R.I.P. PRO BOWL

ついにプロボウルが息を引き取った。
長いこと寝たきりだったから、覚悟はしていたけれど…

これでNFLは、北米4大スポーツの中で、唯一、オールスター戦を開催しないリーグになった。

AFC-NFC PRO BOWL GAME WILL NO LONGER BE STAGED

NFLは今後、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)対NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)のプロボウルゲームズを実施しない。その代わりに、選手が選出される瞬間や、その栄誉に伴う称賛、そしてVerizon提供プロボウルに選出された選手たちを一堂に集めてその功績を祝うことに、より重点を置くことになる。

NFLがプロボウル選出の意義を強調、AFC対NFCのプロボウルゲームは今後開催せず | NFL JAPAN.COM

今回の決定前から、プロボウルは、実質的に死んでいた。
NFLは延命治療を、あれこれ試みてみたが、いよいよ取る手立てがなくなってしまったのだろう。

人気が低下していたのが、その最大の理由だが、その原因は、選手たちの無気力プレイにある。
昔のオークランド・レイダースのベテランたちのスクリメージのように、ホンちゃんのゲームでなければ全力を出さないというプレイの連続が、観ていて面白いわけがない。

ラッシュをかけないフロント、ハードな集まりもタックルもみせない守備陣に、逆にRBたちも魅力を発揮できなくなっていった。
唯一残されていたのは、レシーバーとDBのマッチアップくらいだっただろうか…

2009年までは、スーパーボウルの翌週に開催され、これが本当のシーズンのファイナルゲームだった。
スーパーボウルに出場した選手たちも登場し、本当にリーグのベストメンバーによるオールスターゲームだった。

シーズン中ではなく、シーズン最終にオールスター戦を行うのは、北米4大スポーツの中でNFLが唯一だったが、僕は、このスケジューリングが好きだった。
前週、NFLのベストゲームが繰り広げられた後、その選手たちも締めくくりのゲームに臨む。
ライバル関係もプレイオフの怨念も、水に流したNO SIDE感のようなものと言えば良いかもしれない。
ただ、この晴れの舞台で、その栄誉に見合った最高のプレイを見せようとする選手たちの姿が好きだった。

だが、スケジューリングが変更になり、スーパーボウルの前に開催されるようになり、該当する選手たちは出場できなくなり、オールスターというには、ちょっとケチがつき始めた。
報奨金がもらえると言っても、高騰する彼らのサラリーに比べれば、いくらにもならない。

だとすれば是が非でも勝利をあげて賞金を手に入れようとも思わず、なんだったら出場そのもののを辞退する選手も珍しくなくなった。
こんなところで怪我なんかしちゃかなわない。
そうして、無気力試合に流れていった。

The Most LEGENDARY Pro Bowl Ever! (2007 Pro Bowl)

ガチでやっていた頃のプロボウルには、こんな伝説的なヒットも生まれている。

ヒットを受けた元バッファロー・ビルズのパンター、ブライアン・ムーアマンは、プレイ直後に、ショーン・テイラーのヒットを直接、讃えている。
そして、このときのヒットで穴が開き、フェイスマスクの塗料が残るジャージを、今も飾っている。
彼が額装までしたジャージは、それが唯一だ。

プロボウルの特別ルールにより、戦術的な細工はできない。
でも、そのシンプルなフォーマットだからこそ、選ばれたリーグ最高の選手たちが、その卓越した個人能力を遺憾なく発揮する。
それは、スーパーボウルとはまた別の、リーグ最高のゲームだったのだ…

スーパーボウルに繋がるゲームじゃないから、そこで怪我しちゃかなわないというのも一理ある。
競技としてみれば当然なのかもしれない。
でも、興行でもあるよね?
観客が金を払うのは、選手のスタッツに対してじゃない。
あくまで目の前で繰り広げられるプレイに対してだ。

いつもは同じカンファレンスでいがみ合っている同士がホットラインを形成する。
憎々しさしか持ち合わせていない、煮湯を飲まされたライバルチームのエースRBのために身を挺してブロックをする。
そういうスポーツ心をくすぐるゲームが、他に存在しているだろうか?

競技か?と問われれば、明快には答えられない。
しかし、リーグのベストだと選出された選手たちが、そのプライドを胸に、持てる力を遺憾なく発揮する。
それが、最高のゲームでないわけがない。

ゲームチェンジ

だが、致し方ないのだろう。
小さくなり続けていくショルダーパッドと対照的に、ヘルメットは大型化していく。
ガーディアンキャップまでシーズン中に着用しても、いまだCTEへの明確な対策は打ち出せていない。
サッカーとて、そのうちヘディングが禁止されるようになるのかもしれない。

グラディエーターに、エキシビジョンにまで命をかけろというわけにはいかないじゃないか。

僕は真剣に、いつかフラッグフットボールしか残らないんじゃないかと思うことがある。

母親の1割が危険だからと子供にプレイを禁じたら、あっという間に競技人口は減り、観客もみるみる減少していくと言われている。

「コンカッション」 観た人のためのレビュー 「Show Must Go On?」 – ALOG

僕は、命懸けで斬り合うグラディエーターを、コロッセオで呑気に眺める民衆になりたいわけじゃない。
ただ、フラッグフットボールでは、フットボールが与えてくれるドキドキを感じることができない。

もっとも変わり続けるNFLでも、それは同じことなのかもしれない。
面白がる努力をしなければ、ワクワクできないようになりつつある。

まさしくゲームチェンジ。
プロボウルの終焉は、ナニカの始まりなのか、それとも終わりなのか…

一番変化が必要なのは僕自身の認識なのかもしれない。
ただ、今は、感傷がそれを邪魔しているようだ…

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