NFL 2020シーズンは、まだ佳境だしスーパーボウルどころかプレイオフだって決まっちゃいない。
でも、今年の、今シーズンのベストモーメントは決まっている。
それは、アレックス・スミスが公式戦のフィールドに戻ってきた瞬間だ。
バックフィールドに投じたなんでもないショートパスが成功すると、涙と笑顔でくっちゃくちゃになった妻と子供達が、ありったけのスタンディングオベーションで応じる。
忘れることのできないNFL 2020シーズンの美しいベストモーメント。
だってそれはそうだろう。
ほぼ足を失いかけた男が、フィールドでプレイをしてみせたのだから。
アレックス・スミスのカムバックは、たとえフィールドに戻ってこられなかったとしても十分に印象的なものだった。彼は腓骨(ひこつ)と脛骨(けいこつ)を折った上、感染症により17回もの手術を受けて、一時は歩くこともままならないほどだった。
日常生活に戻れただけでも奇跡的だった。
情報源: 2021年もQBスミスにいてほしいと願うワシントン | NFL JAPAN.COM
NFC東地区の暫定首位
そのままスターターQBを務める彼は、カウボーイズもぶっ飛ばして、今やNFC東地区の暫定首位にチームを引っ張り上げた。
いくら、その昔、隆盛を誇ったカンファレンスとは思えない寂しい惨状とはいえ首位は首位。
このままいけばプレイオフに進むことができる。
ワシントンのフットボールチームは、歴史と伝統のある勇猛なレッドスキンズのロゴをNIKEに取り上げられたかわりに、生きた勇気のアイコンを手に入れた。
スーパーボウルだって可能性がないわけじゃない。
でも、それはたいした話じゃない。
Win is only原理主義的に言えば、最後にリングを手にしていなければ意味がないということになるのだろう。
これまで、チームがトップレベルに上がる段階でリリースされ、転々としてきた彼には、それを手にしてほしいとも思う。
しかし、彼は、もうすでに勝利を収めたのだ。
それも誰もがあきらめかけた状況からの逆転大勝利。
いったいどれほどの選手が、この勝利を手に入れられるというのだろう。
あらためてフットボールで勝つこと、スポーツで勝つことの意味を考えさせられる。
もし、今シーズンの終わりに、彼がヴィンス・ロンバルディ・トロフィーを掲げる姿を見れたなら、その時はNFL 2020シーズンのベストモーメントを更新することになるんだろうね…