4年ぶりのMLB フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム開催に触発された僕は、映画の方のフィールド・オブ・ドリームスを久しぶりに視聴した。
アメリカにおいては、お伽話の舞台も野球場になる。
そうして、アノ声の持ち主が彼であるのも、アメリカならではなのかも知れないね…
The Voice
トウモロコシ農場を営むレイ・キンセラは、ある日、彼のトウモロコシ畑で、不思議な声を耳にする。
彼は、その声に従い、収穫前のトウモロコシを撤去して、そこに野球場を作り始める。
妻と子供とローンを抱えた36歳の男がだ…
とても正気の沙汰とは思えない行動に出たのは、彼の中に、強い恐れがあるからだ。
何も成し遂げることもなく、ただ年老いた老人になってしまうことに…
それは、彼の父親であるジョン・キンセラの姿が目に焼きついているせいだ。
彼にとって父親は、ただの老け込んでいく老人にしか見えなかった。
56歳にして、レイという初めての子供を授かり、生後3年で妻を失うと、ジョンは働きながら息子を育てた。
お伽話のかわりに、メジャーリーグの選手の物語を息子に語ってくれた。
その中には、あのシューレス・ジョーも含まれていた。
1958年にブルックリン・ドジャースが西海岸に移転して、家庭内SUBWAYシリーズはなくなったが、今度は野球以外のことが口論のタネになる。
良い父親だと思う。
懸命に働き、息子を育て、一緒に野球場にも足を運んでくれる。
だが、生活を回すことに疲れ果て、ただただ老け込んでいく様が、男の後輩である息子としては我慢ならないものだったのだろう…
The Catch
ゲームのあと、意味ありげに微笑むシューレス・ジョーが去った後に立っていたのは、ジョン・キンセラ。
だが、それは、レイの目に焼きついた老け込んだ父親の姿ではなかった。
ユニフォームに身を包み、キャッチャーマスクを外した彼は、その先を夢見てマイナーリーグでプレイしていた頃のジョンだったのだ。
第一次大戦に従軍した後、野球に取り憑かれた彼は、実際にマイナーリーグに飛び込んだのだ、その先を夢見て。
それがモノになることはなかったが…
そうして、いちばん叶えたい夢を封印した後は、もう2度と夢を見ることはなかったのかも知れない。
ただひとつを除いては…
息子であるレイは、これまで夢を見ることなんてなかった。
だが、忘れていただけなのかも知れない。
魅力的だった頃の、夢を追いかけていた頃の父親とキャッチボールをする夢を…
Himself
こうして、コーン・フィールドは、トウモロコシ畑に生まれた野球場は、さまざまな人々の思いを成就し、その心を癒すものとなった。
では、誰が、レイ・キンセラにささやいたのか?
アノ声は、誰のものなのか?
それは、最初に魂の救済を受け、父親の登場を告げたシューレス・ジョーなのか?
だが、それはレイ自身の声なのだとシューレス・ジョーは微笑む。
そうして、エンドクレジットにも、こう記されている。
The Voice …… Himself
それは決して天啓でもなく、浮かばれぬゴーストたちの救いを求める声でもなく、ただただレイ・キンセラの内なる声だったのだ…
アメリカにおいては、お伽話の舞台も野球場になる。
そうして、神のお導きなどではなく、自らの内なる声によって物語は進むのだ。
魂の救済が、キャッチボールを通して行われるのもアメリカならではだ。
だが、カジュアルなお伽話には、すぐに真似できるという利点もある。
あなたの内なる声は、なんとささやいているだろう?
その声を拾い上げることができたなら、あなたのいる場所も、きっと天国になるはずだ。
えっ?そんなにうまくいくかって?
大丈夫!
だって、アイオワだって天国になったんだぜ…


