ひと目見ただけで、それが誰が撮影したものかがわかる映像がある。
そう、NFL Filmsのそれだ。
NFLをNFLたらしめているのは、もはや彼らと言っても過言ではないのではないだろうか…
2025シーズンの2本

Shots of the Year | NFL Films Presents
わずか数秒のプレイの繰り返しに過ぎないフットボールが、彼らの手にかかれば、叙事詩に昇華される。
まるで脚本でも存在したのかと思わせる上質な演出が、そのドラマを増幅する。

2025 Season in 7 Minutes | NFL Films
NFL Films

Broadcast Innovation
NFL Films“The game of football is what it is today, because of NFL Films.” – Andrea Kremer
NFL Filmsは、NFL100年の歴史において、ゲームチェンジャーの13位にランキングされている。
オーバーコートのセールスマンだったエド・セイボルが、結婚祝いで貰った16ミリのアナログカメラで、息子のスティーブ(後の社長)の試合を趣味で撮り始めたのがすべての始まりだった。

当初は、チャンピオンシップの映像化の権利しか手にしていなかった。
しかし、その出来上がった映像に感銘を受けたNFLのコミッショナーは、すぐに、この映像会社をNFLで買い取るべきだとオーナーたちを説得した。
まだ、昭和も40年を迎える前のことだ。
その先見の明のあったコミッショナーこそ、ピート・ロゼール。
現在のNFLの隆盛の基盤を築き、ゲームチェンジャー第2位にランキングされている。

Commissioner
Pete Rozelle“Rozelle was ahead of his time and he had a sense of vision for what pro football could be.” Michael MacCambridge
現在の、コンテンツがワンクリックで飛び交う状況ではない。
まだカラーテレビだって行き渡るかどうかの頃に下した英断が、あのスポーツの魅力を世界にばら撒いた。
日本でも、試合の放送がない頃でも、珍プレー集で、ファンブルで転がるピーナツを、大男たちがユーモラスにもんどりうってリカバーしようとする映像が流されていた。
そのルールがわからなくても、なぜ彼らがヘルメットをかぶっているのかを理解できていなくても、そういう競技が存在するということは、子供心にしっかりと楔を打ち込まれた。
プレイなんて、あっという間に終わってしまう。
どんなにすごいプレイだって10秒も続くことはないのだ。
ましてフットボールでは、ボールがどこにあるのかさえ分からないうちに、審判の笛が鳴り響く。
NFL Filmsは、そのプレイをじっくりと味わえるように、彼らにしかできない調理法で提供してくれる。
味付けも豊富だ。
喜怒哀楽、全て取りそろえてある。
何より、素材のよさを存分に活かしながら…
すべからく全てのスポーツ業界が真似をするのかと思えば、コピーキャットは意外に存在しない。
ただカメラをばら撒いて、スローモーションにすればいいってわけでもないようだ。
NFL Filmsにしか存在しない、門外不出のレシピがきっと存在するのだろう。
それは、もしかしたら愛情と呼ばれるものなのかもしれない。
かつて、エド・セイボルが16ミリカメラで息子の姿を夢中で追いかけていた、極めて個人的で愛おしい眼差し。
Love of the Gameと呼ばれるものが、ただのスローモーションを叙事詩に変える隠し味なのかもしれないね…

