独白

明治神宮とA DAY IN THE LIFE

原宿駅の改札を抜けると、人並みは二通りに分かれる。
ひとつは、左折してファッショナブルなサムシングを成し遂げようと竹下通りに向かう人々。 もうひとつは、やや神妙な面持ちで明治神宮に向かう人々。

両方をカバーする外国人観光客はおいといて、日本人であれば、それはどちらに向かう人達なのか見分けはつく。
もっとも、例の清正井が大ブームの頃は見分けはつかなかったが、それはどうやら落ち着いたみたいだ。

僕は特別なアンテナを持っているわけではないので、「ここをパワースポットと認定いたします」と宣言するわけにはいかない。
ただ、大きな鳥居を飲み込む、これまた大きな緑の森を眼前にするころには、明らかに空気が変わる。
マイナスイオンかどうかはわからないが、適度に潤った、ひんやりとした空気に体全体が飲み込まれる。
砂利の音がだんだんと大きくなるのに反比例して、原宿駅からの音は聞こえなくなっていく。 人々にはたくさんすれ違うのに、どんどん静かになっていく。
砂利の音さえも、何処かに吸い込まれていくようだ。

中にいる人々は、これまた2種類に分かれる。

グループでいる人達は、楽しんでいる。
穏やかに声を潜めて笑い、とても幸せそうだ。

独りでいる人達は、真剣な顔つきで一定の速度で歩いてる。
なにかのお願いに来たのだろう。
願い事は明確になっているだろうか。
あるいは何をお願いしていいのかわからず、とりあえず本殿に急いでいるだけかもしれない。 こちらの人達は幸せそうというよりは、真剣さがしっかり伝わってくる。

しかし境内にいる全員が一体となる瞬間もある。
それは結婚式を挙げている花嫁行列に出くわしたとき。 花嫁行列 外国人はOH!と歓声を上げ、日本人は静かに近くに寄っていく。
この瞬間は、観光コースの一環として立ち寄った外国人と真剣に神頼みに来た日本人が一体となって厳かで静かな花嫁行列に温かい眼差しを向ける。
どの人も幸せそうだ。

よくあたりを見てみると、七五三やお宮参りや初デートの初々しさが伝わる若いカップルもいて、2種類と紋切り型には、とても分けられない。
外国人も、ロシア語、フランス語、中国語、韓国語、アメリカ語がとびかっていて、みなマナーを守り穏やかに話している。

東洋と西洋と、大陸と島国と、幸福と幸福未満と、感謝と願い事が、ドロリッチのように混ざり合ってる場所。
とっても特別な場所なのに、A DAY IN THE LIFEをじんわりと感じる場所。
こういう素敵な場所がすぐ近くに存在する幸福。
それこそが、願い事の前にまず感謝しなければならないコトなんだろうね。 明治神宮の空

コメントを残す