彼女は2つ嘘をつく。
そのひとつには、ルパン三世も敵もすっかり騙され、鮮やかに裏をかかれる。
しかし、2つめの嘘は、ルパンにはすっかりお見通しのものだった。
情報源: 『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』公式サイト
峰不二子の呪い
小池ルパンのシリーズでは、僕らの知っているルパン達の見たことのない姿が描かれる。
早撃ちで勝てない次元大介であったり、返り血を浴びながら人を斬りまくる石川五ェ門の姿のように。
今回、目にするのは、ガチでタイマンにのぞむ峰不二子の姿だ。
「出来もしない嘘をつきたくない」
と言い放ち、決闘にのぞむ彼女は、かなりのオトコマエだ。
そこらの男なら、ちょいと胸でも寄せてみりゃ、いくらでも操れるHackを彼女は身につけている。
ところが、今回、彼女が相対するのは、いまだ煩悩が芽生えていない少年ジーンや、愛なんて、その存在すら知らない純粋殺人マシーンのビンカム。
いくらLOVEハッカーの彼女といえど、そうやすやすとは操れない。
だから、彼女は、彼女の「オンナ」の全てを総動員し、呪いをかける。
呪術を操るビンカムに勝てる唯一の望みはそれでしかなかった。
図らずも少年ジーンも、彼女に呪いをかけてしまった。
自分を頼るしかない小さな生命を前にして湧き上がるナニカに、自分でも未知であった「オンナ」の別の部分が引き出されたはずだ。
それが一体なんなのかは、彼女は自覚できていないはずだ。
いや、自覚できたからこそ、自らにかけられた「オンナ」の呪いの正体に気づいたからこそ、彼女は不快にならざるを得なかったのだろう。
彼女は2つ嘘をついた。
そのひとつには、ルパン三世も敵もすっかり騙され、鮮やかに裏をかかれる。
しかし、2つめの嘘は、ルパンにはすっかりお見通しのものだった。
二人によるラストは、ルパン三世史上 one of the bestの名シーンだ。
彼女が眠りにつくワケが、自分の真実(ほんとう)に蓋をするためなのか、それを見抜いたものがあらわれたことへの安堵感なのかは見分けることなんてできやしない。
つながっていく
小池ルパンでは、モードな次元大介は、ジャケットにTシャツで登場。
今回の報酬に関して言い訳をするルパンに、いまだビジネスパートナーとしての関係性が強いことがうかがえる。
しかし、赤LARK一本でよしとするあたりに、結びつきが深くなっているのが感じられる。
そして今回、小池ルパンのシリーズで敵対した殺し屋たちが、全て一本の線でつながった。
そうしたラスボスが存在することを、ルパンたちもしっかりと認識することとなった。
かのハワード・ロックウッドと対峙するというのならば、ルパン三世自身の物語として語られるのだろうか。
もしそうであるならば、僕らが見たことのないルパン三世の姿とは、どのようなものになるのだろうか…