NFLは、全スーパーボウル出場選手の中からベストメンバーを選出した。
Golden Teamの名の通り、選ばれたメンバーはリアルタイムで見たことある人から、お名前は伺っておりますという往年の大選手まで幅広い。
「そうそうたる」という日本語は、こんな時に使うんだね。
その中で、気になるポジションTEは、ジェイ・ノバチェックが選出されたようだ。
Tight end – Jay NovacekNovacek was a three-time Super Bowl champion (XXVII, XXVIII, XXX) with the Cowboys. Novacek — who was a five-time Pro Bowl selection from 1991-95 — was a vital cog in the Cowboys’ offensive machine, and he scored two touchdowns and accumulated 148 yards receiving in those three Super Bowl victories.
情報源: Super Bowl 50 Golden Team | NFL.com
TEというポジション
TEというポジションほど、初心者に説明が難しいものはない。
専門職がほとんどのアメリカンフットボールのポジションの中で、あれもやったりこれもやったり、なんだったら最近ではFBの位置にもワイドアウトにもセットしていたり…
その他のポジションが求められるものや適性が大きく変わらないのに対し、TEはチームのニーズによって、あるいは時代によってそれが大きく異なっているように思える。
最近では、アスレチックTEがあちこちのチームにいて、RBやWRよりもメインウェポンになっている場合がある。
ペイトリオッツのロブ・グロンコウスキみたいな、マーク・ババーロをよりアスリート化させた化け物がいれば当然かもしれないが。
しかし、ひところはFBに次ぐ絶滅危惧種にも指定されていたTE。
パスを取ることもできるOLから、頑健なWRに進化していくことで、その淘汰から生き残っているように思える。
だから、ニーズの違うこの50年で誰がベストのTEに選出されるのかという点は大いに興味があった。
レシービングTE
選出されたジェイ・ノバチェックは、レシーブが上手なTE。
「レシーブが上手なTE」は、今風のアスレチックTEとは若干ニュアンスが異なる。
主にオフェンスタックルの隣を根城にして、オフタックル、オープンのランプレイのキーブロッカーの役割が果たせて、なおかつパスを取るのが得意なTEとしておこう。
以前は、パッシングダウンになるとサイドラインに戻らされるTEがほとんどだったと思うが、彼はすべてのダウンで活躍していた。
同じくGolden Teamに選出されたRBエミット・スミスが走り回るためのキーブロッカーであり、焦れるLBの背後で確実にパスを補給する。
ミスのない堅実なプレイからペイチェックというあだ名が付いていた。
だから、当時のダラス・カウボーイズのパスとラン、裏と表をつなぐ需要な役目を果たしていたはずだ。
その系統樹は、その少し前に活躍した、僕の好きだったトッド・クリステンセンにつながっている。
そして、その系統樹は、現在、カロライナ・パンサーズのグレッグ・オルセンにつながっている。
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全員、ヒゲが特徴だからというわけではないけれど…
イマのアスレチックTEと違うのは、職人の匂いがすることだ。
LBやSSがウヨウヨいる中で確実な仕事を求められ、囲まれ渾身のハードヒットを浴びても、無言でヘルメットを直しながら立ち上がる。
高倉健がフットボールをプレイしていたら、このポジションがぴったりだったかもしれない。
引退後は解説者やコメンテーターを務めたりという話上手な点も、実はおしゃべりな健さんにそっくりかもしれない。
フィールドに一人もいないこともあれば、3人も投入されることもある。
そうしてセットする位置も、今では実に様々だ。
そこに注目すると、オフェンスがやろうとしている意図というものを事前に感じれるようになるだろう。
その裏も含めてね。
また時間を重ねた何年か後には、どんな選手が選出されているだろう。
そしてその頃、TEには、どんな役割が求められているのだろうか…