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機動戦士ガンダムUC 見た人のためのレビュー(4)「我が唯一つの望み」

作品中に象徴的に登場する「我が唯一つの望み」は、6面の連作タペストリーのひとつである。
作品は「貴婦人と一角獣」と呼ばれている。
フランス国立クリュニー中世美術館の至宝とされるこの作品は、滅多に国外に貸し出されることはない。
1974年のアメリカのメトロポリタン美術館と、2013年の東京の国立新美術館。
わずかにこの2回だけである。

作らせた人物はジャン・ル・ヴィストと言われており、ガンダム世界的に言えば、ヴィスト財団というもともとの持ち主に帰ってきたことになる。
ラプラスプログラムを支えるユニコーンとバンシィの両ガンダムは、描かれた一角獣と獅子にならい、設計されたということなのだろうか。

タペストリーの中に描かれた旗や、ユニコーンや獅子が身に着けている盾には、フランス王シャルル7世の宮廷の有力者だったジャン・ル・ヴィスト(Jean Le Viste)の紋章(三つの三日月)があり、彼がこのタペストリーを作らせた人物ではないかと見られている。ジャン・ル・ヴィストがリヨン出身であり、獅子の「lion」はリヨン「Lyon」から、一角獣は、足が速いためフランス語で「viste」(すばやい)とル・ヴィスト(Le Viste)の一致によるものと言われている。

引用元: 貴婦人と一角獣 – Wikipedia.

5枚のタペストリーは、人間の五感を表していると言われている。
しかし、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」に続く6枚目のタペストリーが何を意味しているかは、いまだに謎に包まれている。

この一枚のタペストリーはさまざまな解釈を引き出してきた。解釈の一つは、若い貴婦人がネックレスを小箱にしまっているのは、他の五感によって起こされた情熱を、自由意志によって放棄・断念することを示しているとする。別の解釈では、この場面は五感の後に来る「理解すること」という六番目の感覚を指しているという。

引用元: 貴婦人と一角獣 – Wikipedia.

あの100年以上も生きている老人が言ったように、「わたしのたった一つの望み」は人それぞれ違う。
しかし、彼がこのタペストリーに感じ、望んだものは、まさしくこの「理解すること」だったのではないだろうか。
西暦から宇宙世紀の100年近くまで及んだ人間の争いと、それによって生まれた負の感情。
そうしたものに蓋をして、理解し合える世界。
そんな世界を築くことの可能性に賭けてみたくなったのではないだろうか。
アムロ・レイが見せた、あのあたたかな虹色の人の心の光が背中を押したのかはわからない。
しかし、フル・サイコフレームでガンダムをつくり上げるというコンセプトに、あの光の影響がないわけはない。
死期を迎えた老人が自らの贖罪を求めるために起こした行動であったのかもしれない。
しかし、その意志は、一角獣の姓を受け継ぐ若者によって正しく遂行された。
毒に汚された水を中和する力を持つと言われるユニコーンの角。
その角の持ち主であるヴィストの姓を持つものであるならば、世界を中和させる役割は必然と呼べるのかもしれない。
開かれた角から放たれた虹色の光は、宇宙にまで広がった人類の憎悪という毒を消し去ることが出来たのだろうか…

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