The Original All-Purpose Back:遅すぎた殿堂入りと80周年の巡り合わせ

オールパーパス・バックなんて、最近では耳にすることはなくなった。
現在では、RBがパスをレシーブするなんてアタリマエのことで、なんならハンドオフを受けるより機会が多いことだろう。

しかし、そうではない頃に、史上初のラン、パスともに1000ヤード越えを記録した選手が、ようやく名誉の殿堂入りをすることになった。
彼がダイナスティを築くことに貢献したチームが80周年を迎える年というのも、巡り合わせだろうか…

ロジャー・クレイグ

彼はNFLのRBとして史上初のラン1,000ヤード超え、かつレシーブ1,000ヤード超えという「1,000/1,000(サウザンド・サウザンド)」を同一シーズンに成し遂げた。
それから40年が過ぎた現在でも、それを記録できたのは、マーシャル・フォークと直系の後輩とも言えるクリスチャン・マキャフリーしかいない。

Roger Craig: The ORIGINAL All-Purpose Back! | Throwback Originals

まだウェストコースト・オフェンスという呼び名は一般化しておらず、N&Dオフェンスと呼ばれていたと記憶している。
短くパスをデリバリーして、YACを稼ぐ、すなわちランアフターキャッチで前進するというものだ。

当時、まだまだランストッパーとしての役割が大きかったLBがマークしなければならないRBに、我らがジョー・”クール”・モンタナは、どんどんパスをデリバリーしていく。
NFLのRBって、こんなにターゲットになるの?と当時は驚いたものだ。
しかし、後から見回してみれば、それは、あのチームで、あのプレイヤーだったからだということも理解できる。

”Work Horse”のニックネーム通り、ランプレイでも素晴らしかった。
彼以外に決して見たことのない独特のハイニーアクションで、最後はBYOB!
見事、走路をこじ開けると、なんでもないトラッププレイがロングランTDに化けてしまう。

そんな選手が、後に長くNFLを支配するウェストコースト・オフェンスの貢献者が、これまでカントンに呼ばれることはなかった。
それが、ようやく今年、ゴールデンジャケットの採寸が行われることになった。

The Pro Football Hall of Fame Class of 2026 | NFL Honors

同じクラスの顔ぶれを見ても、もっと早くてもよかったはずだとは思う。
でも、よかった。
せめて、生きてるうちに間に合ったのだから…

トム・ラスマン

そして、同時期にバックフィールドを形成していたトム・ラスマンも忘れ難い。
FBとしてブロッカーになることが多かったため、ランではロジャー・クレイグほどのスタッツは残せていない。
しかし、時折見せるカウンタープレイも効果的だったし、何より、レシーブ数で言えば、ロジャー・クレイグより多かった印象すらある。
彼も、しっかりとチームの殿堂入りを果たしている。

面白いのは、ふたりともネブラスカ大学の出身であることだ。
ゴリゴリのパワーハウスで育ったRBが、こんなにもソフィストケートされたオフェンスの柱になってしまったのだから。

あの頃、ジョー・”クール”・モンタナが、もっとも多用していたウェポンは、この二人のRBだった。
彼らが、小刻みな前進を勝ち取り、ドライブを繋いでいたのだ。
そうしてそれは、チームに最初のダイナスティをもたらすことになった。

チーム創立80周年

49ers.com | The Official Site of the San Francisco 49ers

そうしてチームは、今年、創立80周年を迎える。
彼らが最初にダイナスティを築いたのは、1980年代だった。
この節目の年に、チームにダイナスティをもたらすことに貢献した選手が、名誉の殿堂入りに間に合ったというのが、なんとも喜ばしい。

そうして、この1980年代は、NFLにとってもゲームチェンジャーの年と言えるだろう。
NFL100年の歴史をわずか4分で振り返る動画の中で唯一登場した戦術は、ウェストコースト・オフェンスだけだった。

Head Coach 
Bill Walsh 

“I think Bill Walsh was way ahead of his time.” – Joe Montana

NFL 100 | NFL.com

NFL最大のゲームチェンジャーであるポール・ブラウンに直々に師事し、のちにリーグを席巻するパスによるボールコントロールとも言えるオフェンスを作り上げた。
最初の25プレイをあらかじめ用意するというスクリプト作りも、彼から始まった。
それは、当初5プレイに過ぎなかったようだが…

当時は、その凄さがわからなかった。
見た目はプロタイプのスプリットバック。
さして変わったところは見受けられない。
ただ、RBへのパスが多いなぁ…程度の印象だったのだけれど。

今の知識を持って、当時にタイムスリップできればいいのにね。
そうすれば、N&Dオフェンスがウェストコースト・オフェンスに成熟していくところを、スクリプトが5プレイからドンドン伸びているところを拝めるのに。

それに何より、NFL100年の歴史の中で、わずか3人しか達成できていない記録を最初に達成するRBのプレイを目に焼きつけておけるのにね…

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