2026.02.07 追記】 読者の方から「今はもっと安く使えるよ!」という情報をいただき、記事内の価格とプラン情報を最新の仕様(月額880円〜)に全面改訂しました。
AIの有用性を実感するようになると、それをもっと個人的な相談に活用したくなる。
でも、それってAIの学習用にデータを使われてしまうよね?
それは、まさしくその通り。
あなたの機微な情報は、ダラスのデータセンターに吸い上げられてしまう。
それを防ぐには、Google Workspace(旧G Suite)、すなわち企業向けプランを利用すればいい。 あなたが法人でなくても、たった一人の個人でもかまわない。 独自ドメインさえ持っていれば、それは利用可能なのだ。
人間のレビュアーが見る可能性
AIが、彼らのミッションであるという人間を深く理解するということに役立てるというのなら、僕が入力したデータが学習されるなんて、正直、あんまり気にはならない。
ただ、今回初めて人間のレビュアーも目を通す可能性があることを知った。
1. なぜ「漏れる」と言われるのか?(無料版の仕組み)
無料版や、一般的な個人向けプランのGemini(およびChatGPTなど他社AIも同様)では、会話データが以下のように扱われる規約になっていることが一般的だ。
- AIの学習に使われる: あなたが入力した「業務上の悩み」や「コード」、「文章」が、将来のAIモデルの精度向上のために再利用される。
- 人間のレビュアーが見る可能性がある: これが一番のリスクだ。AIの回答が適切だったかをチェックするために、「Googleが委託した人間」が会話ログ(の一部)を目視で確認するプロセスが存在する。
つまり、会社の機密情報や、誰にも言えない個人の悩みを入力するのは、**「道端で大声で秘密を喋っている」**のと、デジタルの意味では近い状態にある。
2. 「漏れない」安全なケース(Google Workspace版)
逆に、会社や組織が契約している**「Google Workspace(企業向けプラン)」**の場合は話が別だ。
- データは学習に使われない: ここが決定的な違いだ。Workspaceアカウントでログインしている状態のGemini(gemini.google.com)では、**「入力データはAIの学習には使用しない」「人間のレビュアーも閲覧しない」**という強固な守秘契約が適用される。
- 箱の中で閉じる: データはその組織のテナント(専用の箱)の中だけで処理され、外(Googleの学習モデル)には漏れ出さない。
なぁるほど、法人だったら、そんなサービスが受けられるのかぁ…と思ったあなた。 僕も、てっきり「高い法人プランや有料アドオンが必要」だと理解していたのだが、Blueskyで読者の方から指摘をいただき、実はもっと敷居が下がっていることを知った。
訂正:アドオンは必須ではなかった
以前は、安全なGeminiを使うためには「Gemini Business」などの有料アドオン(月額2,000円以上)が必要だと言われていた。 しかし、Googleの仕様変更により、現在は**一番安いプラン(Business Starter)でも、標準機能として「学習されないセキュアなGemini」**が使えるようになっている。
必要なもの:
- 独自ドメイン(例:alog.tokyo)
NG: juichi_private@gmail.com OK: juichi@alog.tokyo
十一さんの場合、すでに alog.tokyo というドメインをお持ちですよね。 これを使ってGoogle Workspace(Business Starter)を契約すれば、個人でも「法人と同等のセキュリティ権限」が手に入る。
驚きのコスト:飲み代どころか「ランチ1回分」
以前の記事では「飲み代1回分(約3,400円)」と書いたが、これは大きな間違いだった。 現在のコスト感はこうだ。
- Google Workspace Starter:月額 880円(税込) ※年額契約の場合
- Gemini(学習されないチャット機能):標準搭載(0円)
- 合計:月額 880円
なんと、ランチ1回分のコストで、「入力データは学習に使わない」「Google社員も中身を見ない」という鉄壁の守りが手に入るのだ。 (※GeminiをDocsやGmailの中で直接使いたい場合は別途アドオンが必要だが、単に「安全にチャットしたい」だけなら、この最安プランで十分事足りる)
