アメリカ建国250年、アメリカ軍創設250年。
そうしてスーパーボウルも60回の記念大会。
そんなスペシャルが重なって生まれた、史上初のアメリカ海軍と空軍の合同チームによるフライオーバーは、事前の期待通りの見事さだった。
空軍と海軍のプロトコルの違いを乗り越えた、一糸みだれぬ美しい編隊は、高い統合運用のプレゼンスとしてはToo Much!
それに加えてスーパーボウル史上初となるサプライズも、ちゃっかりと仕組まれていたのだ。
史上初の波状フライオーバー
なんとも臨場感のある映像だよね。
そうして公式の映像を見ていただくと、このフライオーバーのフォーメーションの特殊性に気づいていただけるはずだ。
#SBLX AIRPOWER! https://t.co/LFZHFOmguk
— U.S. Air Force (@usairforce) February 8, 2026
The Star-Spangled Bannerのサビもサビというピンポイントを、アメリカ海軍と空軍の合同チームによる美しい編隊が通過する。
あれ?
事前の情報では、B-1Bランサーがもう1機いたはずだと思った頃に、トドメを刺すようにラスボスが登場する。
そう、今回の史上初は、アメリカ海軍と空軍の合同チームの結成だけではなかった。
史上初の波状飛行というサプライズが仕込んであったのだ。
このフォーメーションは、2つの点からインプレッシブだった。
分離する演出
アメリカ海軍と空軍の合同チームが一糸乱れぬV字編隊で登場する。
ワオ!と見惚れて、編隊が過ぎ去るころに、B-1Bランサーが、ソロでトリをとる。
ビジュアルも2段構えだが、音も分離されることで際立っている。
B-1B ランサー、F-15C イーグル、そしてF/A-18 & F-35C。
この4種類の機体の吐き出す轟音は、ひとつの混成合唱団。
彼らのパートが終わった後に、B-1B ランサーが注目を一身に浴びて、ソロを歌い上げるのだ。
パレードではなくオペレーション
僕は、この波状のフォーメーションを見たとき、シドニアの騎士を思い出してしまった。
奇居子(ガウナ)と呼ばれる対話不能の宇宙生命体を破壊する唯一の方法は、胞衣(エナ)をめくって露出する本体に、カビザシと呼ばれる槍を突き刺すことだった。
今回のフォーメーションもそうだ。
まずは、戦闘機・マルチロール機の編隊が、地上のレーダー施設を破壊し、反撃能力を無効化させる。
満を持して、とどめの巨大な槍を持った音速の騎兵が、単一の目的を遂行させるために登場する。
そう、これはパレードを組んでいるのではない。
オペレーションを遂行しているのだ。
空軍と海軍の合同という華やかさより、それぞれ3ヶ所の基地から飛び立つという難易度が目を引く。

ものすごいスピードで飛行するしかない移動体を、それも、性能も年式も違うものたちを、別々の場所から発進させて、The Star-Spangled Bannerのサビもサビというピンポイントで、編隊を組んで通過させなければならないのだ。
ひとつの基地から、ヨーイドン!というシンプルな方法とは、全く違う手順を踏まなければならない。
2026 第60回 スーパーボウル Flyover:250年目のオールスター – ALOG
ある日時と位置情報を、すなわち、ターゲットの居場所をインテリジェンスが把握すれば、基地の場所にも、所属の軍にも関わらず、そのとき最適なパッケージを組み上げてピンポイントなオペレーションを遂行することができる。
地上からの反撃のないクリーンな状態を作り上げた後、B-1Bランサーという、莫大な爆弾搭載量を持つ「空飛ぶ兵器庫」を無傷で送る届けることが可能なのだ。
That moment when you nail the Super Bowl LX flyover with your buddies. #SuperBowlLX pic.twitter.com/RMrKwT0iA6
— Airshow News (@NewsAirshow) February 8, 2026
この様々なアニバーサリーが重なった歴史に残る日曜日に、極めて高度なミッションをやり遂げたパイロット。
だが、彼らが達成感を表現するのは、簡潔なFist bumpだけだ。
カリフォルニアの青い空に、スタジアムにも名前を刻むLevi’sの真っ赤なロゴ。
そこに、統合運用のプレゼンスがわりのパレード飛行。
あの数秒間に凝縮されているのは、まさしくアメリカそのものなのだろうね…
