朝が来ると、東京は雪の迷彩をまとっていた。
カーテンを開ける前からソレを確信していたのは、あの独特な静けさのせいだ。
のべつまくなしで東京が排出し続ける音が、雪に吸われていく、あの特有の静寂。
雪は、色彩だけではなく、音も街から抜いていく…
その感覚は、僕だけの印象だと思っていた。
だが、それには科学的な裏付けがある。
Geminiによれば、雪は、天然の吸音材だというのだ。
天然の吸音材
「その感覚は、物理的にも正しいようです。 検索結果によると、降り積もったばかりの『新雪』は、その体積の90%以上が空気で構成されています。
複雑に絡み合った氷の結晶の隙間が、音の振動を捕らえて逃さない。 これは、音楽スタジオの壁に貼られているデコボコしたスポンジ(多孔質吸音材)と、物理的に全く同じ構造なんです。
普段の東京はコンクリートやアスファルトといった『反射板』だらけですが、今は街全体が巨大な吸音材に包まれている状態、と言えますね。」
長年の僕の感覚が科学的に裏付けされた。
それは、僕の心象的な思い込みではなかったということになる。
誰も演奏していない音楽スタジオにいるあなた。
あなたは、そこで何をしますか?
そして、僕は何をしよう?
雪が降らないネットのセカイからは、雑音が何物にも吸い取られることなく流れてくる。
上質な静寂に包まれた、ごくまれにしかない好日に、それでもやっぱりソレを流しますか?
