20年越しの『モノノ怪』の「形・真・理」へのダイブ

ある日、深夜のテレビから一本のアニメーションが流れ出した。
観ていても、全くもってわけがわからない。
左脳はオーバーフローして、ついに、その働きを止めてしまった。
だが、圧倒的な映像美と溢れ出す人の情念に、右脳がグイグイと惹きつけられて、僕は眼を離すことができなくなってしまった。

20年の歳月を経て、それは劇場三部作として公開されている。
そのモノノ怪の「形(かたち)」と「真(まこと)」と「理(ことわり)」を明らかにすべく、僕は過去の作品に一気に潜ることにした。

劇場版モノノ怪 第三章 蛇神

世界中のファンの熱意を受け、伝説の作品が新境地に到達―。
2024年に始まった『劇場版モノノ怪』三部作。
第1作『劇場版モノノ怪 唐傘』は多くのリピーターを生み出す熱狂に押されて驚異のロングラン上映を記録した。
続く2025年3月には続編となる『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が劇場公開。 加速する物語と深まる人物描写、進化したグラフィックに対する絶賛は国内にとどまらず、 カナダ・ファンタジア国際映画祭にて長編アニメーション部門の観客賞を2作連続で受賞する快挙を成し遂げた。

そして2026年5月――謎と思惑が渦巻く女の園・大奥を舞台にした壮大なサーガが、第三章にして完結を迎える

作品情報|『劇場版 モノノ怪』公式サイト

形・真・理

アヤカシ()は、すでに、そこらに在る。
人の情念や怨念が、それに取り憑くと、それは物の怪という人に災いをもたらす存在になり変わってしまう。

主人公である「薬売り」は、物の怪を斬り祓うことのできる「退魔の剣」を持っている。
しかし、「形(かたち)」と「真(まこと)」と「理(ことわり)」の三様を得ることができなければ、その剣の封印を解くことができない。

そうして、「薬売り」は、オーソドックスな推理小説の名探偵のように、誰の情念が、その物の怪を生み出したのかを解き明かしていく。

劇場三部作の舞台は、一貫して大奥
そう、おどろおどろしい人の情念と怨念が、うずたかく積み重なっている場所だ。
その場所で、「薬売り」は最大の危機に直面することになる。

和紙の手触りの映像

20年ほど前、何の前情報も持っていなかった僕が、たまたまテレビ放送されていたものから眼が離せなかったのは、その美しく、独特な映像の力があったからだ。

浮世絵をコンセプトにした、よりポップなカラースキームを、現在の魅力的なキャラクターに反映させる。
加えて、キャラクラーごと、背景ごとにそれぞれの和紙のテクスチャーを合成していく。

そんな手触り感のある美しい映像から、僕の右脳が眼を離せなくなるのも当然というものだ。

斬り祓う理由

僕は、ずっと引っかかっていたものを明らかにするために、一気に過去の作品を遡ることした。
そう、『怪 〜ayakashi〜』に至るまで。
右脳に刻み込まれた「形(かたち)」の、「真(まこと)」と「理(ことわり)」を左脳で理解しようとしたのだ。

時代を超えて神出鬼没で現れる「薬売り」が対峙する物の怪たちには、不思議と恐ろしさは感じることができない。
それは、アヤカシ()が、行き場のない人の情念や怨念を果たしてあげようとする姿だからだ。

だが、彼らは、この世にあってはいけない存在。
だから、「薬売り」は、彼らを「斬り祓う」のだ。
決して、「斬り捨てる」のではなく…

Buy Me a Coffee

コメントを残す