ノマドという言葉は案外古い。
「モバイル」がまだ「モバイル・コンピューティング」と呼ばれいていた頃、あるいはソレのもっと前、まだ「モービル・コンピューティング」というずいぶんクラシカルな概念しか存在しない頃から提唱されてたビジョン。
今のように、計算され尽くした無造作ヘアでとりあえずMacBook Airを抱えてお洒落カフェに陣取り続けるという狭い意味になったのは最近のこと。
あなたがもし誰にも邪魔されず作業に打ち込みたいなら何処に向かうだろう?
集中力が必要とされる作業を行うのに最早オフィスが向かないことは周知の事実。
自宅にブリリアントな書斎でもあれば話は別。
しかし21世紀の東京で、なおかつ1%クラブに入会しているわけではない一般的な社会人にはパーティション を並べるのが精一杯。
となれば今ではいわゆる「ノマド」に適したお洒落なカフェに向かうのだろう。
いわゆる喫茶店に堂々と粘れるようになったのは、紛れもなく「ノマド」という実態の見えない概念のおかげ。 ありがとう。
ただしかしお気に入りのカフェは、なかなか見つけることが出来ない。
「ノマド」で作業することに酔っている例の無造作ヘアグループがアレやコレやと騒いでる。 五月蝿さではオフィスと変わらない。
違うのは、それがSEOの話なのかゴルフのスコアなのかという話題だけだ。
もし幸運なことに、そーゆー輩があらわれずなおかつ気持ちのよい接客の出来る店員ばかりのカフェを見つけたとしても 、ひとつだけ問題は消えない。
居心地のよいソコは、やはりなかなか空席が出来ない。
運良く空席ゲット出来たとしても、ひっきりなしにやって来ては空席がないかと確認していく人々との視線のやり取りに疲れ果て、これまた腰を据えて作業に打ち込むことは出来なくなる。
だから、ネストが欲しい!
自分一人しかその存在を知らず、誰も認知していない自分だけの巣が欲しい。
そこには、場所ごとのパフォーマンスを考慮したWi-Fi の選択などいらない安定した自分用のネットワークがある。
ストレートネック を防ぐための、MacBook Airを接続できる大型ディスプレイがある。
フォームミルクがまだフワフワで熱々のラテを持って帰れるほどの 近さにスターバックスもある。
ブルース・ウェインのザ・ケーブとは言わない。
トニー・スタークの数々のマークモデルを開発するラボとは言わない。
世界を破滅に追いやるような巨悪と戦うための武器をくれと言っている訳ではない。
ただちょっとだけ、世間の厳しい風雨を避ける柔らかい巣が欲しいんだよなあ。。。