独白

Siriオトコ

検索エンジンの進化と、iPhoneだのスマホだのを常に身につけておく習慣のおかげで、ちょっとしたことを調べることが苦にならなくなった。

自らググる習慣のある人達は2つの点で喜んだ。
一つ目は、検索したいものを、パソコンを立ちあげなくても、いつでもスパッと見つけることが出来る。
知的好奇心的もどかしさを、瞬時に解消することが出来る。
二つ目は、検索奴隷からの解放。
「あれ調べてよ。ちょっとそーゆーの苦手だからさ。悪いね。」という人達の依頼に消費されることから抜け出すことが出来る。

はずだったんだけど、コチラの状況は予想に反して悪化の一途をたどっている。

簡単になった検索ゴトは、今までググる習慣のなかった人達にもその習慣を植え付けるはずだという予想は見事に外れ、依頼は逆に増加中。
「あれ調べてよ。検索すんの簡単になったんでしょ?」と。
おかげで、頼まれる検索ゴトはより詳細になり
「行き方は?」
「何両目?」
「どっち口?」
「そーいえば、明日雨降るの?」
と矢継ぎ早に質問される。

「悪いね。」という罪の意識は、見事にきれいさっぱり蒸発してしまったようだ。
コチラは、気恥ずかしさからなかなかSiriに話しかけることすら出来ないのに、彼らはその羞恥心を微塵も感じることなく矢継ぎ早に問いかけてくる。
これじゃあ、まるで自分がSiriオトコになってしまったようだ。
くだらない質問を次々にさばいていくSiriにも、ちょっとした同情を感じてしまう。
将来、より高機能化し、感情を持つようになったSiriならキレる日が来るのかもしれない。 「ソレクライ ジブン デ シラベテクダサイヨ!」と。

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