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トム・ブレイディ自身の意外なベストゲームとは

片手で持て余すほどのスーパーボウルリングを獲得し、現在も現役続行中のライブなGOAT トム・ブレイディ
幾多の名勝負、名場面を演出してきた彼が、Apple TV+で語った自身のベストゲームとは、意外なものだった。
それは、観ている方はたいしてドラマを感じないレギュラーシーズンのひとつに過ぎないものだったからだ。

2007年 バッファロー・ビルズ戦

サンデーナイトで行われたとはいえ、強いペイトリオッツがその強さを一方的にプレゼンし続けるだけのゲームは、観ているほうにはたいした盛り上がりを与えてはくれなかった。
しかし、彼は、全く違う感覚を味わっていたのだ。

「すべての判断が正解だった」
「今でも、あのときの自分を目指している」
「自分にとってのマスターピースであり、人生でいちばんのパスを投げることができた」

彼のいうところの人生いちばんのパスとは、劇的なものでも、特大ロングボムでもなく、ただ一本のカールパターンに投じたもののこと。
レシーバーがまだ背中を向けている状態で投じたパスが、振り返ったレシーバーにドンピシャでおさまった感覚を忘れることができないのだ。

捕る方からすれば、振り向いた瞬間に、目の前に心地のいいスパイラルがあらわれ、ポケットにおさまる気持ちよさという感覚なら理解できる。
いつまでも苦味が薄まることのないミスも忘れることができないかわりに、良いプレイの感触もカラダに残り続けてくれる。
どんなレベルの選手であれ。

GOATと呼ばれる存在になっても、もう手に入れていないものがないだろうと思われても、まだ彼が現役を続ける理由が、何かの記録の更新などではなく、ただあのとき味わった感覚をもう一度味わいたいだけというのなら、あたたかく見守る気にもなれる。

Greatness Code

その映像は、AppleオリジナルのApple TV+で製作されたものだ。
10分にも満たない短さとスタイリッシュな映像が特徴的だ。

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2007年 ペイトリオッツ 18勝1敗

この年のペイトリオッツは圧倒的だった。
レギュラーシーズンで負けなしの16勝。
NFL100年の歴史での、年度ごとのチームランキングでも第7位。

2007
NEW ENGLAND PATRIOTS

“I’m not entirely sure they had any weakness. Most teams have one or two strengths.” – Tony Romo

情報源: NFL 100 | NFL.com

しかし、唯一の負けが最後の最後、スーパーボウルで訪れた。
僕の知る限り、スーパーボウル史上最大のアップセット。
しかも、あの、NFL100年の中で第3位にランキングされるデビッド・タイリーのヘルメットキャッチが行われたスーパーボウルでだ。

February 3, 2008
DAVID TYREE HELMET CATCH IN SUPER BOWL XLII

“We talk about miracles, that was a miracle.” – Luis Guzman

情報源: NFL 100 | NFL.com

頼りなかったイーライ・マニングが、レギュラーシーズンの最終週の対戦で、突如として覚醒をはじめたのも何かの伏線だったのだろうか。
振り返ってみれば、2007年というのは、いつにも増してドラマチックなシーズンだった。
いちばんハラハラしていたのは、シャンパングラスを奪われそうになったマイアミのご老人達かもしれないが…

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