「あれ、久しぶりだね」
懐かしさにそのままの勢いで購入してしまったこのノート。
しかし、なんだか違和感がある。
全体の印象はおんなじなのに、何かがひっかかる。
化粧が変わったのか、それとも髪型なのか。
いや、なんのことはない。
彼女は名前を変えていたのだ。
現在は、上質紙 フラットに開くノートと名乗っているらしい。
上質紙 フラットに開くノート
なめらかな書き心地の上質紙を、糸綴製本で仕上げた開きやすいノートです。
情報源: 上質紙 フラットに開くノート A6・横罫・80枚・黒 | ノート 通販 | 無印良品
上質紙 滑らかな書き味のノート
昔は、「上質紙 滑らかな書き味のノート」と名乗っていた。
なんだか今風のブログタイトルみたいなタグとキーワードを盛り込んだ商品名だけど、これが使ってみると、その名前通りで結構イイ! 本当に滑らかな書き味とパタンとひらくA6サイズは、ポケットに収まるノートとして重宝しそうだ。
情報源: 無印良品「上質紙滑らかな書き味のノート」とAs Time Goes By | ALOG
よく見れば価格もページ数も違う。
どうやら変わったのは、名前だけではないようだ。
しかし、僕が気に入っていたところは、全く変わっちゃいなかった。
滑らかな書き味は健在
商品名から消えたことで、著しく紙質が劣化してしまったのかと心配したが、全くそんなことはなかった。
以前より若干書き味が落ちたような気もするけれど、それは比較の問題であって、快適さが損なわれた訳じゃない。
相変わらず、万年筆が相手でも、なんのトラブルも起こさない。
何より、そのインクの優秀さで、今や僕のメインアームになりつつあるユニボール ワン Fとの相乗効果が気持ちいい。
クレールフォンテーヌに匹敵するというと怒られるかもしれないが、近い感覚はある。
それにいい意味で、こちらの方が紙がやらかい。
フラットに開くことの大きな価値
何よりこのノートの最大の価値は、本当にパタンとフラットに開くことだ。
以前、初めてこれを経験した時は感心したものだ。
でも、あのときの僕は、その本当の価値をわかっていなかった。
あれから、僕もいくつかのノートを経験して、パタンとフラットに開くことの大きな価値がよく理解できる。
どんなに紙質に優れたノートでも気持ちよく開いてくれなければ、トータルとしての書き味は著しく低下してしまう。
聖なるクレールフォンテーヌは、その書き味は素晴らしいが、その紙の強さ故、Habana ノートなんて集合体に相対するときは、力づくで抑え込む心意気が必要だ。
そういう意味では、滑らかな書き味の紙質と本当にパタンとフラットに開くことのできるパッケージは、なかなかお目にかかれない。
良い紙質を謳う製品が多い中で、他のノートが成し得ていない「フラットに開く」ことを最大の目玉に、その商品名にしたのは、至極当然の選択なのかもしれない。
As Time Goes By
でも、こんなにいいものをどうして僕は使い続けてこなかったんだろう?
その答えは測量野帳だった。
出会った頃、僕はまだまだ測量野帳にお熱だった。
そうさせていたのは、その頃の僕の使うスタイルだ。
外でも、立ったままでも記入することが多かったあの頃は、測量野帳のハードカバーは、欠かすことのできないパートナーだった。
そうして As Time Goes By、今では、そんなスタイルとは程遠い。
もっぱらデスクの上で、MacBookの横っちょで、開きっぱなしで使われることがほとんどだ。
使い方が変わった今、ずっと忘れていた存在にばったり出くわしてしまうのは、必然というものなのかもしれないね。
グローバルサプライチェーンが気になる現在、無印良品やUNIQLOの製品を使うときには原産国が問題になる。
これは、堂々の日本製。
気持ちよく安心して使うことができる。
2022年にあっても、セカイが自由にフラットになるには、まだまだ長い時間がかかりそうだ。
せめてノートだけでも、フラットな感覚を味わおうじゃないか。
パタンと気持ちよく…