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孤狼の血

「孤狼の血」見た人のためのレビュー「孤狼のOJT」

「アウトレイジに対する東映の答えですね」と古舘伊知郎がキャッチコピーをつけたように、その暴力描写も含めて、はなはだストレートな映画だ。
そのストレートな映像は、感情の根っこの方、本能というやつに響いてくる。
何より驚いたのは、主人公が松坂桃李であったことだ。


日本人がコンプラインスという言葉の意味も、いや、その存在すら知らなかった昭和63年という時代が舞台だ。
懐かしくも緊迫感のあるテーマソングと二又一成の硬質で抑制の効いたナレーションが、よりいっそう臨場感を高め、キャラクターの生き様を映し出す下地をしっかりと作り上げている。

松坂桃李

松坂桃李が演じる日岡巡査は、広島大学出のエリート。
役所広司演じるガミさんからは、広大だの、学士様だのと呼び捨てにされている。
間違って狼とバディを組まされることになった毛並みのいい警察犬かと思いきや、この男もまた狼であった。
しかも、いざとなれば、ガミさんよりも手段を選ばない。
あんな非情な幕の下ろし方は、ガミさんでさえ思いつかなかっただろう。
いや、思いついたとしても、とてもじゃないが決断できなかったはずだ。
だから、これは日岡巡査が、自らの孤狼の血を覚醒させる物語なのだ。
そのための最高のメンターとバディを組むことになってしまったのは、県警幹部にとっては大きな誤算となったはずだ。
ガミさんは、同じ血を持つものと気づいていたかどうかわからないが、監察官から自分の内偵のために派遣された若者に孤狼のOJTをしっかりと遂行していたことになる。
受け継がれたのは、あのバッタもんのZippoだけではなかったはずだ。

熱いキャラクター達の中で、静かに冷徹に自らの暴力を解き放つ松坂桃李は、異彩を放っている。
以前は、若手イケメン俳優の一人に過ぎないと思っていたけれど、見るたびにすごくなってくなぁ…

【松坂桃李/モデルプレス=11月17日】17日、東京・多摩市で開催された映画ファンの祭典「第28回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」にて、「第10回TAMA映画賞」授賞式が行われ、最優秀男優賞を受賞した松坂桃李が登壇した。

情報源: 松坂桃李「メンタルはボロ雑巾に」マネージャーの叱咤激励に感謝 10年分の恩返し誓う<第10回TAMA映画賞> – モデルプレス

阿部純子

暴力と欲がストレートにぶつかりあうセカイで、オアシスのような存在だったのが阿部純子演じる薬剤師。
失礼ながら、僕は彼女のことをよく知らなかったのだけれど、なんつーか、とてもimpressiveだった。
最近、あちこちで出演しているのを見かけるようになったけれど、それも当然のことなんだろうなぁ…

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