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イェール大学ブルドッグス 勝率予測0.3%からの大逆転

80年ぶりのポストシーズン、アイビーリーグとして初めてのFCS チャンピオンシップのトーナメントの出場。
Ancient Eight の覇者、イェール大学ブルドッグスの勝率予測は、わずか0.3%に過ぎなかった。
なにせハーフタイム終了時のスコアボードに記されていたのは、7-35の絶望的な点差だったのだから。

勝率予測0.3%

あっという間に3TDを奪われると、前半終了時点で記されたスコアは、7-35。
第3クォーター残り3分を切ったところでスコアボードは、14-42。
ESPNの機械学習が弾き出した勝率予測は、わずかに0.3%。

同時刻に開始された、アイビーリーグからのもう一つの出場校、ハーバード大学クリムゾンは、ビラノバ大学ワイルドキャッツに、7-52と惨敗を喫した。

OK!
今年は、アイビーリーグとして80年ぶりのポストシーズンだし、初めてのFCS チャンピオンシップのトーナメントを経験したんだ。
この糧を来年に活かせばいいよね。

そんな周囲の割り切りなど、いっさい耳に入らない。
フィールドのブルドッグスは誰一人諦めていなかった。

RB ジョシュ・ピツェンバーガーの3TDとプラスワン

この日のMVPは、RB ジョシュ・ピツェンバーガー。
32回もボールを持つと、209ヤードを稼ぎ出した。
3TDのうちのひとつは、56ヤードの逆転ホームランTDだ。

3度の4th down ギャンブルを全て成功させ、2ポイントコンバージョンをきっかり成功させ後半のスコアは、36-7と前半のまるで逆。

勝利を決定づけたのは、RB ジョシュ・ピツェンバーガーが4つ目のTDを上げなかったことにある。
残り時間1分47秒で、彼は7ヤードを走り切って誰にも触られずにエンドゾーンに飛び込めるはずだった。
しかし、彼は、躊躇なく、その目前でニーダウンした。

最近流行りの、このチョイス。
残り時間と点差を考えると、しっくりいかないゲームもいくつかある。
しかし、このゲームでの彼の判断は、ベスト、いや、これ以外に正解がない。

もし彼がTDをあげていれば、スコアは50-42。
そこに1分半ほどの時間が残される。
同点に追いつくためのワンポゼッションには、十分すぎる時間だ。

もしそこからタイブレークになったとしたら、モメンタムは腰を上げて、ヤングスタウン州立大学ペンギンズのベンチに戻ってしまうかもしれない。
だから、RB ジョシュ・ピツェンバーガーがニーダウンした時に抱えていたのは、ボールではない。
モメンタムそのものだ。
残された試合時間の中で、もうモメンタムが、どこにもいかないように抱え込んだのだ。

イェール大学ブルドッグス史上最大の逆転劇

このゲームは、イェール大学ブルドッグス史上最大の逆転劇だ。
これまでの最大の逆転劇は、1941年10月4日にヴァージニア大学相手に19点差をひっくり返したものだった。

YOUNGSTOWN, Ohio — In the program’s first-ever appearance in the FCS Playoffs, Team 152 defeated Youngstown State 43-42 in an all-time classic Saturday afternoon at Stambaugh Stadium.

Bulldogs Defeat Youngstown State In 43-42 FCS Playoff Thriller – Yale University

今年のイェール大学ブルドッグスは、リーグ最終戦でハーバード大学クリムゾンにアップセットをあげて、リーグ優勝をもぎ取ったり、チーム史上最高の逆転劇を演じたりと、土壇場での勝負強さが感じられるチームだ。
まさにニックネーム通りと言えるだろう。

ハンサム・ダン

イェール大学のスポーツチームは全て、ハンサム・ダンと呼ばれるブルドッグをマスコットにしている。
現在のハンサム・ダンは、なんと19代目。

ブルドッグは、イギリスで雄牛と戦わせるために開発された犬だ。
勇猛さと粘り強さを表す存在であるブルドッグは、イギリスの国犬でもあり、イギリス海軍のマスコットでもある。
ジェームズ・ボンド英海軍中佐が、Mの遺品のブルドッグの置物を持っていたのを思い出す。

Anyway、イェール大学ブルドッグスは、そのニックネーム通り、ここまで勇猛さと粘り強さを発揮し、激闘を乗り越える姿を見せている。
もっとも、少しでも弱気が見えた暁には、ハンサム・ダン19世に追っかけ回されて、お尻に噛み付かれるのかもしれないのだが…

イェール大学ブルドッグス パーカー