6代目ではあるものの、ダニエル・クレイグという存在により、ジェームズ・ボンドという男は生を授かり、それを全うした。
僕らは、ダブルオーエージェントに昇格する場面に立ち会い、最後のときを見届ける羽目になった。
15年間に及んだ彼の長い旅路を堪能するには、5つの作品プラス2を一気に味わうべきだろう。
それなら、こんな順番で…
カジノ・ロワイヤルと慰めの報酬は、併せて一気に観たい。
短いタイムラインの中でのふたつの物語は、あの女にまつわる物語の前後編と言っていい。
1.カジノ・ロワイヤル
情報源: Casino Royale | James Bond 007
2.慰めの報酬
情報源: Quantum Of Solace | James Bond 007
その背後にもっと巨大な組織が控えていることは、この時にはわかりようもなかった。
しかし、美しい宵の明星ヴェスパー・リンドを巻き込んだオペレーションを実行していた者たちには、ひとまずのケリをつけることができた。
しかし、かさぶたを剥がすだけでは済まないような深手を心に負ったボンドは、女の裏切りに過敏になってしまう。
それが、マドレーヌ・スワンとの5年に及ぶ空白期間を生んでしまう事になる。
あの女は、墓石の下からでも厄災をもたらすのだ。
ミスター・ホワイトもお忘れなく
情報源: Focus Of The Week: Mr. White | James Bond 007
そのシンプルすぎる偽名に、ただの雑魚キャラに過ぎないと思っていた。
それが、後々、あれほど重要なキャラクターになろうとは…
覚えておかなければならないのは、彼はボンドを殺さなかったということだ。
ヴェスパー・リンドが、それを交換条件にしていたとはいえ、彼はその約束を果たしのだ。
一息ついたら、スカイフォールへ。
3.スカイフォール
ここでは、円熟のダブルオーエージェントになったボンドにお目にかかれる。
不眠症に悩まされギラギラしていた前作の面影は消えている。
衰えが見え始めた自分の能力に不安を感じながらも、それでもダブルオーエージェントであることを気に入っている自分。
そしてそんな彼を支えるボンド一家も勢揃いだ。
現場上がりのマネーペニー、若きQuartermaster、そしてマホガニーのデスクが似合う男の新M。
ボンドは、この中で最も現場を知るベテランになった。
だから、ブレている場合ではないのだ。
前任者のMの本名はなんだったのだろう?
ボンドは、当然知っているようだが…
思えば、ボンドの味方の女は全員Mのイニシャルだ。
母親のモニーク、マドレーヌ、そしてマチルド。
マネーペニーだってそうだ。
それを持たないヴェスパーがあのような運命を辿ってしまうのも致し方ないというところか。
となれば、いよいよ前任者のMの本名が気になるところだ。
さて、ここで女王陛下の007を観ておこう。
+1 女王陛下の007
情報源: On Her Majesty’s Secret Service | James Bond 007
もちろん単体でも楽しめる。
しかし、ここでは、スペクターとノー・タイム・トゥ・ダイをより楽しむための下地づくりとして。
これをチェックしておくことで、ラストスパート2作に深みと膨らみを与えられる。
4.スペクター
5.ノー・タイム・トゥ・ダイ
情報源: No Time To Die | James Bond 007
女王陛下の007で下地を作り、スペクターのエンディングで覚悟を決めた僕らにとって、ノー・タイム・トゥ・ダイのエンディングは全く予想外のものだった。
でも僕には、最悪の悲劇を免れたある種のハッピーエンドだと思える。
+2 Being James Bond
振り返ってみれば全てが連なっていた長い物語。
見届けた余韻に浸りながら、今度はダニエル・クレイグ自身の物語をどうぞ。
以前は、Apple TV+やAmazonプライムでも配信されていたけれど、今ではYouTubeのみ。
まともな日本語訳が欲しいお方は、ディスクの特典映像となっているので、そちらをどうぞ。
ノーランのダークナイトトリロジーで僕の中のバットマンがケリがついたように、ダニエル・ボンドによって僕の中の007もケリがついた。
もちろん James Bond will returnらしいからシリーズは続くし、7代目も誕生するだろう。
それを拒絶するつもりもないし、それはそれで僕は楽しむだろう。
ただしかし、この句読点が大きいことは間違いない…
この5+2を振り返るには、それなりの労力と時間がかかるのは間違いない。
でも大丈夫。
だって彼が言っていたじゃないか。
We have all the time in the world.