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フォントの余白に

僕が見ているこのブログと、あなたが見ているこのブログは、厳密に言えば違うものかもしれない。
それは、表示される環境、ことにフォントの違いがそうさせてしまう。

フォントという環境

MacBook Airでこしらえているこのブログ、最終的に表示される状態はココで確認し、せいぜいiPhoneでも一応チラ見する程度。
デザイン世界においては完璧な素人なので、わかる人から見れば随分稚拙な出来栄えだとは思うけど、なるべくミニマルに気持ち良く表示されるように試行錯誤している。
だから、ある時、PCのInternet explorerで表示される自分のブログを見た時に、なんとなく違和感を覚えた。
今更ながらで恥ずかしい話だが、表示される環境によって見栄えは当然ながら違ってしまう。
PCとMacでは当然のことながら、同じMacでもブラウザの設定によって、そこには微妙な差異がある。
その大きな原因は、フォントだ。
だから、自分のMacBook Airの上でも、SafariとChromeでは、微妙にニュアンスが変わる。
これまでは、フォントの違いなんてそう大きな問題ではないと思っていたけれど、それが人に与える影響は研究対象にもなっているようだ。

フォントは人の心を動かせるのか──いくつかのデザイン実験 ” WIRED.jp

2015.9.21 MON PHOTOGRAPHS BY DANIEL BRITTON TEXT BY LIZ STINSON WIRED NEWS(US) この画像に書かれた言葉が読めなくても、まったく心配はいらない。なぜなら、ある目的があるからだ。このなかで使われているのはフォント「Helvetica(ヘルヴェチカ)」、より正確にはその一部だ。 ロンドン在住のグラフィックデザイナー、 …

確かに、明朝体かゴシック体かでも、それが読む対象に適切に設定されていなければ、読む気が失せて文字が入ってこなくなる。
そのノイズを乗り越えてでも読みたいと思わせるような力があれば全く問題にならないだろうが、駄ブログしか書けない三流ブロガーとしては、筆選びには気をつけなければならない。
そうして、どの環境でも同じフォントを表示させられるWEBフォントなるものをググるうち、その奥深く、甚だ労力がかかるセカイを垣間見ることになった。

構想から15年のフォント

Google のミッションは世界中のあらゆる情報を整理し、あらゆる人が、使う言語に関わらず簡単にアクセスできるようにすることです。これを推し進めるべく、Google はアドビとのパートナーシップのもと、無料で高品質な Pan-CJK (中国語、日本語、韓国語)フォントファミリー「Noto Sans CJK」をリリースしました。

情報源: オープンソースの美しい Noto フォントファミリーに日本語、中国語、韓国語が加わりました。 – Google Developers Japan

さらっと書かれているが、このGoogleが公開しているNoto Sans CJKというフォントは、構想から15年の歳月をかけて作り上げられたものだ。

すごく嬉しかった。なぜなら、構想こそ持っていたものの、15年前にはまだ単なる夢でしかなかったから。思い描いていた夢が今、実現したのは心から嬉しい。全部の文字数が多いことに加え、文字の太さまで含めるとのべ50万文字を超える量になる。作業が大変だったこともあって、無事に世の中に出せてほっとしている気持ちもある。

情報源: (2/3)インタビュー&トーク – 15年越しに叶った夢、日中韓対応のフォント開発:ITpro

ずぶのシロウトの僕は、フォントというものが、ここまでの労力で作り上げられているということを全く知らなかった。
だって、それらは年賀状ソフトやMicrosoft Officeにタダで大量にくっついてくるオマケ程度のものだという認識しかなかったのだから。
そんな認識しか持っていなかった僕がずっと不思議に思っていた、何故もう一方で数万円で売られているフォントが存在するのかという点も、これで納得。
本来、フォントとはそうした値段で取引されるべきものなのだろう。
だから、その価値がわかっているAppleは、OSの新機能の目玉として、新しいフォントを誇るのだ。

フォントの開発秘話としてこちらの記事も面白い!

実はメイリオまだ進化中! 誕生秘話を河野氏に聞いた − @IT

「UIゴシックというのがありますよね。ひらがなやカタカナを70%にコンデンス(細く)したものです。これはこれで非常に見にくいんですが、メイリオでもそれをやれと言うんですね。ひどいことになっています。一応コンデンスされたメイリオもWindows …

Noto Sans CJKを使う

Noto Sans CJKは、Webに限らず、ふだん使いも可能だ。
ダウンロードすれば、エディターやEvernote等でも使用可能。

Noto Sans CJK は Thin, Light, DemiLight, Regular, Medium, Bold, Black の7種類のウェイト(太さ)を用意しています。

情報源: オープンソースの美しい Noto フォントファミリーに日本語、中国語、韓国語が加わりました。 – Google Developers Japan

攻めすぎない、なんてことないデザインで、しかし太さは豊富で使いやすい。
僕は、細身のLightを愛用している。

いいことづくめのNoto Sans CJKだけど、やはりWEBフォントの弱点は抱えている。
それは、読み込みにより表示速度が遅くなってしまうこと。
ただでさえ、高速化のノウハウがない僕のブログでは、重ねて足を引っ張ることになる。
だから、ブログでの使用は、今んとこ見合わせ中、残念ながら…

Googleとアドビが作った無料のフォント「源ノ角ゴシック」を使ってみよう

トップ > 情報システム > Googleとアドビが作った無料のフォント「源ノ角ゴシック」を使ってみよう  Googleがアドビと共同してオープンソースのOpenTypeフォントを作った。 アドビはこのフォントをSource Han Sansと呼び、GoogleはNoto Sans CJKと呼んでいる。和名は「源ノ角ゴシック」。

フォントの余白に

ふだん何気なく、本当にその存在が当たり前のものとして、使っているフォント。
誰かがソレをデザインし、かつ、あらゆる文字を網羅してくれていなければ、もちろんここには存在しない。
そうでなければ、僕らは未だにマトリックス世界のギザギザの文字を使っていたかもしれないのだ。
フォントが人のココロに影響を及ぼすのなら、セカイはもっとギザギザであったかもしれない。
それこそ、マトリックスのように。
タフではあるが、まだ潤いや柔らかみも残されているこのセカイ。
言葉を、そうしたもので包んで伝えてくれるフォント。
その余白に、製作に携わった人たちのことを、たまには浮かべてみてもいいのかもしれないね。

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