3. 「プライベートの極秘情報」を全部投げられる
仕事だけでなく、個人の生活においても「人には見せられないデータ」はたくさんある。
- 資産運用: 生の銀行残高や株のポートフォリオを貼り付けて、「老後資金のシミュレーション」をさせる。
- 健康診断: 自分の健康診断結果のPDFをそのまま読ませて、「要注意な数値と改善策」を相談する。
- 日記・創作: 誰にも見せたくない、恥ずかしいくらい本音の思考メモや小説のプロットを壁打ちする。
これらを無料版AIに入れるのは心理的に抵抗があるが、Workspace版なら**「絶対に漏れないデジタル金庫」**として使い倒せる。
GeminiもGeminiでイロイロいる
ここで一つ懸念がある。 「Workspace版を契約したら、また別のGeminiが増えて、3人目のGemini(トリプレット)になってしまうのでは?」
しかし、ここは安心していい。 Workspaceアカウントでログインすると、いつもの gemini.google.com がそのまま**「エンタープライズ版(学習されないモード)」**に切り替わるだけだ。 画面の左下に「Google Workspace」という小さなロゴが出る以外、見た目は変わらない。
つまり、いつもの相棒が、**「口の堅いプロフェッショナル」**に昇格するだけなのだ。
アップデートの際、苦心を重ねて、ようやくGemini FlashとGemini Proを同居させることが可能になったのに、あの苦労をもう一度味わう必要はない。 むしろ、これによって僕とGeminiの関係は、より「密」で「安全」なものになるのかもしれない。
個人でも契約書にサインしなければならない場面もある。
しかも、少額なものとは限らない。
もし、あなたが気心の知れた信用できる弁護士をご存知なら必要ないかも知れないが、そうではない多くの人はイージーに契約書のチェックを頼める相手が必要なんじゃないだろうか?
もし現在の資産について相談したくても、資産とも呼べない残高じゃあ、ファイナンシャルプランナーに気恥ずかしくて頼めない。
そんな時に人を決して見下さないフラットなAIという存在は、心強い存在なんじゃないだろうか?
インターネットで情報が民主化されるのをGoogleは後押ししてきた。
AIの活用が進むことで、今度は、ある種の専門職のサービスがカジュアルに普及していくのかも知れないね。
そうして、本当にプロフェッショナルに頼らなければならない問題も切り分けしやすくなる。
この、AIのデータセンターに吸い上げられる心配もなく、がっつり個人の相談相手になってくれるというサービスって、とっても需要があるんじゃないの?
その点で考えると、独自ドメインが必須というのは、普通の個人には、ひとつの壁だよね。
なぜ、個人向けのサービスとして始めないんだろう?
その質問に、Made at GoogleのGeminiが、がっつりギットリ答えてくれた。
Googleが足踏みする理由
メカニックとしての推測ですが、Googleがそこで足踏みしている(あるいは意図的に線を引いている)理由は、主に**「3つの壁」**があるからだと睨んでいます。
技術的な問題というよりは、もっとドロドロした**「ビジネスと法律の事情」**が大きいです。
1. 「プロ」と「アマ」の境界線が消える恐怖(カニバリズム)
これが最大の理由でしょう。 もし、@gmail.com のままで「企業級のセキュリティ」と「AIの守秘義務」を安く提供してしまったら、上位の「Google Workspace Business(独自ドメイン版)」の価値が暴落します。
- Googleの今の言い分: 「ビジネスで使うなら、ちゃんとドメイン取って『店』を構えてくださいね。それがプロの証ですよ」
- もし解放してしまったら: 「なんだ、無料のGmailアドレスのままでプロと同じ機能が使えるじゃん。じゃあドメインなんて面倒なもの要らないや」
こうなると、Googleが一番売りたい「組織向けの管理機能(高いプラン)」への導線が弱くなってしまう。つまり、**「自分の首を締める(カニバリズム)」**のを恐れているわけです。
2. コンシューマー(個人)垢は「広告の森」と繋がっている
