ついにファウンデーションがApple TV+で配信を開始。
僕は、幸か不幸かアイザック・アシモフの原作を読んでいない。
しかし、一気にそのスケール感に引き込まれてしまった。
これは魔法に支配されたファンタジーではない。
この銀河帝国では方程式が活用され、数字が語られる。
僕らの文明と地続きのある感覚が、そのスケール感を肌身で感じさせてくれるのだ。
Foundation — First Look
正直に告白すると、原作を読んでいない僕は、どれだけ宣伝されようとピンときていなかった。
あなたも僕と同じであれば、何度予告編を見たって「へぇー」くらいにしか感じないだろう。
そんなあなたには、いきなり観て欲しい。
1万2千年の栄華を誇る銀河帝国の崩壊の危機。
その危機は、5世紀のうちに訪れる。
そうして、その後の混乱は3万年続くと予想される。
その3万年の混乱を、どうにか千年に縮めようと奮闘する人たち。
A long time ago などとぼやかしたファンタジーなどではない。
数字が語られ、軌道エレベータで宇宙に繋がっているSFなのだ。
インプレッシブだったのは、二人の登場人物。
皇帝クレオン1世
400年前に初代皇帝となり、現在も皇帝であり続けているクレオン1世。
彼はクローンを繰り返すことで、その長い統治を続けている。
統治にあたっては、3世代のクローンが用いられている。
現役を退いたブラザー・ダスク。
現役の皇帝を務めるブラザー・デイ。
そして、幼きブラザー・ドーン。
年老いた自分の知恵に助けられながら、次世代の自分の教育を、自分が行うというシステム。
同じクローン体とはいえ、彼らも一枚岩ではない。
皇帝の傲慢さに疑問を持つようになるダスク。
その年老いていく自らの姿に疎ましさを感じるようになるデイ。
ドーンは、重たい決断を下さなければならない皇帝という役目に恐れを感じている。
自己の葛藤ともとれるこの3人の生み出すギャップは、銀河帝国にどのような影響を与えるのだろうか?
デマーゼル
完璧な淑女、デマーゼル。
皇帝のあらゆる指示を遂行し、よき助言者となり、幼きブラザー・ドーンの教育係もつとめる。
完璧な彼女は、死ぬことさえない。
彼女はロボットなのだ。
どうやら彼女の他の仲間たちは、皇帝によって破壊されてしまったようだ。
「死んでしまうことと破壊されることは、全く別のことなのよ」
幼きブラザー・ドーンにそう語る彼女は、クールで美しい表情の奥で何を想っているのだろうか…
Respect and enjoy the peace
観終わったあなたは、このフレーズを思わず口にするようになるだろう。
平和を尊び享受せよ
Respect and enjoy the peace