なにも準備せず、ただ書けばいい。
テーマも、落とし所も、キャッチーなタイトルも、何も考えずにただ書けばいい。
Day Oneは、モヤッとしたナニカを、そのまま受け止めてくれる。
いわゆる日記アプリというジャンルのものに、ココロを惹かれることはなかった。
専用のアプリを準備する理由が見つからなかったからだ。
iPhoneのメモでもいいし、Evernoteでもアレコレ出来る。
このWordPressのブログもあるし、なんだったらTumblrのブログを非公開にすることも出来る。
だから、Day Oneがどれほどのアワードを受賞しようが、これまで見向きすることはなかった。
ブログを書き始めると
しかし、いざブログを書き始めると、ソレとコレとは違うということがだんだん身にしみてくる。
ブログ記事というカタチと、日々のアレコレを綴るものとは、まったく違う。
一番の違いは、その書き出し方。
ブログを書くときは、まずテーマから始まる。
こんなことを、こんな構成で書いていこう。
こんなアイキャッチ画像を準備して、ココにリンクを貼って…
アレコレ準備するうちに、書きたいナニカはどこかに飛んでいってしまう。
そのときの、揮発性のココロとは、もう二度と巡りあうことはない。
Evernoteとメモ
パパっとメモをとっておけばいい。
Evernoteはもちろんのこと、標準アプリのメモでさえ、クラウドでバックアップされている。
後で引っ張りだして、補足なり、反芻なりすればいい。
しかし、見返すためのレイアウトは優れているとはいえない。
メモでは、本当にメモの束を重ねたように味気ないし、肥大し続けるEvernoteのノートでは、それは埋もれてしまう。
日々のアレコレを振り返るには、タグやキーワードで検索するよりも、なんとなく日付からパラパラたどっていくほうが適している。
それこそが、いまだに日付入り手帳を手放せない人が多い理由でもあるだろう。
しかし、僕はこの先一生改善されることのない悪筆のおかげで、後から見返す作業は古代文字の解読に等しい努力が必要だ。
ライフログを取る理由
ライフログというかジャーナルを取る理由は、人それぞれあるだろう。
僕の場合はただひとつ。
ある時気がついた。
日々のささやかな喜びは、全て忘れ去られてしまう。
振り返っても残っているのは、強い苦味を放つものだけ。
ささやかな喜びは、強烈な苦味の前では、脆弱で簡単に弾き飛ばされてしまう。
それならば、そのささやかな喜びをつなぎとめておく努力をしなければならない。
感情に折り合いをつける
書くことの効果は、以前から科学的にも伝えられている。
書くことは、あなたの健康に素晴らしい影響を及ぼします。クリエイティビティを保つこと以外にも、日々の生活のストレスを解き放つ働きをしてくれるのです。この精神的・感情的なメリットについて、クリエイティブライティングの視点から紹介したことがありました。でも、何もフィクションを執筆する必要はありません。毎日の「素晴らしいこと」を記録するだけでも、自尊心を高める効果があるのです。また、定期的に書くことで、経験したことを安全な環境で追体験できるのもメリットのひとつです。
日記を書くことによる精神的・感情的な効果は、数々のデータによって実証されているので、カウンセラー、ソーシャルワーカー、セラピストらも、患者に日記を勧めています。例えば、学術誌『Advances in Psychiatric Treatment』に掲載されたこちらの論文では、参加者が15分から20分の執筆を3から5回繰り返すだけで、トラウマやストレスなどの感情的な事象に折り合いをつけることができたと言います。
この書くことにより、折り合いをつけるという効果は肌で実感できる。
モヤッとしたものを自分以外の媒体に書き写すだけで、背負ってるものが軽くはなる。
少なくとも、背筋を伸ばして前を向ける程度には。
だから、僕にとってのライフログは、いつか振り返る自分の年表などでは決してなく、日々を乗り越えるためのナニカなのだろう。
そういえば、ワトソンも、シャーロックに出会う前、ブログを書くことをすすめられていたっけ…
iPhoneとMac
iOSとMac用、それぞれにアプリがあり、iCloudとDropboxで同期できる。
だから、iPhoneでTwitterにつぶやく労力で、書くことが出来る。
中途半端なツイートに逃げなくても、浮かんだその時に、しっかりと受け止めてくれる。
そして、iPadなりMacで、後で折り合いを付ける作業を続ければいい。
Touch IDにも対応しているので、セキュリティもばっちり。
さらにPublish機能のおかげで、Facebook、Twitter、Tumblrに公開もできる。
便利だからとFacebookで育児記録をつけているママさんには、手軽で、なおかつ公開非公開が選べるDay Oneは、お誂え向きかもしれない。