Netflix『アメリカズ・チーム: ジェリー・ジョーンズとカウボーイズの栄光』レビュー:ギャンブラーの勝ちと負け

Netflixで配信されている『アメリカズ・チーム: ジェリー・ジョーンズとカウボーイズの栄光』を視聴した。
いつまでも新参者のオーナーだと思っていたけれど、ふと気づけば、ダラス・カウボーイズの歴史は、ジェリー・ジョーンズがオーナーになってからの方が長いのだ。

America’s Team: The Gambler and His Cowboys

ジェリー・ジョーンズ自身が、「1年365日続くソープオペラだ」と表現するように、アメリカズ・チームと呼ばれるエリートチームの栄枯盛衰のドキュメンタリーは、驚くべき事実のジェットコースター。
カウボーイズが嫌いな僕も、思わず引き込まれてしまった。

The Gambler

タイトルのThe Gamblerとはオーナーのジェリー・ジョーンズのことだ。
ずっとフットボールチームのオーナーになりたかった男は、ようやく油田を掘り当てて、その資金を手にすることになる。

「ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-」でも驚いたけど、金を持て余した億万長者ばかりがスポーツビジネスに乗り出しているわけじゃない。
このビジネスの成功に人生をベットする者もいる。

結果からいえば、ビジネスとしての賭けには、彼は勝利をおさめてる。
ダラス・カウボーイズというチームの資産価値は、約130億ドル(約2兆1000億円〜2兆3000億円)で、世界中のプロスポーツチームの中で10年連続の1位。
さらに、営業利益も推定6億2900万ドル(約994億円)で、こちらも世界スポーツチーム中トップ 。

NFLのしきたりに縛られず、リーグと法廷闘争を繰り広げながらも、貪欲に新たなビジネスを模索してきた成果が実ったのだ。

The GM

だが、買収当初から続けていながら、成果が全く出ていない仕事がある。
彼は一貫して球団社長とGMを兼任し続けている。

いや、ここは訂正しておかなかければならない。
彼は、ひとつだけ素晴らしい仕事をした。
それは、ジミー・ジョンソンをHCに迎えたことだ。

あらためて振り返ってみると、その再建のスピードは凄まじい。
1989年に再建に着手し、3年目の1991年には、もうプレイオフ出場。
そして翌年には、スーパーボウル制覇。
1993年には連覇を果たし、1995年にもカムバック。

Team of the 80sの勢いのまま90年代もエリートチームであったサンフランシスコ 49ersと4年連続でNFCチャンピオンシップを戦い、ツインピークスと言われていた。
そのうち3回に勝利して、そのままスーパーボウルも制覇したのだから、彼らがTeam of the 90sになったのもうなずけるというものだ。

1992年のチームは、NFL100年の歴史で第6位にランキングされている。

1992
DALLAS COWBOYS

“Pure depth. That ’92 team was full of great talent.” – Emmitt Smith

NFL 100 | NFL.com

ただ、彼らには、カウボーイズには、史上初の3連覇の可能性があったのだ。
それを阻んだのは、前代未聞のHCの交代劇。
スーパーボウルを連覇したヘッドコーチが、翌シーズン開始前にクビになることなんて聞いたことある?

エゴが強いからこそ誰もが簡単には手にできない成功を手にすることができるのだろうが、もっと大きな成功のために、そのエゴを、人は捨てることができないのだろうか。

だから、ジェリー・ジョーンズ GMの最大の失敗は、ジミー・ジョンソンというHCを失ったことになる。

1995年のスーパーボウル制覇も、結局のところ、ジミー・ジョンソンが鍛えた戦力がもたらしたものだ。

後任のバリー・スウィッツァーも、このドキュメンタリーを観れば、いいところがあったのを知ることができる。
しかし、オクラホマ大学スーナーズのモラルを崩壊させ、ただのギャングの集団になったチームは逮捕者を大量に出した過去がある。
そうして、カウボーイズでもモラルハザードを引き起こすことになる。
さらに、コーチング能力自体の不足は否めない。

結局のところ、ジェリー・ジョーンズは、ジミー・ジョンソンがいなくとも、自分だけで最強のチームが作れると証明したいためだけに、現場にこだわっているのだろう。
それが正しい道筋なのかはわからない。
ただ、誰もクビに鈴をつけられないのだろう。

ハーシェル・ウォーカーとチャールズ・ヘイリー

珍しかったのは、ハーシェル・ウォーカーのインタビューシーンが盛り込まれていることだ。
実際のところ、あの伝説のトレードに関して、どんな心持ちだったのかなんてことが率直に語られている。

そして、チャールズ・ヘイリーだ。
当時、どうして49ersが彼をトレードに出すのかが、よく理解できなかった。
球団フロントと折り合いが悪いだけで、あんな能力の高い選手を手放すの?と。

だが、今回よくわかった。
チャールズ・ヘイリーは、シンプルにヤバい奴だ。
こんなの、とてもじゃないがチームには置いておけない。
そのあたりは、ぜひ、ご覧あれ。

スポーツ自体も面白いが、フィールドを離れたスポーツビジネス自体も面白い。
それとも、こんなにドラマが起きるのは、「ダラス 」だからってわけじゃないよね?

今は、GMを更迭したり、トレードを活発化させているインディアナポリス・コルツが気になるよね。
カーリー・アーセイ=ゴードンは、思いがけず躓いてしまった今シーズン、どんなオペレーションを発してるのだろう。
いつの日か、それが語られる日は来るのだろうか…

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