Movie & TV / John Wick
ジョン・ウィック:パラベラム

「ジョン・ ウィック:パラベラム」観た人のためのレビュー(1)「Guns. Lots of gunsと9mm メジャー弾」

ジョン・ウィックと彼を取り巻くプロフェッショナルの登場にあわせて、今回も様々な銃火器が目白押し。
そして本作は、タイトルのパラベラムにふさわしく、銃本体からさらに一歩踏み込んで、あなたを弾薬のセカイにも導いてくれる。

Guns. Lots of guns

でも、そんな銃と弾薬の話に入る前に、まずはこのセリフだ。

日本語的に言えば、「ありったけの銃をくれ!」という感じだろうか。
マトリックスのネオの名台詞の復活に、観ているコチラも思わず高まってしまう。

STI Combat Master

主席連合が送り込む生え抜きの使節を丁重にもてなすにあたってジョン・ウィックが迷わずに選択したのは、Glock 34 (TTI Combat Master Package)だ。

情報源: File:Glock 34 TTI Combat Master.jpg – Internet Movie Firearms Database – Guns in Movies, TV and Video Games

前作チャプター2でコンチネンタル・ローマのソムリエが勧めてくれたオーストリア産のそいつを彼も気に入ったようだ。

だが、優秀なソムリエでもあるコンシェルジュのシャロンが、この状況で勧めたのは、別の銃、STI Combat Masterだ。

STI Combat Master Details,

-5.4 Inch Match Grade Bull Barrel
-FDE/Bronze BLC coated Barrel
-Combat Master Slide Cuts
-Extreme Engineering Fire Control Group
-Fiber optic front sight and adjustable rear sight
-New Extended Slide Release-New extended Mag release
-1.75-2.5 LBS trigger pull-Stainless Steel Guide Rod
-Grip job-Tactical STI magazine
-Includes four 22 round magazines.

情報源: 「ジョン・ウィック:チャプター3」使用される銃とParabellumの意味 | ALOG

彼曰く、「ウィック様、防弾装備が進歩しております」
そう、彼は強力な防弾装備の使節に対して「9mm メジャー弾」を使用するのが最適と判断した。
その弾薬を効果的に使用するためのフレームとしてのSTI Combat Masterという選択なのだ。

https://johnswick.tumblr.com/post/188287339738/let-us-begin-john-wick-chapter-3-parabellum

9mm メジャー弾

情弱な僕にとっては初耳の、この弾丸。
シャロン曰く、強力な弾薬ということらしい。
どれほど強力であるかを、実銃で監督のチャド・スタエルスキが見せてくれたのがコチラ。
1発目が通常の9mm弾、そして2発目がメジャーだ。

ポリタンクの受けるダメージがまるで違う。
次のより詳細な動画を見ると、弾丸自体のサイズも長くなっているのがわかる。

同じ9mmながら、マンストッピングパワーが大幅に向上し、いつもは引き換えに失われる装弾数の減少もクリアできる。
だから、STI Combat Masterは、この強力な「9mm メジャー弾」をマガジンに22発も抱え込むことができる。
そのリッチなマガジンを、これでもかと身につけるジョン・ウィックは準備万端だ。

https://jardanijovonovich.tumblr.com/post/187494323752

進まないキルカウント

今回もジョン・ウィックのキルカウントは目覚ましい。
しかし、使っている弾数を考えると、生産性が著しく低い。
彼がフルオートのように「9mm メジャー弾」を吐き散らしても、強力な防弾装備を誇る主席連合の使節には足止め程度にしかならない。
動きが止まった相手の襟首を掴んで、唯一防弾装備がされていないそこを撃つことでしかカウントは進まないからだ。

Benelliとスラッグ弾

困り果てて銃火器庫に舞い戻ったジョン・ウィックにシャロンが勧めるのは、Beneli。
そして、散弾ではなくスラッグ弾の使用だ。

情報源: File:JW3 TTI Benelli M2.jpg – Internet Movie Firearms Database – Guns in Movies, TV and Video Games

