U-NEXTで配信されているウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-は、ロサンゼルス・レイカーズが黄金期を築き上げていくドラマだ。
そう、レイカーズ最初の王朝のことだ。
名選手の登場や、歴史に残る激闘の裏側が語られることばかりが目玉じゃない。
スポーツは、ビジネスの要素が加わって一気に生臭くなる。
その生臭さが、ドラマの面白さを一気に高めてくれる。
コートの中でプレイすることのない者も、それを糧として生きていかねばならない。
そうして文字通り、人生を賭けたスポーツ、そして人生を賭けた一戦が誕生することになる。
LA 1979
舞台は、1979年のロサンゼルス。
クソッタレの70年代を生き抜いて、ようやく迎える新しい80年代というディケイドに期待を膨らませていた頃。
そして、HIVウィルスが、セカイのイノセントな欲望に歯止めをかけるようになる少し前のこと。
なんとこの頃のNBAは、経営難であった。
米国4大スポーツの一角にありながら、TV放送の打ち切りもささやかれ、LAの住人は目の前のレイカーズの選手を置き去りにしてラムズの選手を追っかける有様。
ジェリー・バス
そんな状況に現れたのが、ルーキーのオーナー、ジェリー・バス。
不動産で財をなし、プレイボーイマンションの常連となった彼は、もうひとつの男の夢、プロスポーツチームのオーナーとなった。
カレッジバスケットの大ファンだった彼は、ゲームそのものの面白さも十分に理解した上で、もっとエンターテインメント化できると考えていた。
そこから生まれたのが、あのLaker Girlsだ。
団子髪を嫌い、バレエにそそられない彼により、このファビュラスなダンスチームは誕生したのだ。
NFLのチーム買収のニュースを目にする僕には、さぞやふんだんな資金を持った富豪なのだと思っていたが、実態は火の車。
チーム買収に持てる資産の全てでは足りず、別れた妻に借金まで申し込む始末。
さらに追い打ちをかけるように、隠されていた銀行への返済の期日が迫る。
彼は、銀行への返済の猶予のために、勝たねばならなくなった。
F**K BOSTON
だが、彼には純粋に勝ちたいという動機が生まれることになる。
それは、あの忌々しいボストン・セルティックスのレッド・アワーバックの存在だ。
Michael Chiklis in Winning Time: The Rise of the Lakers Dynasty (2022)
情報源: Winning Time: The Rise of the Lakers Dynasty (2022)
監督兼球団副社長として8連覇も記録したことのあるレッド・アワーバックは、新参者のオーナー相手にふんぞりかえっている。
セルティックスは、晴れ舞台で幾度となくレイカーズを負け犬に追いやった相手だ。
しかし、そんな歴史とは関係なく、ジェリー・バスは、この忌々しい古参を打ち破る決意をすることになる。
あのニューイングランドのフットボールチームも、忌々しくふんぞりかえっているのだろうか。
まあ、今年の成績じゃあ、発言すらも出来なさそうだけど…
say it with me. FUCK BOSTON 🗣️pic.twitter.com/Xhkt15Z1K1
— Lakers Lead (@LakersLead) May 30, 2023
マジック・ジョンソンとラリー・バード
情報源: Winning Time Cast & Characters: Magic Johnson | HBO.com
そうした下地に加えて、マジック・ジョンソンとラリー・バードは個人的なライバル関係を抱えたまま、それぞれのチームに入団することになる。
そうして80年代最高のグレートライバリーが誕生することになる。
いつでも敵意剥き出しのラリー・バード。
マジック・ジョンソンの白い歯も、常にラリー・バードの評価が高いことには翳りが出る。
マジック・ジョンソンの2つの失敗
学生がプロになり大金を得る。
さらに名声を得ていくことがどういうことになるのかについても描かれている。
どんな人種が、どんなふうに近づいてくるのか。
そうした環境ともともとの性格が、彼を奔放な生活へと向かわせてしまう。
それがやがて大きな問題をもたらすことになるが…
もうひとつの失敗は、契約するシューズメーカーの選択を間違ってしまったことだ。
彼は数あるオファーの中からコンバースを選択する。
オファーをくれた中には、まだまだ無名のナイキの存在もあった。
そして、ナイキのオファーの中には、10万ドル分のストックも含まれていたのだ。
現金を一気に払うことができなかった当時のナイキの精一杯の誠意だろう。
しかし、彼はこれを断った。
当時の株価は0.18ドル。
そして現在は134ドル。
なんと740倍。
彼は、75億円ほどを儲け損なってしまった。
カリーム・アブドゥル=ジャバー
そんなマジック・ジョンソンのマスターとも言えるのが、カリーム・アブドゥル=ジャバーだ。
バスケットに疎い僕は、死亡遊戯の印象しかない。
だから今回初めて、いかに偉大な選手だったのかを知った。
いかに黒人の怒りを抱えていたのかも…
そうして、奇妙な果実と言われる木に吊された黒人の死体を、その目で見たこともあるマジック・ジョンソンの父親。
2人が邂逅し、ファーストネームで呼び合うことになるシーンもone of the bestだ。
馴れ馴れしいルーキーと気難しいキャプテンもゲームを重ねていく中で、いつしか邂逅していく。
その様子は、まさにジェダイとパダワンのそれだ。
そして、彼独自の技であるスカイフックをマジック・ジョンソンに伝授することになる。
僕はバスケもNBAもちんぷんかんぷん。
ビッグネームをかろうじて聞いたことがある程度の男だ。
ポップな絵作りの中、登場人物たちは、ちょいちょい視聴者に語りかけてくる。
その問いかけに応じるうちに、いつのまにか、僕もこのドラマに引き込まれてしまった。
あなたもいつの間にか引き込まれて、F**K BOSTONと叫んでしまうかもしれない…
シーズン2も
失礼、動画を貼り間違えた。
シーズン2の予告はこちら。
もうアメリカではすでに配信されている様子。
マジック・ジョンソンとラリー・バードが、いよいよファイナルで直接対決となる。
バスケ好きは、より深く味わえるんだろうが、素人には新鮮な喜びもある。
個人とチームと歴史が坩堝となって生まれた稀有なグレートライバリーは、どのような結末を迎えるのだろうか…
U-NEXTさん、シーズン2の配信待ってるよ。