『First Love 初恋』レビュー:晴道 You deserve it

『First Love 初恋』の再生ボタンを押すのに時間がかかったのは、それなりのココロガマエが必要だったからだ。
どうみても、ココロにイタいシーンが続くであろう物語に向き合うには、こちらのメンタルヘルスの安定した土台が要求されてしまう。
僕のソレを整えてからでないと、再生ボタンを押す度胸が持てなかったのだ。

『First Love 初恋』特別映像 – Netflix

予想外だったのは、ゴリゴリのラブストーリーの悲恋ものではなかったことだ。
物語は、ほんのちょっとのコントロールできることと、コントロールできない沢山のことで構成された人生というものを、そのまま描いてる。
そう、皆さんお馴染みのように…

だが、そのタイトル通り、物語のコアには初恋の存在がある。
そして、どんな初恋を迎えるかで、その人生の塩梅は決まってしまうのかも知れない。

その、初めてヒトを好きになる感覚、そうしてそれが実ってグロースしていく感覚が瑞々しくもリアリスティックに描かれている。
僕は、事故にも遭っていないし記憶喪失にもなっていないのに、そんな感覚をすっかり忘れてしまっていたよ。

インプレッシブなサイドキャラクター

最近の僕に気になるドラマで、ちょっとした悪役で必ず出ている 松浦祐也が、しっかりと出演していたね。
金に困って自社のモノを金に変えていた会社役員役で。
最近だと、ガス人間に出てたよね。
そう、あのパーフィニーの人だよ。

密告はうたうでも、その実力を発揮していたが、今日本でゲスを演じさせたら、この人の右に出る人はいないんじゃないだろうか。

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小泉今日子演じる野口幾波子は、本当に胸糞の悪いババアだった、率直に言って。
てめえが手紙を握り潰さなかったらさぁ…なんて恨み言を言いたくもなる。

で、今回あらためて、意外なことに気づいたんだけれど、どうやら僕は小泉今日子が好きではないみたいだ。
この役だけかとも思ったけれど、冷静に考えてみれば、最後から二番目の恋のときも、なんかみていてモヤモヤしていた。
まさか彼女を生理的に受け付けられなくなる日が来るなんて、人生、わからないもんだね…

インプレッシブだったのは、濱田岳。

文字通り西田敏行の後釜と言っていい怪優は、今回もキーポイントでインプレッシブな存在感を際立たせていた。

晴道 You deserve it

「君が元気でいてくれてよかった…」

あの悔やんでも悔やみきれない喧嘩別れの夜以来、晴道は彼女に会うことができなかった。
無事であるのかどうかすらもわからぬまま時間は過ぎ去ってしまった。
書き綴った手紙は、意図のあるものに握りつぶされて…

「君が元気でいてくれてよかった…」
だから、現在の也英が元気に生きてくれていると知ったとき、シンプルにそう思ったことに嘘偽りはないのだろう。

そうして彼は、晴道は、記憶を取り戻すことを強要しなかった。
今、健やかに彼女が生きていることを知れただけでも十分と、それ以上を望まなかったのだ。

運命は必ず存在すると豪語する晴道だが、この男の道のりを振り返れば、それは自ら切り拓いたものばかりだ。
電車での一瞬の一目惚れをモノにし、ベテランのパイロットとして成熟を重ね、相手の幸福を最優先にできる男に成長できたのは、決して運命なんかじゃない。

そして、運命は、晴道を、そんな風に道を切り拓いて生きてきた男のことを、裏切ることはなかった。

「並木さん」と呼んでくれれば十分だった。
今の彼女が、そう呼んでくれれば…

だが、彼は、あの呼び声を取り戻すことができたのだ。
あの懐かしくも愛しさあふれる「晴信」と呼ぶ声を…

人間は自らふさわしいものを得る

ボブ・マーリーのそんな言葉を思い出したよ。
晴道、君は、それに値する男なんだよ…

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