12ゲージという、ほぼ一円玉と同じサイズの大口径。
この大口径の一粒弾を近接戦闘で振る舞われては、さしもの主席連合の使節たちも沈黙するしかなかった。

いいとこ8発の装弾数の少なさでも、ジョン・ウィックの流れるようなリロード・アクションを見れば不安を感じない。
4発のシェルをつかんでスムーズにリロードする様は、1発ずつしか装填できないシャロンに比べれば圧巻だ。

SIG-Sauer P365

情報源: File:GG P365.jpg – Internet Movie Firearms Database – Guns in Movies, TV and Video Games

恩人であるはずのジョン・ウィックを銃撃で迎えたソフィアが使っていたのがコレ。
サプレッサーも付けられる特殊仕様になっている。
1年365日身につけておけるコンパクトさからP365と名付けられたこいつは、それこそパラベラムを10発も抱え込むことができて、ファイヤパワーも悪くない。
今、自分が護身用に持ち歩くならコレだよねと妄想してみる。

我らがジェームズ・ボンドにも、あんな古臭いPPK/Sは投げ捨てて、こちらに乗り換えてほしいんだけれど…

しかし、娘を助けてくれたジョン・ウィックに、どうしてソフィアは憎悪を丸出しにするのだろう。
そのあたりのことは、噂されているTVシリーズのエピソードとして登場するのだろうか?

Bond Arms Texas Defender

情報源: File:Bond Arms Derringer JW3.jpg – Internet Movie Firearms Database – Guns in Movies, TV and Video Games

古くはリンカーン暗殺にも使われたというこのタイプが未だ生き残っていたのは驚きだった。
ドクがジョン・ウィックに自らを撃たせるために渡した銃だ。
このモデルは、パラベラムを使用できる。
だとすれば、ドクがこの銃を使わせたのも納得だ。
パラベラムは貫通力が高いと言われている。
であれば、近距離から正確に射撃してもらうことで弾丸は貫通し、ダメージを最低限に抑えることができるからだ。
クラシックな出で立ちで銃のチョイスもクラシックだが、ドクの知識に間違いはない。

Colt Model 1903 Pocket Hammerless

情報源: File:Colt Model 1903 Ni.jpg – Internet Movie Firearms Database – Guns in Movies, TV and Video Games

ニッケル仕上げとホワイトパールのグリップをあしらったこの美しい銃は、パラベラムを使わないのに、本作で最も大きな働きをした銃かもしれない。

首長にあらためて忠誠を誓い、赦すための条件として突きつけられたのが、コンチネンタル・ニューヨークの支配人ウィンストンの抹殺だった。
そんな状況を知りながらジョン・ウィックを迎え入れたウィンストンが差し出すのが、この銃だ。

「やらねばならないのなら、私の心臓を撃て」

だが、その銃でウィンストンが撃たれることはなかった。
撃たれたのはジョン・ウィックの方だった。
裁定人との協議の上、自らの権力を保全されたウィンストンは、躊躇なくジョン・ウィックを撃った。
この銃で。

役目を終えて邪魔になったジョン・ウィックを本当に葬りたかった可能性もある。
しかし、それならば、なぜこの銃を使うのか?

この銃は、32口径、7.65mm。
パラベラムの38口径、9mmに比べれば圧倒的に殺傷能力が落ちる。
弾薬的には2ランク程の格下だろう。
ウィンストン自ら撃たれる可能性もあったために、この銃を用意した。
炸薬も減らして、さらに弾丸の威力も弱めてあるのかもしれない。
ウィンストン自身の心臓まわりへの、何らかの防護も施されていたのかもしれない。
それなら尚のこと、コトの後、本当にジョン・ウィックを殺す必要があるのなら、もっとベターな選択肢があるはずだ。
それぞれの用途に応じた最新の銃火器を、そのホテル内に抱え込む支配人なのだ。
それこそ、スラッグ弾を使えばまず間違いなくやり遂げられる。

ジョン・ウィックが首長に与えられたスーツが、コンチネンタル・ローマ仕様の防弾繊維織り込み済のものかどうかはわからない。
しかし、弱められた弾丸に、彼ならばウィンストンの意図を感じられれるかもしれない。
メアリー・ワトソンが、シャーロック・ホームズを銃撃することで依頼の意図を伝えた例もある。

彼らの言葉なき会話がわかるまで、2年の待ち時間は長すぎる…

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