特報は、忘れた頃にやってくる。
あきらめていた小池ルパンの最新作が全国公開されることになった。
しかも、劇場版だぜ!
いよいよ、ルパンの末裔を名乗る男の真実(ほんとう)を僕らは目にすることになるのだろうか。
倣いによってタイトルをつけるとするならば、「ルパン三世の真実(ほんとう)」だ。
見たことのない姿
小池ルパンの登場人物たちは、これまで僕らが見たことのない姿を披露し、それがギャップのあるタイトルにもなっていた。
次元大介の墓標
あの次元大介が、早撃ちで敗北する姿を、僕らは初めて見せつけられる。
打ち負かされ、にじり寄る死の匂いに、「墓標」というタイトルは、しっくりくる。
さらにクラシックでいい奴の次元大介は、ここにはいない。
モードなスタイルに身を包んだプロフェッショナルは、ジャケットにTシャツというスタイルまで披露している。
しかし、早撃ちに不利な大口径の357マグナムを捨てられない理由が、あの女だというのなら、筋金入りのロマンチストであるに違いない。
それは、僕らがよく知る彼そのものだ。
血煙の石川五ェ門
剣の達人とはいいながら、これまで僕らは、その男が人を斬り捨てた姿を見たことがなかった。
躊躇なく人を斬り捨てて、返り血を浴びる彼の姿を、僕らは初めて目撃することになる。
漂う「血煙」の中に佇む男は、本当につまらぬものを斬っている。
その姿は剣の達人というよりも、殺戮マシーンだ。
なぜなら、いい金をもらってJapanese ザ・ヤクザに雇われている用心棒に過ぎないからだ。
だが、開眼した彼は、新たに別の男の用心棒になる。
報酬の問題ではない。
その男は、泥棒は、石川五ェ門が失っていたものを取り戻させてくれたのだ。
峰不二子の嘘
このタイトルにギャップは、ないだろうと思われるかもしれない。
峰不二子に「嘘」は、つきものだろうと。
しかし、僕らが目にした彼女は、「出来もしない嘘をつきたくない」と言い放ち、ガチでタイマンにのぞむオトコマエだ。
だが、彼女は、しっかりと嘘をつく。
それは、そうだろう。
女が嘘と手を切れるわけがないではないか。
ただ、その嘘は、これまでの、自らの欲望のためのものとは違う類いのものだった。
オンナのプロである彼女は、オンナの呪いで難敵を排除する。
しかし、オンナのプロであるくせに、母性というオンナ特有の呪いに、これまで遭遇したことがなかった。
自らの中に、その呪いが存在することに気づき、苛立ちと不快感でしか対抗できない彼女の姿は、初めて目にするものだった。
銭形警部
小池ルパンに登場する銭形警部は、とっつあんなどと気安く呼べる公僕ではない。
狡猾で冷徹な警官だ。
45口径の持ち主の常として、いつでも、その引き金を引ける非情さを持ち合わせていることだろう。
ルパン三世の真実(ほんとう)
そして、ルパン三世だ。
オンナの武器を振り撒くオンナのプロと対峙しても、峰不二子とフルネームで呼び捨てる。
一枚も二枚も役者が上なのだ。
だが、泥棒であるくせに、彼は仲間に与えてばかりだ。
プロフェッショナルにとっていちばん大切なもの。
それは自尊心だ。
仲間がそれを奪われたとき、彼は命懸けで取り戻す。
いや、取り戻すことを見守っている。
彼が盗み返すだけでは、それは取り戻せないと知っているからだ。
だが、なぜ、そんなことに自らの命を賭けるのだろう。
たかだかビジネスパートナーの、いや、パートナーとも呼べない者のために…
そもそも、この男のことは、誰も知らないのだ。
ルパンの末裔を名乗っちゃいるが、そんなもの、どうせ本当であるわけもない。
業界に名前を売り込むための、誇大広告の類いのキャッチコピーだろう。
それに、自尊心を取り戻させてくれた者たちにとっては、そんなことは、もうどうでもいい。
この男が、世紀の大泥棒の末裔かどうかなんて気にもならないだろう。
ハワード・ロックウッド
そして今回、小池ルパンのシリーズで敵対した殺し屋たちが、全て一本の線でつながった。
そうしたラスボスが存在することを、ルパンたちもしっかりと認識することとなった。
「LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘」観た人のためのレビュー「オンナの呪い」 | ALOG
前作のラストで、誰かさんがラスボスであることが明らかになった。
そしてポイントは、複製人間だ。
人間さえもクローンできる技術を有し、極東の警官のささやかな行動にも機敏に目配りができ、その組織全体にしっかりと圧力をかけられる人物。
そんな人物は、一人しかいない。
その男は、ハワード・ロックウッドという名前で活動している。
そして、その本名はマモー。
しかし、なぜ、この人物は、ルパン一味を執拗に追い続けるのだろうか?
魔毛狂介であるならば、その動機は明確だ。
ただし、マモーならば…
あるいは、ルパンと、いや、ルパンの血筋との間に、過去の諍いがあるのだろうか。
その中で、ルパン自身、あるいは末裔であることに関わる話まで明らかになるのかもしれないね。
僕らが、これまで目にしたことない、初めて目にするルパン三世の姿とは、いったいどんなものなのだろうか…
このバックショットの人物は、いったい誰なんだろう…
余談ながら、この公式サイトはTumblrに作成されているんだね。
なんか、うれしい。
前作から、もう5年が経過した。
あれから、いくつかの新作が公開されてきた。
そうして、もう、小池ルパンは制作されないんだなぁと、すっかりあきらめていた。
そんな僕には、これ以上ない朗報。
これこそ、本当の特報だ。
あとは、指折り数えて待つだけだ…