Sports / football

2021 Army-Navy Game 122回目のここにしか存在しないゲーム

独特の様式美と文字通りの肉弾戦。
そんなゲームは、地球上どこを探しても、ここにしか存在しない。
そんなオンリーワンのゲーム、Army–Navy Gameの122回目の対戦が行われた。
そう、陸軍士官学校 vs 海軍兵学校の一戦だ。

何十年も前のゲームをまるで昨日のことのように、いや、今現在ゲームの真っ只中であるように感情を抑えきれずに語り出す卒業生。
その姿を見れば、エモーショナルなゲームなんて表現は、他所では使う気になれない。

捕虜の交換から始まる

ゲームに先立ち、最初に行われるのは、捕虜の交換だ。

陸軍士官学校と海軍兵学校の間で交換して学んでいる士官候補生たちを、このゲームの前に一旦引き渡すところからゲームが始まっていく。

2種類のフライオーバー

このゲームの特別なところは、フライオーバーにもあらわれている。
2種類のフライオーバーが見られるゲームなんてない。
そう、両チームとも自前の、持ち込みのフライオーバーなのだ。

海軍の主力であるF/A-18 スーパーホーネットが飛び去った後、今度は陸軍の象徴であるヘリコプターの編隊が現れる。

このゲームのためだけのユニフォーム

リーグ戦もチャンピオンシップも関係なく、この相手には絶体に勝たなければならないという対戦が、いま世界にどれほど存在しているだろう。 今年、122回目の対戦となるArmy–Navy Gameは、そんな希少なゲームだ。 そのオンリーワンのゲームに着用されるスペシャルなユニフォームが公開された。

情報源: 2021 Army-Navy Game スペシャルなユニフォームを公開 | ALOG

このゲームでしか着用しないスペシャルなユニフォーム。
Navyのヘルメットにいたっては、ひとつひとつが3時間もかけてハンドペインティングされている。

文字通りの肉弾戦

タイトなフレックスボーンといえば今風だが、実質はワイドなノーマルTというべきだろう。
そんなフォーメーションから繰り出されるプレイのメインは、懐かしくもFBのダイブだ。
ここまでFBにボールを持たせるフットボールには、近年お目にかかることができない。
トラップなんてひねりもなく、ただ真っ直ぐにわたすダイブ。
ときには、FBを3人投入し、FBの前に壁のように並べて、さらに力づくのダイブを行う。

もう一人のメインキャリアは、QBだ。
最近は、NFLでもQBは、よく走る。
しかし、あれとは種類が違う。

QBがボールを持つことの最大の利点は、他の10人を全てブロッカーに使えること。
だから、彼らはタイトなフォーメーションでブロッカー10人を固めると、QBはブラストのように捻じ込みながら走っていく。
ショットガンにしたって、延々ワイルドキャットをやっているようなものだ。
だからこそ、本当に稀にしか見られないパスの効果が、グッと高まるのだが…

トリックも使わず、裏もかかない、正攻法のショートヤードの戦いは、A Game of Inchesのモデルのようだ。

2番目に歌うために

ゲームが終了すると、両チームとも校歌を歌う機会が与えられる。
勝利したチームは、2番目に校歌を歌う権利を与えられる。
敗戦チームは、先に歌うと、その場に居残って勝利チームの校歌を聴く義務がある。
だから、SING SECONDはミッションなのだ。

ゲームの後も印象的だった。
言葉少なに、しかし長いハグを続ける二人のヘッドコーチ。
お互いにしかわからない重責とリスペクト。

Armyのヘッドコーチ Jeff Monkenが、試合の後、ゆったりとフィールドを歩いていた。
ゲーム中の厳しい表情とは別人のように穏やかになった笑顔で、Navyの選手を見つけては、祝福し微笑んでいた。
全く急ぐことなく、いっさい儀礼的でもなく…
僕には、それがこのゲームのベストシーンだ。

2021は、カタチとしてはNavyのアップセットということになる。
通算成績は、62勝53敗7分けでNavyがリードを保っている。

コメントを残す