みなさんは、作詞 松任谷由美、作曲 桑田佳祐による幻の名曲をご存知だろうか?
1986年に誕生したその曲が、この2023年に復活することになった。
いや、復活とは正確な表現ではないかもしれない。
なにせ、リリースされるのは初めてのことなのだから…
Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない)
1986年、伝説の音楽番組・日本テレビ「メリー・クリスマス・ショー」のラストに電撃的に披露された。
当時、コラボなんて言葉も行為も一般的じゃなかった昭和の末期において、70年代の貧乏くささとは手を切った80年代を引っ張るふたりの共演に胸が高鳴ったものだ。
桑田佳祐独自の上がったり下がったりの音程構成に苦労するユーミン。
司会に抜擢された、まだ若い明石家さんまの空回り具合。
そんなことがフラッシュバックする。
まだ付き合い始めの若いカップルが迎える初めてのクリスマス。
ふたりのココロの揺らぎとクリスマス特有の寂寥感が相まって、独特のせつなさを醸し出す曲は、ずっとマイフェイバリットだった。
いつリリースされるのかと心待ちにしていたが、一向にその気配はなく、昭和が終わり、平成が始まって、そして終わった。
鳴り物入りで始まった「メリー・クリスマス・ショー」も、何のリリースもないまま、わずか2年で終了。
その短命さが、この番組を伝説に押し上げてしまった。
のちにバブルと言われる時代のピークを迎えるちょっと前に、この小さなバブルも夢と消えてしまった。
桑田佳祐単独のリリース
もう2度と正規の手段では、この曲は聴けないのだなと思った頃に、桑田佳祐が単独でこの曲をセルフカバーした。
また、この曲が聴ける喜びもあった。
しかし、もうこれで、ふたりの共演はないのだと結論づけられたような気がした。
ジャイアント馬場とアントニオ猪木のBI砲が2度と復活しなかったように…
45周年と50周年と
音楽会社の権利関係が乗り越えられなかったのか、ふたりの間に諍いでもあったのか。
それとも、逆に、なーんにもなかったのか。
いまだに、あの頃、この曲がリリースされなかった謎は、情弱の僕には解けそうにない。
“今、この世界に必要なのは、争い傷つけ合うことではなく、互いに歩み寄り、穏やかに対話すること。”
情報源: 桑田佳祐&松任谷由実 Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023|サザンオールスターズ
そう、声を揃えて声明を出す2人を見ていると、それぞれ45周年、50周年と長いキャリアを積んできたものたちのお互いへのリスペクトが感じられる。
そして、互いの節目のこの年が、思い残しをやっつけるには最適なタイミングだったと。
おかげで僕も、長年引っかかっていた小骨を抜くことができた。
新たにレコーディングされたふたりの声は、以前よりずっと柔らかくなっているようだ…