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2021 NFL Playoff ベンガルズとタイタンズの動かないシーソーゲーム

ハイライトなんかじゃ、とてもじゃないがもったいない。
ライブ中継で余すことなく観戦できて幸福だったと感じられるゲーム。
そんなゲームが、一体どれほどあるだろう。
シンシナティ・ベンガルズとテネシー・タイタンズのDivisional Roundの対戦は、忘れることのできない激闘となった。
それを裏付けるようにNext Gen Statsの勝率予測は50-50%を指し続けていた。

最終16分間は50%

今年目にしたグラフの中でも特異なカタチ。
これほど動きの少ないグラフも珍しい。
そうして試合終了まで残り16分間の間に、50-50%を表示したのは、実に8回に及んだ。

記憶に残る激闘をお膳立てしたのは、両チームのディフェンスのスーパーな仕事ぶりだ。
ベンガルズのジョー・バロウのフェイスマスクには、幾度となく芝生がめり込んだ。
タイタンズのライアン・タネヒルがトドメを刺そうとしたパスは、ここぞとばかりに奪われた。
そして、デリック・ヘンリーは、王様の帰還を知らしめることができなかった。

ほぼ4人ラッシュで9サック

いかにジョー・バロウがPassing Scoreで2位につけるとはいえ、投げられなければどうすることもできない。
そうしてタイタンズは、9回もサックをお見舞いした。

ほとんどブリッツが入らないタイタンズのディフェンスは、ほぼ4人でこれをやってのけた。
もっともブリッツが入ったといっても、せいぜいひとり増えるだけ。
上限5人で満点のパスラッシュを見せた。
さらに、ジョー・バロウ自身のNFLキャリアで最短の2.6秒でサックを浴びるという悪夢のおまけまでつけて。

後ろを薄くしないことで、あの危険なジャマール・チェイスにボールが渡る回数は限りなく制限されることになった。
ランアフターキャッチの怪物に一度ブチ抜かれたが、伸縮性抜群のラバーバンドは決して千切れず、そのドライブを3点に抑え込んだ。

スロットCB マイク・ヒルトンのブリッツ

マイク・ヒルトンは、第13週のNFL WAY TO PLAYでも表彰されている。
スロットCBのスペシャリスト マイク・ヒルトンのスーパーなインターセプトは、なんと自身のブリッツからだった。
さらに得意のブリッツで、ライアン・タネヒルのサックにつながるプレイも見せている。
スロットCBの位置からのブリッツが最多を誇る彼は、今年ベンガルズにやって来たばかり。
昨シーズンまでスロットCBのブリッツを有効活用できていなかったベンガルズにとっては、間違いないのない補強。
しかも、こんな大一番で、タイタンズがドンタ・フォアマンのロングゲインでモメンタムを掴みかけたところを一発で鎮火するビッグプレイ以上の働きを見せた。
単なる補強以上の、ベンガルズが勝ち上がっていくためのラストピースを手に入れることができたのかもしれない。

アマニ・フッカーのスーパーコンセントレーションキャッチ

スーパーなインターセプトでは、タイタンズも負けていない。
アマニ・フッカーの見せたスーパーコンセントレーションなスーパーキャッチは圧巻だった。
アイオワ大では、S、LB、CBを兼用していたという万能性を誇る彼のスーパーなプレイは、タイタンズが同点に追いつく引き金となった。

成功率20.8%のTDパス

ターンオーバーの後は一発で決めるのが理想。
そうは言ってもライアン・タネヒルが投じたパスは鮮やかだった。
にじり寄るSとCBには、どうしても届かないピンポイントに正確なデリバリー。
そのパスが成功する確率は、20.8%しかなかった。
パサーレイティングに代わる新しい指標 Passing Scoreで4位に選出されたのは伊達じゃない!

キャッチしたA・J・ブラウンも見事だった。
CBに絡まれながら、ピンポイント中のピンポイントに投じられたパスを見事ワンハンドでキャッチ。
2019年にドラフトで加入して以来、ライアン・タネヒルのあり得ないパスを何度もキャッチしてきた彼の真骨頂なのだろう。

動かないシーソーゲーム

双方が持ち味を発揮して、双方の持ち味を消し合うゲームは、膠着状態なんかとは全く別の拮抗した緊張感あふれるものだった。
ギッコンバッタン激しくシーソーが動く撃ち合うゲームと違って、このゲームではシーソーが大きく動くことは、ついになかった。
最後の最後、ようやくシーソーが傾いたに過ぎない。
なにしろ、Next Gen Statsの勝率予測は、残り16分間、50-50%を指し続けていたのだから。

今年のDivisional Roundの対戦は、どれもが歴史に残るすごいゲームだった。
そうして、このゲームは強く僕の心に残るものとなった。
ジョー・バーロウとライアン・タネヒルの表情が、とてもインプレッシブだった。

封印を解いたベンガルズ

ベンガルズは、31年間に及んだ封印をついに解いた。
しかも、1991年の1月にその封印をした張本人レイダースを喰い破って。
その鬱憤を晴らすように、アウェイでのプレイオフ初勝利を手に入れ、気づけばスーパーボウルに出場した以来のAFC Championshipにまで辿り着いた。
しかも、伝説になってしまったあの時のスーパーボウルと違って、ジョーというQBは味方なのだ。

年が明けて2022年は、寅年だ。
シンシナティの人たちは、それを知っているだろうか…

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