『親愛なる八本脚の友だち』マーセラスの触手というハブ

物憂げな彼の独白で物語は始まる。
自由を失い囚われの身となって、もう1401日目。
彼は正確にそれをカウントしている。

彼が想うのは、静寂の広がる海底で自由だった頃の自分。
なぜなら、マーセラスと名付けられた彼はミズダコなのだ。

海の賢者と呼ばれるタコから見れば、知性に劣る人間は、愚かで不器用極まりない。
Netflixで配信された親愛なる八本脚の友だちは、そんな愚かで不器用な人間に対するマーセラスの優しい眼差しで物語が語られていく…

親愛なる八本脚の友だち

小さな町の水族館で夜間に働くトーヴァは、家族を亡くした孤独な女性。そんな彼女と、高い知能を持つミズダコ、人生迷走中の青年との交流を描く感動の物語。ベストセラー小説を映像化。

出演:サリー・フィールド、ルイス・ブルマン、アルフレッド・モリーナ…その他
監督:オリヴィア・ニューマン
脚本:オリヴィア・ニューマン、ジョン・ウィッテイントン

海の賢者

その高い知性から、海の賢者と呼ばれるタコ。
脊椎動物に匹敵する大きな脳に加えて、なんと、8本の腕それぞれに脳を持っている。

マーセラスは、タコの中では長寿の部類。
その学習能力と問題解決力を発揮して、夜な夜な水槽を抜け出しては、自由に水族館の中を這い回っている。
ただし、それにはリスクもつきまとう。
水槽に戻り損ねると命に関わるのだから。

そんなピンチを、トーヴァが救ってくれたことを、記憶力に優れる、このミズダコは忘れていない。
マーセラスは、彼女に、いつか恩返しをしようと心に刻み込んでいた。

タコの腕は、それぞれの脳を備えるだけでなく、触覚、嗅覚、味覚も感じ取れる。
すなわち、その触手が感知する情報量は、とてつもない。

息子を亡くしたことに折り合いがついてないトーヴァに触れて感じた同じものを、マーセラスは、キャメロンにも感じ取る。
キャメロンも、産み捨てただけの母親を、先日亡くし、父親については、顔も知らないのだ。

今にして思えば、トーヴァとキャメロンが、マーセラスの触手をハブにするように繋がったシーンも象徴的だ。
マーセラスは、その高度な触手で、より深い情報を読み取っていたのだろうか…

最後は、知性に劣ると見下していた人間が、時として、驚くほど聡明な生き物になりうるという、マーセラスの嬉しい驚きによって締め括られる。
あなたもきっと、マーセラスが感じたものと、同じ驚きを感じることになるはずだ…

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