ついに公開されたLUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族。
僕は、いまだ劇場へは足を運べていない。
そうしてその前に、配信開始となったLUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパンを楽しむとともに、もう10年以上前になってしまったLUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標から始まる小池ルパンのシリーズを再度視聴してみた。
かのハワード・ロックウッドにつながるパンくずをたどりながら…
LUPIN THE ⅢRD 銭形と2人のルパン
銭形とルパンの邂逅
ことが終わって、泥棒は警官を仲間へと誘う。
「ただの刑事にしとくのはもったいねえ。なんなら俺と組むか。」
煙草を丸ごと、よこしながらだ。
「お前がよこすのは煙草じゃない。証拠の録音テープだ。」
にべもなく突っぱねる警官に、お前とは分かり合えそうもないと立ち去る泥棒。
しかし、その反応さえも織り込み済みであったはずだ。
だからそれは、ルパンにとって最終確認だったのだ。
この警官が、銭形が、自分と同じものを持っていることの。
群れることのない、はぐれ者の自由なココロ。
いまだ正義なんて青臭いことをほざいちゃいるが、だからこそ信用できる。
泥棒の甘言ひとつで、さっさとユニフォームを変えてしまうような男なら信用に値しない。
だからルパンは、正式な「あの島」への招待状を置いていったのだ。
この優秀な警官なら、これまで自分が蒔いたパンくずをたどって、必ず現れることだろうと。
銭形が優秀であることは、ルパンは熟知していたはずだ。
だから、ロビエト連邦の国家保安委員会の目は欺けても、この男には通用しない程度の変装を行い、いや仕草でヒントを送り、情報収集のためにあえて捕まる選択をした。
そして、わざと捕まる選択をしたことも、銭形なら気づくであろうことも。
だが、銭形のパンチの強さは予想以上であったはずだ。
実際、銭形は抜け目ない強さを持っている。
この警官は、あの次元大介から、S&Wをちゃっかり抜き取っている。
しかも、格闘の最中とはいえ、あの世界一のガンマンに気づかれないうちにだ。

銭形は、祝賀パレードの最中にも関わらず、ブレーリン最高指導者に警備主任のイワノフが付き添っていないことに違和感を感じ、車のナンバーから割り出すという伝統的な警官の手法で真実に辿り着いた。
異国の地で、組織のサポートが全く得られない中でだ。
もちろん、貸与されている45口径は、この国には持ち込めていない。
だが、彼は丸腰ではなかった。
カラシコフ
意外だったのは、銭形警部と信頼のFist Bumpを交わしていたのが、あのカラシコフだったことだ。

インプレッシブなクールビューティーは、国家保安委員会の、ただの手駒ではなかったのだ。
彼女は、命令を受けて、ただ実行していただけの殺人マシーンではない。
彼女の信じる正義に基づいて、国の安全を脅かすものを排除していただけなのだ。
だから彼女は、同じように自分の正義を執行しようとしている極東の警官に、彼女のマカロフを渡したのだ。
これで犯人を殺せとは言わなかった。
ただ、護身用にと。
お前が、途中で命を落とすことなく、お前の正義を執行できるようにと…
I’m an arch villain
I’m an arch villain. Lupin The Third.
そう名乗ると、ボォン!の掛け声とともに爆破スイッチを押す。
もうひとりのルパン三世は、ぶっ飛んでいた。
ただの爆弾魔じゃない。
捨て身の爆弾魔だ。
彼は、身の安全の確保された遠隔地からスイッチを押すような男じゃない。
爆破の最前線で、爆心地に必ず居合わせるのだ。

自分以外にルパン三世と名乗る存在がいることをすでに知っており、自分はホンモノであると強烈な確信を持っている。
そして、美意識をひけらかして苦言を呈するルパン三世に、「だから、お前はダメなんだ」と、この爆弾魔は強烈なダメ出しを喰らわせる。
そう、これまでのルパン三世の行動をも熟知しているのだ。
捨て身の爆弾魔は、最後に躊躇なく自分自身を吹っ飛ばす。
ぶっ飛んだ自分の意思で?
最後に彼はつぶやく。
「これも大いなる意思。意思ならば是非もない。」
彼にその選択をさせた存在を、脳裏に浮かべながら…

捨て身の爆弾魔の正体を知ろうと変装マスクを剥ごうとしたルパン三世は、それがマスクでないことに、どうみても生身の顔であることにショックを隠せないでいる。
壮大な自作自演
全ては、壮大な自作自演だった。
ロビエト連邦とアルカ合衆国の世紀の軍縮条約の調印式。
その祝賀パレードの席で、ロビエト連邦のブレーリン最高指導者を暗殺することで、ロビエト連邦に戦争の大義名分を与え、産業としての戦争を継続させるための。
替え玉を用意していたブレーリン最高指導者は、最終意思決定者でない。
彼は、それをすることで、もっと強大な力を持つものに余生を約束されていた。
世界地図に存在しない島という安住の地での余生を。
女スパイ 峰不二子
泥棒でもあり、スパイでもあり、正体不明の女と言われる峰不二子だが、今回の彼女は、女スパイであった。
しかも、雇い主は、アルカ合衆国のサクソン大統領。
今回の自作自演のオペレーションを察知していたアルカ合衆国は、自分たちが手を汚さずに済むエージェントを送り込んでいたということなのだろう。
予定外のゴージャスな宝石を手に入れられた女が、騒ぎ立てることはないだろうが…

