ワシントン・コマンダース:ジョン・リギンズ 背番号44を永久欠番に「ディーゼルに不可欠の酸素」

ワシントン・コマンダース、いや、襟を正して言い直そう。
ワシントン・レッドスキンズの背番号#44が、正式に欠番になることになった。

それは、ディーゼルと呼ばれたRB ジョン・リギンズの背番号だ。
サイドラインに戻れば、すぐに酸素吸入器に貪りつく姿が鮮烈だった。
だが、彼には、酸素よりも、もっと重要なものがあったことを、僕は初めて知ることになる。

1982 Washington Redskins

わけもわからず観戦していた初めてのスーパーボウル。
ただ、ひとりの男の姿は鮮烈に覚えている。

華麗さとは程遠いランニングプレイで躊躇なく密集に飛び込むと、ゴリゴリと前進を重ねる。
相当なヒットを受けているはずなのに、何事もなかったように、またそれを繰り返す。

サイドラインに戻ると、一目散に酸素吸入器に貪りつく。
しかし、その眼光はフィールドを睨みつけたままだ。

今あらためてスタッツを見ると、彼はこのスーパーボウルで、38回もボールを持ち、166ヤードもゲインしている。
しかも、このとき彼は33歳だった。
まずは、酸素吸入器に貪りつくのは、今思えば、当然のことだ。

そうして、このスーパーボウルで、NFL100年の歴史で20位にランキングされる偉大なプレイを披露する。

January 30, 1983 

RIGGINS’ 43 YARD TD RUN ON 4TH DOWN IN SB XVII 

“That play, it was just kind of a miracle.” – Dale Earnhardt Jr.

NFL 100 | NFL.com

チームとの契約交渉が捻じれたことで、1年近く、カンザスで事実上の引退生活を送っていた彼のもとに、新任のヘッドコーチが説得にやって来た。

説得に応じたジョン・リギンズに、そのヘッドコーチはThe Hogsと呼ばれる強力なOLと、カウンタートレイというプレイを与え、文字通りランヘビーの中心に据えた。

そのヘッドコーチの名前は、ジョー・ギブスだ。



ランヘビーは、鮮明になり、1982年シーズンの4試合のポストシーズンゲームにおいて、彼は136回もボールを持ち、610ヤードもゲインしている。
これはいまだに、ポストシーズンにおけるNFL記録だ。

そうしてこのシーズンは、NFL100年の歴史に残るプレイを生み出し、ワシントンD.C.に初めての#VLTをもたらすことになったのだ。

NFL100年の歴史に残るキャラクター

ジョン・リギンズはプレイ以外でも、NFL100年の歴史に名前を刻んでいる。
NFL100年の歴史に残るキャラクターランキングで、堂々18位にランクイン。

Running Back 
JOHN RIGGINS 

“If the band was playing, John had his own drums that he was beating.” – Joe Theisman

NFL 100 | NFL.com

時代が時代とはいえ、ヘルメットの下は、モヒカン刈りだった。
物置小屋に暮らしていたこともあり、ブラックタイがあたりまえの晩餐会にカウボーイブーツであらわれる。
晩餐会の副大統領のスピーチ中は、床で大いびきをかいていた。

周囲の目など、まるで気にしない男。
シングルバックに相応しく、淡々と自分のペースで生きている男だと思っていた。
だが、動画での彼の告白は意外なものだった。

ディーゼルに不可欠な酸素

試合前の彼は、いつもナーバスだった。
キックオフ2時間前に到着すると、ロッカールームに横たわっていた。
今日こそ自分が「まがいモノ」だとバレてしまうかもしれないという不安と恐怖に怯えながら…

それは、強い承認欲求ではない。
彼は、ファンの期待を裏切りたくなかったのだ。

ルーキーシーズンに、ジェッツでジョー・ネイマスの背中を目撃したことが、彼の源流となった。
観客が、ブロードウェイ・ジョーに送る、終わりの見えないスタンディングオベーション。
そのとき彼は、自分が誰のために働いているのかを、はじめて実感したのだ。
球団は集金して金を渡してくれるが、そもそも誰が、それを払っているのかを…

観客を失望させたくない。
いつか自分も、あの殿堂入りQBのようなスタンディングオベーションを浴びるのだ。
それがジョン・リギンズの原動力となった。

ディーゼルは内燃機関だ。スパークプラグはなくても、燃料があれば動く。だが、燃料がシリンダーに注入されて圧縮が始まったとき、もう一つどうしても必要なものがある。それが酸素(Oxygen)だ。酸素がなければ、燃焼は起きない。
だから、私は心からの誠意を込めて言おう。
ファンこそが、私の酸素だった。

本当に必要だったのは、サイドラインの酸素吸入器ではなかった。
それは、観客席に無数に存在していた。
それこそが、何度でもボールを持ち続ける彼のタフネスを支えていたのだ…

さて、セレモニー当日、彼は、どんな出立ちで現れるのだろう。
まさか、またフルパッドってことはないよね?

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