10月5日は、奇しくもふたつのアイコンのメモリアルデー。
ひとりはスティーブ・ジョブズであり、もうひとりはジェームズ・ボンドだ。
かたや命日、かたや誕生の日という違いはあるが、偉大なるアイコンのメモリアルデーであることに違いはない。
その二つのアイコンの共通点をあげるならば、多くの失敗を含んでいるということだ。
スティーブ・ジョブズ
Appleは、公式サイトで1日こっきりだった動画をYouTubeに公開してくれた。
「今日は、3つの新製品を発表する。
それは全部、ひとつのガジェットにおさめられている。」
というiPhoneの発表や、封筒からMacBook Airが取り出されるという伝説のシーンも盛り込まれている。
Think different
情弱な僕は、いつ倒産してもおかしくないApple Computer Companyに創業者が戻ってくることの意味をわかっていなかった。
しかし、Think differentのキャンペーンにすっかり撃ち抜かれてしまった。
情報源: Apple logo Think Different vectorized – Think different – Wikipedia
クレージーな人たちがいる
はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人達
場に馴染めない人達
物事をまるで違う目で見る人達
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心を打たれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰にも出来ない
何故なら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが
本当に世界を変えているのだから
情報源: Think different – Wikipedia
人生観を変えたなんていうと大袈裟すぎるから、そのような表現は使いたくない。
しかし、未知の価値観、ディファレントな感覚を感じたことを覚えている。
使う人を探すことが難しかったMacintoshの時代から、使ってない人を探すことが難しくなったiPhoneの時代まで、本当に様変わりしたものだと思う。
ジェームズ・ボンド
It’s James Bond Day – held on October 5th – the date of the World Premiere of the first James Bond film Dr. No in 1962. … Read more »
情報源: October 5 Is James Bond Day | James Bond 007
1962年10月5日、第1作「ドクター・ノオ」が公開された。
というわけでこの日は#JamesBondDayということになっている。
ディファレントな価値観と真逆に、この映画の成功はクラシックな男とそのライフスタイルの魅力にある。
もし、サー・ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じていなかったら、その成功はなかっただろう。
そして、シリーズはもっと短命だったはずだ。
彼自身の男としての魅力で成功した映画なのだから。
2つのアイコンの共通点
この2つのアイコンの共通点を挙げるならば、多くの失敗を含んでいるということだ。
スティーブ・ジョブズは、自らが創業した会社を追い出された。
世界を変えることができずに消えていったプロダクトも、すぐに思い浮かぶだろう。
007シリーズも、常に成功していたとは言い難い。
「消されたライセンス」から「ゴールデンアイ」まで、実に6年間の空白がある。
はっきり言うと、飽きられていたのだ。
お決まりのフォーマットに、話題になるのは、ボンドカーとガジェット、そして新しいボンドガールだけ。
ストーリーはあったが、物語が存在しなかった映画は、ただの焼き直し作業を繰り返しているだけだった。
しかし、今だ。
iPhoneは、言葉尻だけではなく、本当に世界を変えた。
世の中の仕組みを変えてしまった。
007シリーズには6代目 ダニエル・クレイグが登場することになった。
そうして、はじめて007シリーズに物語という存在が生まれることになった。
あの有名なスリードッツのスピーチを引用するわけではないけれど、それらはやはり過去のドットが結びついて生まれたのだろう。
AirMackのおかげで、一般家庭にルーターなんて聞き覚えのない装置が導入されるようになり、イアン・フレミングの本当の第1作「カジノ・ロワイヤル」に手がつけられた。
そうして2021年、COVID-19の存在以外は、楽しみの多い生活を僕らは送ることができている。
「死は、生命の最高の発明」という有名なスティーブ・ジョブズも、最近よく沁みることがある。
昔ピカピカのアイコンだと思った存在が、歳を重ね、醜くなっていく。
姿カタチの問題ではなく、生き方が醜くなっていくのを目にするのがつらくなる。
もともとの醜い生き方が、若さという強烈なフラッシュライトの影に隠れていただけかもしれないが…
そのアイコンの作品にモノゴコロを形成された男としては、複雑な心持ちになる。
だから本当のアイコン足りうる存在は、ベストのタイミングで終末を迎えるのかもしれないね。