この図式、どこかでみたことがある。
そう、確か、東ドロアだったはずだ。
東ドロア
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標で、東ドロアもまた、壮大な自作自演を行っていた。
東ドロアは、不可侵条約を結んでいる西ドロアに侵攻する大義名分を得るために、自国の国民的スターであるクイーン=マルタを西ドロアでのコンサート中に暗殺するという作戦を実行した。
暗殺は秘密クラブを通して実行される。
そこに存在するカラミティファイルには、暗殺対象に関する情報と指令が記載されている。
その指令に基づき、ヤエル奥崎は暗殺を遂行するのだ。
峰不二子が秘密クラブに潜入した目的は、このカラミティファイルだった。
「私はただ泥棒家業から足を洗おうとしていただけ」
彼女は、そう言っていた。
これも、誰かの依頼を受けてのことなのだろうか…
身の危険を感じていたクイーン=マルタは、事前に次元大介にボディーガードを依頼していた。
しかし、当日、クイーン=マルタのマネージャーからキャンセルを通告され、暗殺は実行されてしまう。
政府の秘密作戦の封印を強固なものにするため、次元大介もヤエル奥崎のターゲットに指定されることになった。
東ドロアは、戦争準備のために、マランダ共和国から濃縮ウランを入手していた。
その取引のために、彗星のかけらと言われる宝石リトルコメットを譲渡した。
ルパン三世と次元大介は、それを盗むために東ドロアに入国したことで、ヤエル奥崎のオペレーションが開始された。
ルパン三世は、カラミティファイルを手に入れるかわりに、峰不二子にリトルコメットをプレゼントした。
泥棒なりのさりげなさで…
こうして、暗殺対象者は、次元大介ひとりから、ルパン三世と峰不二子を含めた3名となった。
東ドロアには大量の監視カメラが設置されている。
そこにつながっているであろう大量のディスプレイを前に、かのハワード・ロックウッドが登場する。
「禁断の果実を口にしたな」と呟きながら…

バミューダの亡霊
LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門では、のっけから、暗殺指令の場面で始まる。
サリファは、ホークに、ご主人様からお仕事の依頼と告げて3人の写真を渡している。

ホークは、バミューダの亡霊と呼ばれている。
なぜなら、バミューダ海域での極秘作戦中に戦死が確認されたからだ。
しかし、最近、生存情報が確認され、世界中の諜報機関がマークしている。
ホークが、ルパン一味を追って日本に入国したことで、銭形警部は遭遇することになる。
ホークと、その背後の強大な力に。
報告をする銭形に、局長は明確に指示する。
「その件は、もういい。とにかく、この件からは手を引け。」と。
自首に近い形でホークを逮捕したと知ると、局長は12時間以内の釈放を命じる。
ルパン三世は、銭形に警告する。
「あんたも片足、突っ込んじまってるんだぜ」と。
ホークの背後には、国際指名手配犯を自由に手駒で使える、よほどの財力か権力を持った者がいると。
コドフリー・マイニング社

LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘で峰不二子はスパイではない。
会計士が横領した金を横取りしようと、その父子家庭にメイドとして潜り込んでいる。
ここで登場する殺し屋のビンカムは、ハワード・ロックウッドの指令を受けているわけではない。
コドフリーから、ただ金を取り戻すためだけに雇われているのだ。
だが、ビンカムは異形の殺し屋だ。
家屋の爆発に巻き込まれても無傷、銃撃を受けても痛みを感じない。
挙句、自分の汗腺から毒物を撒き散らすのだ。

ルパン三世と次元大介は、金目当てでコドフリー・マイニング社を探るうち、その資金が大量に横流しされている殺し屋工場に行き当たる。
そこには、石川五ェ門に腕を切り落とされたはずのホークが、五体満足の状態で存在していた。
ルパンに背後関係を詰問されたコドフリーが、「あのお方…」と口を開いた瞬間、狙撃される。
撃ったのは、22口径を捨て、大口径ライフルを義手で構えるヤエル奥崎だった。
こうしてルパン三世は、なぜ今、ロビエト連邦の爆破テロの犯人に自分が仕立て上げられたのかを理解した。
「あの島」に、いよいよ向かうとなった矢先のタイミングなのだ。
ブローカーに特製のセスナも用意させ、あとは飛び立つだけという、このタイミングに。
よほど、あのお方は、「あの島」に来させたくないということだ。
いや、ルパンの性分を知っているのなら、それは逆に強く招いているということなのだろう…
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