「ガス人間」観た人のためのレビュー:SクラスのB級作品

Netflixで配信が始まったガス人間
結局、僕は最後まで一気見してしまった。

Netflixは、持て余す資本を投入して、素晴らしく贅沢なB級作品を作り上げた。
いや、これは批判ではない。
A級を目指した駄作も、山のようにある。
しかし、SクラスのB級作品には、なかなかお目にかかれない。
キーになるのは、エピソード4 「恐怖地帯」だ。

UTAのトランスペアレントな怪人感

そもそも僕が再生ボタンを押してしまったのは、予告編に登場したUTAのトランスペアレントな怪人感のせいだ。
バイロジカルな怪人感でもなく、安っぽい狂気感でもなく、ガス人間というオンリーワンな怪人の特異さを、静かに、だが力強く演じている。
その唯一無二の存在感に、彼の顛末を見届けたくなってしまったのだ。

彼の存在感と、果たすべき復讐に向かうストーリーは、一直線にハイウェイを進んでいくように見えた。
だが、エピソード4 で、その世界は広がり、厚みを増していく。

エピソード4 「恐怖地帯」

そもそも、脇を固める俳優陣が豪華な上に、彼らが思い切りのいい怪演を見せている。
筆頭に上がるのは、冒頭から登場している竹野内豊だろう。
こんな竹野内豊を、僕は知らない。

そうして、エピソード4 「恐怖地帯」だ。
ここから、ミステリアス&魅力的なサブキャラのレギオンが一気に登場する。

人間燃料にされる一歩手前とも言える藤川兄弟の登場が、ガス人間の直線的な物語に膨らみを生む。
広瀬すずが、コンプレックスを抱えた内気な兄思いの妹にしか見えないのは、メイクのせいだけではない。
それが、広瀬すずだと気がついたのは、随分経ってからだった。

兄である林遣都が、ゴロ監督と面接するシーンはインプレッシブ。
ゴロ監督を演じる高嶋政宏の怪演によって、カルトテイストが一気に開花する。

このエピソードにしか登場しない賀来賢人の、気配の消し方も唸らされる。
それが彼であると確信できたのも、かなり後になってからだ。

おそらく劇場版に編集するのなら、真っ先にカットされるシーンだろうが、SクラスのB級作品を成立させるためには欠かせないシーンだ。

松浦祐也も、ゲスっぷりを相変わらず好演していた。
密告はうたうでも、その実力を発揮していたが、今日本でゲスを演じさせたら、この人の右に出る人はいないんじゃないだろうか。

怪人の悲しみ

怪人の物語には、その悲しみがつきまとう。
人の心を失いそうになり、怪人化が進むことへの苦悩が描かれていくのが伝統的だ。

だが、ガス人間の、いや、レンおじさんの悲劇は、そこにはない。
彼は、もはや、その悲しみも感じることができない存在になっているのだ。
人の心を失っても、なお、存在し続けてしまう悲しさ。
そして、そのことすら認知できていない。

最後、彼は、京子と邂逅することができたのだろうか。
それが単なる科学的中和とは、別次元のものであったと願いたい…

この先、それを知ることができるのは、岡本警部補しかいないのだが…

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