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「前略おふくろ様」俺、レビューします

前略おふくろ様
おかわりないでしょうか。
先日久しぶりに前略おふくろ様を見る機会があり、レビューすることにしました。
レビューといっても、そこに深い知識があるわけではなく、ただ感じたことを書くだけであり、わかっている人たちから見れば、それは大変に恥ずかしいわけで…

昔見たことがあるといっても、その頃はモノゴコロがなんだかわからなかったような年齢であり、なんとなくの雰囲気しか覚えていなかったわけで、久しぶりに見たドラマは初めて見るに近く。
そこでは、半妻さんや利夫さんがテンション高く熱演しており、あの頃はるかおっさんに見えた2人が、たかだか40とか30過ぎとかの年齢だったことも、今思えば大変ショックです。

「恐怖の海ちゃん」がいかに恐怖だったのかは大人になって初めて実感し、その話し方と奔放すぎる振る舞いが相当に面倒くさいものだということが今になってよく理解できるわけで、しかも純粋であるからこそ見捨てられないサブちゃんの気持ちも痛いほどよく分かるわけで…

古い東京というよりは、近代化した江戸ともいえる深川の狭い範囲を舞台にしたそれは名作ドラマというよりも、青春ドキュメンタリーとも言えるような雰囲気があり、知らず識らずのうちに引き込まれていきます。

それは青春の終わりに近づいたサブちゃんや、それを取り巻く人たちが必死に生きているドラマであり、半妻さんもブスと結婚したことが悲劇だったのではなく、結婚そのもので青春に終わりを告げたことが悲しいということが、今ようやくわかるわけで。
人は、その真っ只中にいれば気づかず、なくしてから初めてそれを手にしていたことに気づくことばかりで、最初にそれに気づくのが青春というものかもしれません。

そうして俺も、青春をなくして初めて青春の輪郭のようもなのが見えたわけで、今ようやくこのドラマをきちんと味わうことができるようになりました。
しかし、それも良いことばかりではなく、ガキの頃は気づかなかった大人の苦さがドラマのあちこちに潜んでいることに気づくことでもあり、なんとも落ち込むことでもあるわけで…
そうして回を追うごとに、だんだんに集中できなくなっていきました。

画面を通して年老いたおふくろ様の姿が浮かぶばかりで、もうサブちゃんのおふくろ様よりも高齢になってしまったあなたに、サブちゃんよりもはるかに年を重ねてしまったいい年の俺が、まったく親孝行できていないことが実に申し訳なく思われ、その罪悪感ばかりが大きく膨らむわけで…

前略…
前略おふくろ様
春が来ました。
まだまだ寒い日もあるので薄着をしてはいけませんが、春が来ました。
桜を見に行きましょう。
おふくろ様の目の黒いうちに桜を見に行きましょう。
ひらひら舞い散る桜を見ながら、美味しいものを食べましょう。
気の利いた話はできませんが、美味しいものを食べましょう。

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