「裁定人」直々の命を受けジョン・ウィックの始末に現れるゼロ率いる暗殺集団SHINOBIは、歴代最強だ。
主席連合の送り込んだ精鋭揃いの使節よりもはるかに強力な彼らにジョン・ウィックは追い詰められる。
しかし、この暗殺集団は、どこか憎めない。
それは、何より彼ら自身がジョン・ウィックの大ファンだということに起因しているのかもしれない。
珍妙な音楽と店名
にんじゃりばんばんをBGMに、わざと下手くそな英語を使って寿司屋を営むのは仮の姿。
しかも、店名に「平家」などとうたい、紛い物オリエンタルの匂いがぷんぷんする。
しかし、その実態は、長く主席連合に仕えている暗殺者集団だ。
1400万ドルの懸賞首となったジョン・ウィックだが、それでも逃げおおせる可能性があると「裁定人」は冷静に判断した。
そんな難敵を処分する依頼を「裁定人」自らが行うとは、よほど彼らへの信頼が厚いのだろう。
いんちきオリエンタル風を装った店構えにしているのも偽装の一環だと言ったらかばいすぎだろうか。
師匠も弟子も大ファン
何しろこのSHINOBIの面々は首領のゼロから弟子に至るまで、みんなジョン・ウィックの大ファンだ。
あの噂に聞くジョン・ウィックに会えることが、戦えることがうれしくてたまらない。
はっきり言って、ゼロだけでなく弟子たちでさえ、いつでもジョン・ウィックにとどめを刺すことができたはずだ。
だが、ついつい楽しい時間を長く味わおうと欲をかいたために、ババヤガの底力を発揮させてしまった…
マーク・ダカスコスというキャスティング
ゼロを演じるのは、マーク・ダカスコス。
当初噂されていた真田広之ってキャスティングが成功していたら、ゼロを演じることになったんじゃないだろうか。
それを思うと、観るまでは少し残念な気持ちもあった。
我らがジョン・ウィックとMADE IN JAPANの真田広之のガチ対決なんて、どれほど誇らしいだろうかと。
しかし、観終わった今なら、マーク・ダカスコスで良かったと断言できる。
彼でなければ、あの愛すべきユーモラスな一面を持つキャラクターにならなかったはずだ。
真田広之では、きっとそうした遊びの部分が出なかっただろう。
「俺は同じ殺しの達人!ミスタ・うぃっくぅー」
なんてちょっと引っかかる発音の日本語も、もう彼の魅力の一つだ。
ゼロが日本人か日系人かという設定はわからないが、マーク・ダカスコス自身のお母さまは日本人のようだ。
コンチネンタル・ホテルは東京にも存在する
コンチネンタル・ホテルは、東京にも存在する。
そして、主席連合の組織にザ・ヤクザは見当たらない。
もちろん下部組織には存在して、単にハイテーブルに座れていないだけかもしれないけれど。
となれば、ハイテーブルの連中を引きずり下ろすのに、Japaneseザ・ヤクザとの共闘という選択肢はあるかもしれない。
そこでこそ、真田広之の出番が必要になるのかもしれないね…