アメリカ陸軍創設250周年の今年、126回目の対戦となるArmy–Navy Gameで陸軍士官学校が着用するスペシャルなユニフォームは、驚くほどシンプルなデザインになった。
しかし、デザインに盛り込まれたひとつひとつの要素は、そのどれもが重厚なものだった。
2025 Army-Navy Game Uniform: 250 YEARS OF SERVICE & SACRIFICE
1775


Army and Nike Team up for 2025 Army-Navy Game Uniform to Honor 250 Years of Service & Sacrifice
2025 Army-Navy Uniform: 250 Years of Service & Sacrifice
1775とは、文字通り、アメリカ陸軍、正確に表記すれば大陸軍が創設された年だ。
今では、プロフェッショナルな軍人の集まりだが、当時、アメリカには職業軍人などいなかった。
農民や労働者が志願して集まったのだ。
SERVICE & SACRIFICE すなわち奉仕と犠牲と謳われるのは、ここに根底がある。
自由と独立を守るために、日常生活を投げ打って志願した人々。
しかも対峙するのは、大英帝国の生粋の正規軍だ。

2025 Army-Navy Uniform: 250 Years of Service & Sacrifice
そんな民兵だけの集まりで、かの大英帝国を打ち払い、独立を勝ち取ったのだから、ジョージ・ワシントンとは、相当に優れた司令官だったのだろう。
合衆国の国王になって欲しいと推されるのも当然のことかもしれない。
しかし、彼は、その申し出を断り、軍隊も民政に従属させた。
こうして、アメリカにおける民主主義の根幹が形成されることになった。
アーリントン国立墓地の墓石
ユニフォームの印象をミニマルにしているのは、そのユニフォームのカラー。
このマーブルは、文字通り、大理石のカラーだ。
それは、アーリントン国立墓地の墓石の色なのだ。
UNIFORM COLOR (MARBLE PRINT)
The details of this uniform are etched into a marble backdrop to symbolize the enduring foundation of strength that the American people have provided for the Army. From the beaches of Normandy to the rolling hills of Arlington National Cemetery marble headstones represent the sacrifice of generations of Soldiers who have upheld the Army’s values and given their last full measure of devotion to their nation.
2025 Army-Navy Uniform: 250 Years of Service & Sacrifice
捧げられた深い犠牲を表現するのには、このマーブルカラー以外に選択肢はないのだろう…
ジャージのナンバーを縁取る紫色は、パープルハート章として復活した、ジョージ・ワシントンが制定した軍事的功労勲章に由来している。

さらに、ジャージのタイポグラフィーは、建国文書のスタイルが用いられている。
つまり、世界最古の成文憲法であるアメリカ合衆国憲法のものが…
アメリカ合衆国の国章
ジャージの右肩には、アメリカ合衆国の国章が配されている。
僕は、初めてその国章をまじまじと見ることになった。

ボールドイーグルは、片方の足に矢を、そしてもう片方には平和の象徴であるオリーブの枝を握りしめている。
平和への祈りであるのは間違いない。
しかし、オリーブの枝ばかり握りしめていても平和は保てない。
僕は、パラベラムという言葉を思い出した。
“If you want peace, prepare for war.”
だから、彼らは、この国章を身につけるのだろう。
戦時のみではなく、いや、平時においてこそ、彼らの果たすべき義務が重要であると理解しているからこそ…

