2026 第60回スーパーボウル:再生のリボルバー

11年前と同じマッチアップに、そのイメージを持って臨んだ観戦だった。
だが、実際の内容は、さらにその1年前、12年前にシアトル・シーホークスが初めて#VLTを手に入れたスーパーボウルを彷彿とさせるものだった。
そうして、10年前のあのQBの姿が、僕の脳裏に浮かんでくる…

2014 リーグ1位の#D #O 対決

SUPER BOWL 2014 インフォグラフィックプレビュー 「最強ディフェンスSEAHAWKS vs 最強オフェンスBRONCOS」 – ALOG

Legion of Boom全盛期のシアトル・シーホークスの守備は、この年、リーグNo. 1だった。
対するデンバー・ブロンコスは、新天地に赴任してきた保安官 ペイトン・マニングに率いられた攻撃が、これまたリーグNo. 1。

リーグ1位同士のディフェンスとオフェンスの対決!
高まる前評判を打ち破るように、その試合結果は一方的なものになってしまった。

シーホークスの守備という強力な盾は、ブロンコスの矛を通さないどころか、それを粉砕した。
4人しかいないパスラッシャーは、保安官ご自慢のライフルによるロングレンジ射撃の時間を与えることがなかった。

Welcome to the Dark Side

そして、今年、ニックネームは、Dark Sideと変わったが、シーホークス守備陣は、あの時と同じようにフィールドを蹂躙した。
リーグ2年目のQBは、NFLのDark Sideに引き摺り込まれることになる。

Dark Sideは、若いQBを引きずり倒すだけではなく、容赦無く攻撃の権利も奪っていった。

そして生み出されたターンオーバーが、結果的に勝敗を分けたと言えるだろう。

Next Gen Stats 2025 All-Pro QB

ペイトリオッツのドレイク・メイのミスと片付けるのは単純すぎる。
彼は、Next Gen Stats 2025 All-Pro QBに選出されている。

Next Gen Stats始まって以来の、+9.1%のCPOEを記録した男は、2018年のパトリック・マホームズ以来の「+200」を超えるEPAも叩き出した。
何より彼は、アンダープレッシャーでのパス成功率が、リーグ1位のQBなのだ。

このゲームでも、1本しかTDを産むことのできなかったシーホークスの攻撃に対して、彼は2本のTDをあげている。
アップテンポし始めたドライブに、カムバックの匂いが立ち始めたのだが…

デボン・ウィザースプーンのエクストラBLITZ

プレッシャーのグレードが上がった要因のひとつは、デボン・ウィザースプーンのブリッツだろう。
ただでさえ、強力なシーホークスのフロントに彼を加えたブリッツパッケージ。
しかも、彼は、プレイオフで一度もブリッツを見せていない。

このところ、大事な場面でのCBのブリッツが勝敗を分けることが多い。
俊足のCBをフリーでQBに向かわせるようにデザインされたパッケージに対して、リーグのOCたちは、未だ有効な解決策を見出せていないように思える。

クイックデリバリーを思いとどまらせるカバーがひかれ、ドレイク・メイが判断を保留した瞬間に、誰かが襲いかかる。
だから、Pick6に繋がったINTも、彼の投げミスではなく、文字通りギラれたものだ。

スーパーボウル史上最高のBLITZレート

スコアが12年前の再来とならなかったのは、ペイトリオッツ守備陣のレッドゾーンでの脅威的な粘りのおかげだ。
彼らは、Next Gen Stats始まって以来のBLITZレートで、サム・ダーノルドを迎え撃った。

第3QまでTDゼロ

こうした両チーム守備陣のハイクオリティさが、第3QまでTDゼロという状況を生み出していた。
もしかしたら、TDが生まれない史上初めてのスーパーボウルになるのでないか。
そんな匂いが十分に立ち込めていたのだ。

第4Qを迎えるまで、得点を挙げていた唯一の選手はシーホークスのキッカー、ジェイソン・マイヤーズ。

NFL史上初めて、キックだけで、200ポイントに到達した選手だ。
シーホークスが他のどのチームよりもスペシャルチームにサラリーを割いているのが、ここで実ったのだ。

こうしてみると、シーホークスの戦い方がよく見える。
それは、ここ数年主流だった、ラストセカンドまで派手な火力で撃ち合うというスタイルより、ひとつ前のもの。
堅実な守備と優れたパンターでフールドポジションを支配し、確実にポイントを重ねていくという、ひと頃の王道スタイルだ。

ケネス・ウォーカー3世

手に入れた攻撃権を、FGポジションまで確実に進めることができるRBの存在が不可欠だが、シーホークスには、ケネス・ウォーカー3世がいる。
見事MVPとなった彼は、9回もタックルミスを誘発し、79ヤードも上乗せした。
ペイトリオッツは、他のチームとの対戦では、その半分のヤードで済んでいたのだが…

OLのホールディングの反則が見つからなければ、スーパーボウルでのTDと200ヤードという記録も手に入っていたかもしれない…

シーホークスのRBは、プレイオフに入って一度もボールへのセキュリティをかけ忘れることなく、ただただ前へとデリバーし続けた。

史上初のサム・ダーノルド

こうして、サム・ダーノルドは史上初のQBとなった。
そう、彼は、5チームも渡り歩いたQBで史上初めて、スーパーボウルでの勝利を手に入れたのだ。

鳴物入りで入ったものの、それはまたもジェッツのハズレくじだったねと烙印を押された男は、その後、学び続けてここにいる。
時には、目下のMr. Irrelevantにも教えを受けながら…

長い時間をかけて自らのデバッグを果たした男は、ペイトリオッツの激しいBLITZレートに直面しても、安定性を失わなかった。
リスクを冒さずボールをすすめ、ここぞというときにしっかり決める。

その姿に、10年前のあのQBが重なって見えた。
12年前にシーホークスに蹂躙されたペイトン・マニングは、その2年後カムバックを果たし、そのラストドライブを締め括った。
もう、ロングレンジのライフルを失っていたラストイヤーの名保安官は、シングルアクションのリボルバーだけで、「フィールドポジションとボールを失わないこと」を目標にドライブを積み重ねた。

檜舞台での大敗。
そうして全盛期の力が残されていない自分のパフォーマンス。
そうしたものを乗り越えて、チームをドライブさせていた。

サム・ダーノルドは、檜舞台どころか、スターターにすらなれずに、新しい契約書を結ぶことだけで時を重ねてきた。
彼は、どうやって自分への信頼の揺らぎを乗り越えてきたのだろう…

自分さえ信じることの出来ない自分を、まだ信じてくれる人たちがいる。
その存在が繋げてくれなければ、彼は、本当に自分を見切っていたかもしれない。

だが、ようやく自分を迎えに行くことができた…

だから、このストーリーはドレイク・メイにもつながっていく。
そう、リボルバーは回り続ける…

これまで、初出場のスーパーボウルで敗戦を喫した後、勝利を手にすることができたのは、ジョン・エルウェイただひとりだ。
でも、気にすることはない。
毎年のように、スーパーボウル史上初ってナニカが起きるんだ。
敗戦の翌年、#VLTを手にした初めてのQBになるかもしれないじゃないか。

痛みを伴う敗戦の後、しっかりと選手ひとりひとりを労うコーチがいる。

そうして、自分以上に自分を信じていてくれる誰かさんもいる。
本当にシーズンが終わってしまうのは、まだずっと遠い先のことだよね、きっと…

Buy Me a Coffee

コメントを残す