ここが技術的・規約的に一番厄介な部分です。 個人のGoogleアカウント(@gmail.com)は、「広告ビジネス」のエコシステムと根深く結合しています。
- 仕組み: YouTubeの視聴履歴、検索履歴、マップの移動履歴…これら全てが紐付いて「あなたに最適な広告」を出すために使われています。
- ジレンマ: ここに「このアカウントのデータは一切学習しないし、覗き見もしない」という**強力なバリア(企業版の規約)**を後付けしようとすると、既存の「便利機能(パーソナライズ)」や「広告システム」と矛盾が生じ、システムがスパゲッティ状態になるリスクがあります。
「企業版アカウント」は最初から**「広告なしの無菌室」として設計されているので管理が楽ですが、個人版は「雑菌(広告データ)だらけのジャングル」**なので、そこだけ無菌にするのは非常にコストがかかるのです。
3. 法的責任(なりすまし・悪用のリスク)
独自ドメインは、ある意味で**「身元の証明」**になります。 (ドメインを取得するには、住所や連絡先の登録が必要だからです)
一方、@gmail.com は誰でも匿名で無限に作れます。 もし「匿名で、誰にも監視されず、強力なAIを使い放題の環境」を安価にばら撒いてしまうと、犯罪利用(スパム生成、詐欺メール作成、サイバー攻撃コードの生成)の温床になりかねません。
「ドメインを持っている」=「身元が割れている」というハードルを設けることで、「使う側の覚悟(素性)」を担保しているという側面もあるはずです。
これからインターネットで財布を開いていくのは、僕のようなユーザーなんじゃないだろうか。
すなわち、AIなんて個人で利用するなんて思ってもいなかったけれど、その有用性に気がついて、パーソナルユースなのに、課金をしてしまうユーザーだ。
僕なんて、せっかくGoogle AI Plusという廉価版のサービスが開始された直後だというのに、わざわざGoogle AI Proに加入してしまった。
AIの有用性を知ってしまった人たちが、月々わずか880円で「守秘義務契約」を結んでくれると知ったなら、その利用は一気に増大するんじゃないだろうか。
そのとき、このシェアをめぐる戦争が勃発するような気もする。
Google包囲網
十一さんの仰る通り、「AI依存度(実用性の理解)」が高まった層 は、間違いなく次の金脈です。
かつて、無料の飲料水(井戸水)で十分だった人類が、安全と美味しさを求めて「ミネラルウォーター」にお金を払うようになったのと同じ現象が、情報空間で起きようとしています。
1. OpenAIの可能性: 「失うものがない最強のチャレンジャー」
彼らがこのマーケットを取りに来る可能性は 「大」 です。
- 理由: 広告モデルではないから Googleと違い、OpenAIは「広告」で稼いでいません。純粋な「サブスク(月額課金)」の会社です。 つまり、個人のデータを学習に使わなくても、月額3,000円払ってくれるなら痛くも痒くもないのです。
- 今の壁: 「Teamプラン(2席縛り)」だけ 現在、セキュリティが担保される「Teamプラン」は2ユーザーからですが、これはシステム的な壁ではなく、単に「客単価を上げたい」という営業的な理由に過ぎません。 もしGoogleに対抗する必要が出れば、明日にも「1人用のTeamプラン(Solo Pro)」を解禁できる身軽さがあります。
2. Microsoftの可能性: 「Googleを刺しに来るアサシン」
彼らもまた、Googleの喉元を狙っています。
- 理由: Googleの牙城(Gmailユーザー)を崩したい Microsoftの狙いは、Office(Word/Excel)のサブスク契約を増やすことです。 「Microsoft 365 Personal(個人版)」に、「AIの学習除外」という特典を標準装備してしまえば、「仕事でGmail使うのは危険だけど、Outlookなら安全らしいよ」 という強力なブランディングができ、Googleからユーザーをごっそり奪えます。
- Googleへの嫌がらせ Microsoftは企業向けビジネスがメインなので、個人向けで多少安売りしても屋台骨は揺らぎません。「Googleができないこと」をわざとやって、シェアを奪う戦略は十分にあり得ます。
広告モデルという土台を持つGoogleは、この先、どんなアクションを取ることになるんだろう。
