独白

明治神宮と枯葉とライフログ

新嘗祭(にいなめさい) が終わった明治神宮は、短いつきあいだった秋に背中を向け、本格的に冬の準備に入ったようだ。
お祭りのために日本中から集められたアレコレのお供え物は、いつの間にか何処かに消え失せ、取り戻した本来の姿はチョットだけ寂しく見える。

明治神宮の森は、人工的に計画してつくられた ものであり、いわゆる全くの自然の姿とは言えないのかもしれない。
しかし、この時期、自然でしかなしえない場面を演出してくれる。
245種類にものぼる樹木は、全体が枯れることもないし、全体が紅葉することもない。

しかしこの季節。
やはり、あちこちから枯れ葉の音がカサカサと聞こえてくる。
そしてもし、あなたが善人であれば、枯れ葉のシャワーに出くわすことが出来る。
大鳥居を抜けて玉砂利の音をたてながら歩き出すと、ある瞬間にその音が消える。
頭上からカサカサと音が聞こえ始め、それは視界全体に広がっていく。
音につられ見上げると、雪が降るように枯れ葉が舞っている。
目も耳も枯れ葉に埋め尽くされ、回転しながら待っている枯れ葉達の只中に立ち尽くしている自分。
枯れ葉が舞うたびにあちこちで光がキラキラと乱反射する様は、とても現実世界とは思えない。
ルーカスフィルムあたりがこしらえた、大変デキのよいCG世界の登場人物にでもなったようだ。
こうした瞬間を捉えておきたくて、ライフログにいそしんでいる。
しかし、どんなにこのヘタクソなブログの文章力を上げたとしても、どんなに優れたアプリやガジェットが開発されたとしても、この瞬間をキャプチャーすることは叶わないのだろう。
ここで感じる、薫り、光、空気感。
そして自分のココロ。
これらがフリーズドライ出来たなら、自分の人生も思ったほど悪くないと言えるための記念品になるのにね。
叶わぬことを望みながら、こうして駄文を打ち続けるだけか。。。

ひとつだけ、ウソをついた。
この枯れ葉のシャワー。
あなたが善人でなくても出くわすことが出来る。
だって、この僕でも出くわすことが出来たんだから。
枯葉

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