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2022 第56回スーパーボウル「新しいユニフォーム対決 Modern Throwbackなラムズ vs New Stripesなベンガルズ」

NFL史上稀に見るプレイオフの大激闘の後、スーパーボウルにたどり着いたシンシナティ・ベンガルズとロサンゼルス・ラムズ。
このマッチアップを事前に予想できたものがいただろうか。
そして、2022 第56回スーパーボウルは、両チーム共が今年度採用した新しいデザインのユニフォームを着用するというたいへん珍しいマッチアップとなった。
しかし、スローバックにすがろうとするもの、真新しい歴史を作り上げようとするものと、そのアプローチは全く別のものだ。

Modern Throwbackなラムズ

物理的には、間違いなく本拠地開催であるラムズだが、論理的には今年はAFCがホーム扱いとなる。
そのため、ユニフォームの選択権がなかった彼らは、ホワイトジャージを着用することになった。
しかし、結果的に彼らにとってはラッキーだったかもしれない。
彼らは、今年発表した新しいデザインのオルタネイトを着用することにした。

The Los Angeles Rams have a new look. See the story behind the team’s new colors and logo.

情報源: Los Angeles Rams New Look

Modern Throwbackという名前の通り、夢よ、もう一度と過去のレガシーにあやかろうというもの。
メインのユニフォームは昨シーズン、大幅にデザイン変更したが、劇的なユニフォーム効果は生まれなかった。
本拠地開催のスーパーボウルにかけていた彼らは、念には念を押して今シーズン、新たなユニフォームを、しかもスローバックテイストも盛り込んで投入したのかもしれない。
昨シーズン、スローバックなユニフォームが劇的な効果を生んで、初めて本拠地開催の呪いを解いたタンパベイ・バッカニアーズにあやかったのかもしれない。
であれば、ここまでは思惑通りだ。
しかし、バッカニアーズとラムズには決定的な歴史の違いがある。
それは、スーパーボウルで敗戦を喫したことがあるかどうかだ。
ラムズは、未だスーパーボウルで負けなしのバッカニアーズとは違うのだ。

New Stripesなベンガルズ

ホームチームとしてジャージの選択権があったベンガルズは、正々堂々のノーマルなホーム仕様。
このゲーム用の特別なものではない。
しかし、今シーズン、彼らはユニフォームデザイン自体をアップデートしている。

https://www.youtube.com/watch?v=fcUDLFnLJv0

斬新なデザインなのに、もう40年以上もの歴史を持つ独特のヘルメットデザイン。
他のチームと間違えようがなく、他のチームもおいそれと真似できないような強烈なオリジナリティーを持っている。
しかし、強烈な個性は、アクの強さも伴って、なかなか初心者には受け入れ難いデザインだった。
今回、New Stripesとしてシンプルにアップデートされたユニフォームは、とても洗練されたものになった。

NFL100年のもっとも偉大なゲームチェンジャー ポール・ブラウン

選手にプレイを覚えさせるのに、はじめて教室とノートを使用した。映像フィルムによる分析も彼が初めて行った。他にもフェイスガードを初めて発案したり、ヘルメットに受信機を仕込んだりとその功績は枚挙のいとまがない。

情報源: NFL 2021 創立75周年のCLE ブラウンズは本当の歴史を作れるのか | ALOG

そもそもベンガルズがオレンジのヘルメットを使用したのは、チームの創立者であり初代のヘッドコーチが、あのポール・ブラウンだからだ。
クリーブランド・ブラウンズという唯一、個人名由来のチーム名を生んだ、あのポール・ブラウンだ。

もちろん、オレンジのヘルメットを所有していたからといって、色なんて変えてしまうこともできたはずだ。
そうしなかったのは、ポール・ブラウンの意地なのだろう。
アート・モデルという後からやってきた新顔のオーナーが、初代HCであり長年チームを率いてクリーブランド・ブラウンズをNFLのエリートチームに育て上げた功労者ポール・ブラウンを叩き出した。
そうして、ポール・ブラウンは、おんなじオハイオ州にチームを創設した。
ある時期までは同じカンファレンスにオーナー同士の感情も混じり合ってドロドロのライバリーとなっていた。

しかし、アート・モデルもクリーブランド・ブラウンズというチームを取り上げられた。
しかも、クリーブランドの住人達からだ。
ボルチモアに移転を決めた際、チーム名とその歴史を剥奪された彼は、レイブンズという新しい名前で営業を再開せざるを得なくなった。
レイブンズがロゴにBのアルファベットを押し込んだのも、ポール・ブラウンがホワイトタイガースではなくBから始まるチーム名にしたのも、全てブラウンズというチームに対するこだわりからなのだろうか…

ウェストコーストオフェンスもゾーンブリッツもベンガルズで生まれた

スーパーボウルリングを手に入れたレイブンズと違い、ベンガルズは未だリングを手にすることができていない。
2回たどり着いたスーパーボウルでは、2回ともビル・ウォルシュ率いる49ersに敗れてしまった。
そもそも、ビル・ウォルシュはベンガルズで、ポール・ブラウンの下で7年間もコーチを務めていた。

多くのコーチにバトンを渡した彼だけど、彼自身もバトンを受け取っている。NFL100年の歴史の中で、もっとも偉大なゲームチェンジャーに選出されているポール・ブラウンのもとで7年もコーチを務めているのだ。

情報源: NFL百年の走馬燈(7)100年を4分間で一気に振り返る動画とビル・ウォルシュ | ALOG

そのとき、強肩ではないQBを起用せざるを得なくなったことが、ウェストコーストオフェンスの始まりと言われている。
そして、ウェストコーストオフェンスを止めるために進化したゾーンブリッツは、ブリッツバーグを作り上げたディック・ルボーがベンガルズのDC時代に育んだものだ。

The Bengals unveiled their New Stripes, debuting a fresh, clean and modern uniform design with elements that unite the team’s past and future.

情報源: Cincinnati Bengals unveil new uniforms featuring a fresh, clean, modern design.

ホームとアウェイ、そのどちらのジャージでもスーパーボウルに敗れたベンガルズに、あやかるべきスローバックするべきものは存在しない。
彼らは、31年間プレイオフで勝てないという呪いを、それをかけた相手であるレイダースを自ら倒してここまでやってきた。
若い才能のチームは、新しい歴史を作り上げることに忙しく、スローバックなんかしてる暇はないのだ。
あえて言うのならば、今回、ジョーという名前のQBは味方だ。
あちらのサイドラインにいて、さんざん煮湯を飲まされる状況とはまるで違う。
ジョーという名前のQBは、どんなピンチでも、その端正な顔立ちを崩すことなく、やるべきことをやってのけるはずだ。
これまでのように。
たとえ、1ゲームに9サックを浴びようとも…

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