NFL 2023シーズンの正真正銘の口開けのオープナーは、アップセットで始まった。
またまたアップセットという勿れ。
敗れたのは、一番新しいリングを手に入れたばかりのカンザスシティ・チーフス。
見事勝利を飾ったのは、なんと、あのデトロイト・ライオンズ。
しかもそれは、ミズーリ州の王国の領地で成し遂げられたのだ。
自陣17ヤードの4th & 2
いくら挑戦者だからって、いくらダン・キャンベルがNFLのギャンブル記録を持っているからって、この選択は正気の沙汰とは思えない。
まだ1Qの、しかも自陣17ヤードで、ギャンブルしようというのだ。
しかし、OLが力づくでファーストダウンをもぎ取ると、ここから10プレイを重ねて、前年のチャンピオンより先にNFL 2023シーズンの初TDを記録した。
あまり表情を変えることのないアンディ・リードが狼狽しているように見える。
ダン・キャンベルは、昨年、ギャンブルすべきところでしなかったおかげで連勝を途絶えさせてしまった後悔を、肝に銘じているのかもしれない。
The O-line
そう、この日、ライオンズのOLは素晴らしかった。
見え見えのショートヤードを力づくでもぎ取ると、逆転のTDでは、設計図通り寸分違わぬランニングレーンをRBにプレゼントした。
QBサックが皆無ではなかったとはいえ、それに要した時間は4.2秒。
それは、プロテクションのせいではないだろう。
快適なポケットを提供してもらったジャレッド・ゴフは、この日も安定した高パフォーマンスを見せた。
359回のパスを投げて0 INTのNFLで3番目に長い記録を更新中。
そして、ルートによっては、passing scoreほぼ満点の99を記録している。
Dと若い力
しかし、オフェンスは昨シーズンも好調だった。
トリックプレイ頼みだった、その前のシーズンから脱却すると、開幕から11Q連続TDの堂々たるNFL新記録を樹立していた。
だから、今回、そこにディフェンスの力が加わったことが大きい。
ブライアン・ブランチは、ライオンズのルーキーとして56年ぶりにデビュー戦でピック6を記録した。
しかも、その1プレイは、ライオンズの勝率を22.9%も引き上げるものだった。
パスを投じたのは、あのパトリック・マホームズとなれば、ルーキーにとって、忘れることのできないデビュー戦となったことだろう。
この日、存在感を発揮していたルーキーは、彼だけではなかった。
TEのT.J. ホッケンソンや、RB ディアンドレ・スイフトがいなくなってしまうことが不安だったけれど、球団フロントとコーチ陣は、見事なドラフト戦略を発揮したと見える。
さらに、昨年のドラ1、エイダン・ハッチンソンも順調に成長している。
ライオンズのDLは、勝負のショートヤードをことごとく封じ込め、逃げ足のあるパトリック・マホームズのサックこそ叶わなかったものの、パスを通すことを許さなかった。
トラビス・ケルシー不在という不運があるとはいえ、手元を狂わせ、キャッチしきれないボールをギッて仕留める。
そうした勝ち方ができるようになったのだ。
SOLD OUTの90周年
AFLなんて新興リーグと合併する遥か前、この獅子は、文字通りリーグの王であった。
惜しくもスリーピートを逃すほどの…
1953 DETROIT LIONS “That was one of the most talented teams in the history of football.” – Kevin Clark
情報源: NFL 100 | NFL.com
1年目に3勝しかあげられなかったダン・キャンベルは、2年目に9勝を上げ、プレイオフに手が届くところまでやってきた。
3年目の今シーズン、その勝ち星は、幾つにまで伸びるのだろう。
そして、チーム創立90周年にあたる、今年の終着駅はどこまで伸びるだろうか?
それは、昔、馴染みのあった王座になるのだろうか?
鼻のきく地元のファンが、シーズンチケットをSOLD OUTにしているのは、一体何の兆候なのだろうか…