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「minimalism ~30歳からはじめるミニマル・ライフ」レビュー「Less is Moreの人生を!」

ブログテーマを選ぶときには、やれミニマルだシンプルだと騒いでいるくせに、生き方自体はまったく整理できていない。
このままでは、Less is Moreな美しい人生どころか、我らが高倉健が呟いたSimple Lifeにも程遠い。
なんとかしなければ、いや、もうどうにもならないのか…
そんな焦りと諦めが混在する中で、本書と書店で目が合った。

著者のジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスの二人は、ザ・ミニマリスツを結成し「Theminimalists.com」でエッセイを書いている。
アメリカでは様々なメディアに取り上げられ、人気サイトであるらしい。
本書は、その中からピックアップされた29本の記事により構成されている。

「ミニマリズムとは、幸せと満足感と自由を見つけ出す目的で、人生において本当に大切な物だけにフォーカスするために、不必要な過剰物を取り除くためのツールである」

と彼らは定義している。
平たく言うと、より少ない所有物でもっと有意義な生活を送るということだ。
修行僧のように全てを削ぎ落としてサバイバルするということではなく、本当に大切なことだけにフォーカスするために不必要なモノや習慣を捨て去るということ。

そもそもはブログ用に書かれたエッセイであるから、文体はフラットで読みやすい。
読むこと自体には、引っ掛かりはなくスムーズに読めるだろう。
この本を読むこと自体には大きな意味は無いかもしれない。
しかし、この本を開いて自分の「大切なこと」にフォーカスする時間をとることはとても重要だ。
MacBook Airも閉じて、iPadも風呂蓋をのせたまま、iPhoneも目につかないところに押し込んで、読書という作業を始めることで、より内面に潜ることが出来る。
途中から、開いているのはページだが、見ているものは自分の中にあるソレだ。
その時間を、場面を、作って没入すること。
これこそが、本書を読む意味だといえる。

ノンストップで過ぎ去っていく日々に、抱え込んだままの物やモノ。
放置され蓄積していくソレは、僕らのセンサーも狂わせていく。
その挙句にむかえる麻痺は、大切なモノを手に入れたいという気持ちさえ殺してしまう。

本書は「何も欲しがるな!」と言っているわけではない。
「大切なこと」にフォーカスすることを説いているのだ。

ミニマルデザインが美しいのは、伝えたいことが過不足なく明確になっているからだ。
余分なひけらかしも、不足に味わう渇きも、それはどちらも必要ない。
自分の人生もそのようなものでありたいと率直に思う。

「じゃあ、それってなんなのさ?」

と自分に向き合うための時間を、本書は作ってくれるはずだ。

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