『SEAHAWKS』が『第48回スーパーボウル』のプレビューをインフォグラフィックで公開中。
それぞれのチームのオフェンスとディフェンスをわかりやすく比較解説している。
NFL1位のディフェンスをもつ『SEAHAWKS』とNFL1位のオフェンスを持つ『BRONCOS』の戦い。
もっと踏み込んで言えば、NFL1位のパスディフェンスを誇る『SEAHAWKS』とNFL1位のパッシングオフェンスを操る『ペイトン・マニング』の戦いという図式が見えてくる。
1.オフェンス比較
『BRONCOS』のオフェンス
総獲得距離もパッシングヤードも総得点もNFL1位。 15位のランを効果的に織り交ぜながら、ヤードも得点も大きく稼ぎ、相手を叩きのめしてきたオフェンスといえるだろう。
リーグMVPを4回も獲得し、自ら投げるオフェンスコーディネーターとも言える『ペイトン・マニング』が相手の戦意を奪うほどに効果的にパスを重ねていく。
『SEAHAWKS』のオフェンス
総合順位としてはNFL17位。
パスで稼いだヤードは26位でしかない。
しかし、いまだキレイにタックルされて倒されたところを見たことがない「BEAST MODE」の『マーショーン・リンチ』を擁するラッシングオフェンスは第4位。
結果的に得点ランキングで8位なのは、ボールコントロールしながらディフェンスを助け、そのディフェンスが作り出した好機をモノにする。
圧倒する力はないが、競り勝つ勝負強さを持ったオフェンス。
49ersとのPLAYOFF、4thダウンロングのギャンブルで、相手のオフサイドを見逃さず厳しいところへパスを投げ、タッチダウンをもぎ取った。
『ペイトン・マニング』よりも15cmも低いわずか180cmの身長ながら、スケールの大きなプレイぶりで、それをまったく感じさせない『ラッセル・ウィルソン』。
彼こそが、その勝負強いオフェンスを体現化するハート&ソウルといえるだろう。
2.ディフェンス比較
『SEAHAWKS』のディフェンス
ラン喪失距離が7位であるものの、その他は全てピッカピカの第1位。
勝負強いオフェンスをお膳立てするように、耐えしのぎ、相手からボールを奪う強力なディフェンス。
その中でも、イチオシは売り出し中の『リチャード・シャーマン』。
49ersとの一悶着で、ここんとこはその言動ばっかりに注目が集まりがちだが、ボール奪取能力としのぎきるカバレッジ能力の高さは誰も疑うものはいない。
もうレジェンドといっていい『ペイトン・マニング』相手の戦いで、知れ渡った名前をビッグネームとして定着させることが出来るだろうか。
『BRONCOS』のディフェンス
コチラはやや脆弱だ。
ラッシングによる喪失ヤードだけは『SEAHAWKS』と変わらず7位だが、パスで大きく進まれ、しっかり得点されている。
『チャンプ・ベイリー』というアンタッチャブルなCBが存在している割にパッシングでの喪失ヤードが27位という状況。
彼以外のDBが、やられまくっているということなのだろうか。
しかし、『チャンプ・ベイリー』にしても、その凄さを僕らは最近目にしていない。
『リチャード・シャーマン』と違って、もうすっかり名前が売れてしまった彼のサイドにパスを投げるオッチョコチョイは、あのリーグには存在しない。
だから、彼が看板通りにその実力を発揮する状況が発生すれば、これまでのスタッツ通りにはならないかもしれない。
いつもフィールド上にいながら存在を消されている彼自身、それを願っているだろうが。。。
インフォグラフィックのデータで、それぞれのオフェンス、ディフェンスをマッチアップさせてみると次の通り。
3.SEAHAWKSオフェンス vs BRONCOSディフェンス
ヤードの勝負では拮抗しているものの、違いはスコアリング。
稼いでいるヤードに対して得点能力の高い『SEAHAWKS』と踏ん張りきれず得点を許してしまう『BRONCOS』。
