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2024 Army-Navy Game 「ジョリー・ロジャーの凱旋」

125回目の陸軍士官学校 vs 海軍兵学校の一戦、この結果をアップセットと表現したら怒られるだろうか。
ここまで8勝3敗の海軍兵学校が、11勝1敗の陸軍士官学校に快勝したのだ。
しかも、その1敗もノートルダム相手に喫したものであり、陸軍士官学校は、今年初めて、アメリカン・アスレチック・カンファレンスのチャンピオンになっていたのだから。

UNITE

異例なのは、そのイントロに、強く団結を呼びかけるメッセージが込められていたことだ。
南北戦争まで、引き合いに出して…

大統領選挙が終わった直後、年明けには、もう新しい政権に移行するアメリカ。
二大政党制であるからこその、対立の溝の深さが生じるのだろうか…
そして、当の次期大統領は、しっかりとスタジアムに足を運んでいた。

イデオロギーの違いを乗り越えて、強いアイコンにアイデンティティを共有する人々。
そして、民意が示されれば、それに従うリーダー。

イデオロギーをこねくり回しちゃ、アイデンティティの共有を拒む輩や、民意が示されてもゾンビが官邸に居座り続ける我が国から見れば、本当に遠い異国の話だ…

スペシャルなユニフォーム

この一戦でしか着用されない、スペシャルなユニフォーム。
今年は、第101空挺師団 vs ジョリー・ロジャー。

2024 Army-Navy Game 「第101空挺師団 vs ジョリー・ロジャー」 | ALOG

バルキリー好きの僕としては、スカル・リーダーのロイ・フォッカー少佐に敬意を表して、ユニフォーム対決はNavyの勝ちとさせていただこう。

このユニフォームを纏い、それぞれが自前のFlyoverで入場するシーンも、ひとつのピークだ。

最優秀OLユニットとハイズマン候補

今年、ArmyのOLユニットは、ジョー・ムーア賞を受賞した。
これは、攻撃ラインユニット全体を表彰するものだ。

Army Black Knights Win 2024 Joe Moore Award for Most Outstanding Offensive Line Unit

ARMY BLACK KNIGHTS WIN THE 2024 JOE MOORE AWARD — Joe Moore Award

そして、QB ブライソン・デイリーがハイズマン賞の第6位にまでランキングされた。

The Downtown Athletic Club announced the finalists for the Heisman Trophy on Monday and Army quarterback Bryson Daily failed to make the cut as Heisman finalist

Army Black Knights Star Bryson Daily Falls Short of Heisman Finalist Cut

そりゃ、アメリカン・アスレチック・カンファレンスのチャンピオンにもなろうというものだ。

肉弾戦上等のArmy–Navy Gameにおいては、すなわち10人のブロッカーを利用して、QB自身が延々と自らのワイルドキャットをコールし続けるようなゲームにおいては、有利なことこの上ない。

Navy Midshipmen vs. No. 22 Army Black Knights: FULL GAME HIGHLIGHTS

しかし、このゲームでは、QB ブライソン・デイリーは53ヤードしか走らせてもらえなかった。
しかも、最長は5ヤードだ。
INTは、3つ。
3つ目は、キャッチアップしなければならない、パス見え見えの状況だったから差し引くとしても、彼は常にプレッシャーを浴びていた。

Navyのフロントが、良い働きをしていたのだ。
ランヘビーなArmyに対しても8メンを敷かず、7メンで戦う。
ミニマムなILBのブリッツが効果的だった。
DLはスウォームしてホールなんか作らせなかった。
そして、DLは、もうひとつ、決定的な仕事をした。

NTのフェイクパント

フェイクパントでボールキャリアになったのは、なんとNT ランドン・ロビンソン。
DTをリードブロッカーに使った彼は、必要だった5ヤードをはるかに超えて、29ヤードもゲインした。
この日のNavy 第2位のラッシング記録だ。

リードしていても、ギャンブルプレイが必要な場面はある。
Armyは、追加TDこそ奪えないものの、FGで確実に忍び寄り、気づけば21-3のワンポゼッション差になっていた。
この先、Navyが確実に加点できなければ、なんらかのアクシデントがあれば、あっという間にひっくり返ってしまう。
このフィールドポジションも、出しごろの絶好の位置だった。
このドライブを確実にTDに繋げたことが、このゲームの最大のポイントだったはずだ。

Navy QB ブレイク・ホルバート

この日、輝いたのは、ブレイク・ホルバート。
便りなさげに見えながら、25回もボールを持って、ひょうひょうとランだけで204ヤードも稼ぎ出した。
アベレージは8.2ヤード!
勝負所のパスを確実に決め、カバーされていれば、スクランブルで回避した。
まさに、ジョリー・ロジャーばりの動きで。
そうして、それを可能にしたのは、マイQBを守り続けたNavyのOLユニットの底力だろう。

ここまで8勝3敗だろうが、相手が11勝1敗だろうが、そんなことは関係ねえ。
今年のお前とは、まだ0勝0敗だぜ。
そんなNavyの気構えを思えば、軽々しくアップセットと呼ぶのも失礼になるだろうか…

Armyは3連勝を手にすることはできなかった。
そして、Navyは3年ぶりに、SING SECOND、2番目に校歌を歌う権利を取り戻した。

通算成績は、これで63勝55敗7分と、Navyは、ひとつリードを伸ばしたことになる…


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