなさい。」
バックアップも自動でされてるし、システムの修復も簡単にできる。 だから致命的なトラブルには早々お目にかかれないから、怖がらずにガンガン使いなさい。
「ショートカットキーを覚えなさい。」
これは僕もまだ完全には身についていないけれど、これが身についているかいないかで作業効率は大きく違う。
今の高機能なトラックパッドとショートカットキーの組合せを身につければ、下手にマウスを使うよりはずっと快適に使える。
最初に意識しておくと覚えも早いだろう。
もし、Windowsを将来的に使うことになっても基本的な組み合わせは大きく変わらないし。
というわけで新顔のMacユーザーが1名誕生。 家庭内で、未だにエバンジェリストの役目を果たす必要もないんだろうけど。。。