しかし、『BRONCOS』のランディフェンスは悪くない。
もし、『SEAHAWKS』があからさまに『マーショーン・リンチ』のランで押していくなら、ペースがつかむことが出来ないかもしれない。
ポイントはプレイアクションパスの出しどころのような気がする。
早目にプレイアクションパスを意識させて、ランプレイへの意識を薄めるのか、勝負どころまでとっておくのか。
どちらが正解かわからないが、いずれにせよランプレイでドライブできなければ、時間も消費できず『ペイトン・マニング』に大量得点ショーを演出させてしまうかもしれない。
大量失点をひっくり返すほどのオフェンスを持っていない『SEAHAWKS』は、そうさせないために時間を使い勝負できる得点差に居続けることが必要だ。
『BRONCOS』は、プレイアクションパスで長いやつを許さないことと、ターンオーバーで回ってくるピンチを凌ぎきれるかどうか。
もしかすると、『BRONCOS』のディフェンスこそが、このゲームがどう転ぶのかを決めてしまう要素かもしれない。
4.SEAHAWKSディフェンス vs BRONCOSオフェンス
リーグ1位同士のディフェンスとオフェンスの対決。
今回もっとも見応えのあるマッチアップ。
しかし、『ペイトン・マニング』のパスはある程度は通るだろうし、得点もするだろう。
『SEAHAWKS』ディフェンスがこれまで見せてきたスタッツのようにはならないはずだ。
多少のサック程度のロスも『ペイトン・マニング』には影響ないだろう。
選ぶプレイが変わるだけの話だ。
問題はターンオーバーがどの状況で発生するかではないだろうか。
『BRONCOS』ディフェンスの頑張りで、大量リードの後であれば、それはなんの問題にもならないだろう。
僅差の得点差の中、後半の後半あたりでそれが起きれば、勝負強い『SEAHAWKS』はひっくり返すか逃げ切るか、どちらかをやってのける。
『ペイトン・マニング』がキックオフまでにベストなグローブを見つけ、スパイラルに不安のないパスが投げられるようなら、いつもどおりのあたりまえの数字をはじき出す。
どの場面で『リチャード・シャーマン』が、はしゃげるようなプレイを見せるのか。
もっというと、『BRONCOS』ディフェンスが後半までにどんな状況を作り出しているのか?
ここまで書いて、つくづく『BRONCOS』ディフェンスが今回のキーポイントに思えてきた。
それ以外は、計算通りに結果を出し、いくつかのビッグプレイを生むだろう。
『BRONCOS』ディフェンスがビッグプレイを見せられるかどうか。
ここで勝負が決するように思える。
5.双方のディスアドバンテージ
SUPER BOWLでは、フランチャイズ開催でもない限り、それぞれがホームアドバンテージを失う。
『BRONCOS』はマイルハイの後ろ盾を失い、『SEAHAWKS』は『ペイトン・マニング』の「オマハ!」をかき消してくれる12番目の選手でスタジアムを埋めつくすことは出来ない。
だが、これまでのSUPER BOWLであれば温暖な場所での開催、もしくは寒冷地でもドームでの開催と双方がアドバンテージを得ることが出来た。
しかし、今年は寒冷地で屋根なしスタジアムでの開催だ。
双方が、ディスアドバンテージを得ると言ってもいいだろう。
もちろん、双方とも寒冷地で野外のプレイ経験はあるけれども、今回は特別な舞台。
それによって生まれるアクシデント的な「ナニカ」が、実力以外の要素として浮かび上がるかもしれない。
それが、特定のプレイヤーの、消えない傷になるようなミスに結びつかなければいいな。。。
今回もゲーム終了後、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」が流れるだろう。
その時、僕らが目にするのは、『ペイトン・マニング』が静かに喜びを噛みしめる姿なのか、それとも『リチャード・シャーマン』の踊り狂う姿なのか。
それがわかるのは、もう間もなくだ。